2018年11月25日 サンデーモーニング(後編)

2018年11月25日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2018年11月25日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
「風を読む」にてゴーン会長逮捕について報道された部分
韓国の慰安婦団体が解散した件について報道された部分

以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
② 韓国の慰安婦団体が解散した件について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

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【VTR】
関口宏氏:2015年の日韓合意で、最終的かつ不可逆的解決と確認された慰安婦の問題。韓国政府は合意に基づき設立された元慰安婦らの支援事業を行う「和解・癒やし財団」というものを解散すると発表しました。財団は日本政府が拠出した10億円を財源に、元慰安婦らに対し、合わせて4億4000万円あまりを支給してしましたが、韓国世論の批判を受けて、事実上活動を停止していました。日韓合意の見直しを掲げる文在寅政権ですが、合意の破棄や再交渉は求めないと言っておりますが、残った財団の資金は元慰安婦らの意見を集約し、扱いを決めると言っています。これに対し安倍総理。

安倍首相:国際約束が守られないのであれば、国と国との関係が成り立たなくなってしまいます。韓国には、国際社会の一員として、責任ある対応を望みたいと思います。

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【スタジオ】
関口氏:なんだか、韓国との問題は、徴用工の問題もあるでしょ、青木さん。

青木理氏:そうなんですよね。だから、苛立ちはね、ゴールポストを韓国が動かすっていう、苛立ちは分かるんですけど、大元を辿ってみれば、戦前戦中に日本がいろいろこう、迷惑をかけたっていうかひどい目に合わせたっていうのがあるわけですよね。それから、徴用工の話で言うと、軍人出身の独裁政権の間で軍事的妥結をしたってところもあるわけですよね。だから、慰安婦に関して言うと、あの合意は評価できても、もう一歩努力できなかったかっていう思いもあるわけですよね。その慰安婦の人たちに寄り添うような政策っていうのは。朴槿恵政権、当時の朴槿恵政権も含めてなんですけれど。だから、こういう問題をどうするか、反発をするだけじゃなくて、こういう問題がどういうふうに、2000年代に入ってから、官民で基金を作ってね、補償をしたりしてるんですよ。なので日本も、例えば、日本政府、韓国政府、それから日韓の企業なんかでファンドを作って、補償するようなね、これ、この問題を長引かせたり拗らせたりすると、日朝交渉とか北朝鮮の問題なんかで、得なことも両方にとってないんですよね。だから、この辺は冷静に少し知恵を出すっていうことも必要じゃないかなって僕は思うんですよね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、青木氏の発言に氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

青木氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):大元を辿ってみれば、戦前戦中に日本がいろいろこう、迷惑をかけたっていうかひどい目に合わせたっていうのがあるわけですよね。(中略)徴用工の話で言うと、軍人出身の独裁政権の間で軍事的妥結をしたってところもあるわけですよね。だから、慰安婦に関して言うと、あの合意は評価できても、もう一歩努力できなかったかっていう思いもあるわけですよね。(中略)この問題を長引かせたり拗らせたりすると、日朝交渉とか北朝鮮の問題なんかで、得なことも両方にとってないんですよね。

要旨をまとめると、
・徴用工問題も慰安婦問題も戦中日本の振る舞いが原因である
・徴用工問題については軍人出身の独裁政権が軍事的妥協をした結果である
・慰安婦問題については、あの合意は評価できてももう一歩努力できなかったかという思いもある
・この問題を長引かせたりこじらせると北朝鮮問題にも影響するなど日韓双方に得はない

というものです。

しかし、これらの主張は以下のようにとても稚拙でかつ一定の立場に偏向しており、また事実に基づかないものだと言わざるを得ません。

・徴用工問題も慰安婦問題も戦中日本の振る舞いが原因である
慰安婦問題については、根拠として大きな役割を果たした吉田証言が虚偽だった疑いがもたれ関連記事が削除される、掲載した朝日新聞が謝罪するなど、その一部事実に関する信ぴょう性に依然として大きな疑問が残っています。徴用工問題についても同様に、徴用ではなく自ら応募して労働に従事した者が含まれていたという事実が判明しており、一概に日本の責任を問えない状況が存在しています。また、そもそもこの問題の争点は「韓国が国際的な合意を蒸し返した」というものであり、被害の大小と直接の因果関係はありません。そのため青木氏のこうした発言は論点をすり替え自身の正当性を主張するという、ある種の詭弁とも取れます。

・徴用工問題については軍人出身の独裁政権が軍事的妥協をした結果である
これは韓国の朴正熙大統領のことを指していますが、彼がどのような人物かということは、彼の任期中に日韓の間で「日本国と大韓民国との間の基本関係に関する条約(日韓基本条約)」ならびに「財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定」が締結されたことを覆すものではありません。なぜなら、条約は国家間の取り決めであり、その人物の如何によらず国同士の代表の合意に基づいて決まっているものだからです。したがって、人物を理由に条約の正当性に疑問を唱える青木氏の主張に正当性を見出すことは困難であるといえます。

・慰安婦問題については、あの合意は評価できてももう一歩努力できなかったかという思いもある
これも同様に、「慰安婦問題日韓合意」は日本と韓国の間で正式に結ばれたものです。したがって、国家間で成立した合意を「評価できてももう一歩努力できたはずだ」と批判する主張は極めて韓国よりの偏った主張であるといえます。

・この問題を長引かせたりこじらせると北朝鮮問題にも影響するなど日韓双方に得はない
北朝鮮問題はこの問題と全く関係のない別の話です。アクターも日韓だけではなく米国や中国など様々な国が絡んでくる北朝鮮問題をあたかも日韓問題のようにとらえ、徴用工問題が悪影響を与えるとする主張は事実と異なる認識を与える恐れがあるものです。

以上より、今回の青木氏の発言は放送法第2章第2項「政治的に公平であること」、同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「徴用工問題は日本側が補てんすべきだ」「日本は韓国との妥協点を探すべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「解決済みの問題なので相手にすべきではない」「国際法上あり得ない行為であり、撤回しないのであれば毅然として対応すべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

「風を読む」にてゴーン会長逮捕について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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