2019年7月21日 サンデーモーニング(後編)

2019年7月21日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」 2019年7月21日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 貿易上の優遇措置廃止と徴用工問題による日韓関係悪化の現状について報道された部分
② 沖縄県が辺野古への基地移設問題で国を提訴した件について報道された部分
③ 「風を読む」にてトランプ米大統領の「人種差別発言」について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 「風を読む」にてトランプ米大統領の「人種差別発言」について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 トランプ大統領による民主党の非白人女性議員に対する発言について、女性議員は人種差別であるとして反発。米国会下院ではトランプ大統領の発言を非難する決議が可決され、国際基督教大学の森本教授は「怒りを表として集めている」と指摘した。
 白人警官が黒人男性を逮捕する際、男性は警官に首を絞められ死亡したが、連邦地検は起訴を見送り捜査を終了した。1964年には公民権法が成立し、2009年には黒人初の米大統領が誕生したが、差別的言動が再び頭をもたげ始めた。森本教授は「差別意識の根底には『他者化』がある」と指摘。ユダヤ人大量虐殺などの悲劇への反省として、戦後、国際世論は人種差別撤廃の理念を掲げてきたが、アメリカの大統領による差別的な言葉に喝采の声が上がっている。森本教授は「前のように冷戦構造がなく敵が見えないので、内に別の敵を見いだしてやっつけることで自分を確認するということが起きやすくなっている」と指摘した。

【コメンテーターの発言】
姜尚中氏(要約):差別している側が強そうに見えるが実は逆。人種の概念自体が解体しつつあり、基準自体が曖昧になっている。人種概念が崩壊しつつあるからこそ人種という幻想がへばりついている。所得水準が低いプロテスタント・中産階級の白人男性に被害者意識があり、こういう人たちの被害者意識がトランプ政権を支えている。アメリカ社会では(人種の)ミックスが進んでることの現れ。

谷口真由美氏(要約):嫌なら出ていけばいいと言っているが、好きだからこそ批判する。良くなってほしいからこそ批判するのに、そこを取り違えている力を持った人が多い。そもそも人権は権力に対抗する概念。何かの敵と戦わないと人間が生きていけないのならすごく愚かな存在。歴史から学ばないといけないが、歴史は勝者の男性の歴史。そこから排除されてきた女性がやっぱり攻撃対象になっていることも含めて、好きだからこそ批判するということを、力を持った人には理解してもらいたい。

安田菜津紀氏(要約):私も同じような言葉を投げかけられたことがある。私も非白人議員も社会をより良くするために言葉を発するし、そのためには批判的な視点も必要となってくる。それをルーツの問題にすり替えるのは過度な排除。批判を排除して権力が肥大化するのは日本も楽観視できない。私達が抱いている疑問や違和感をやり過ごさず、それに自分を慣らさない力が求められてきていると思う。

竹下隆一郎氏(全文):あの、よくトランプ大統領がアメリカ国民の怒りを吸い上げてるって言い方してるんですけど、逆だと思っていて。彼自身がですね、勝手に怒りを作り出してると思います。で、今の時代ってやはり、政治家がまず怒って、それが国民に伝播してると。逆のことが起きてる気がするんですね。いかにもその、国民の怒りを救い上げてるっていうんですが、逆だと思います。日本でもですね、甲の外務大臣が、無礼だって発言をしたりとか、国民じゃなくて政治家がまず怒ってるっていうのが、本当現代社会の絶望的なところだと思います。だからこそ、私達は権力者とか政治家とは違って、怒りではないやり方で、自分たちが好きだからこそ批判するとかですね。好きだからこそ文句を言うとか、好きだからこそ、自分たちの国の欠点を言うと。ま、そういうことを政治家ができないんだったら、自分たちが模範とならなきゃいけないなと思いました。

青木理氏(全文):あるイタリアの哲学者で、僕、あちこちでこの話するんですけれども、言葉があってね。排他とか、不寛容とか差別とかっていう、人間の気持ちってのは、これ、人間が獣であるがゆえに、どうしても持ってるものなんだと。生まれつき。だから、それを教育によって強制しなくちゃいけない。教育によって理性ってものをきちんと覚えなくちゃいけないということをイタリアの哲学者が言って。で、少なくとも、責任ある地位にある者。つまり政治家とか。メディアもそうですけども、は、本能であるがゆえに、煽っちゃいけないと。本能であるがゆえに、煽られたら誰も立ち向かえなくなると。つまり、理性では倒せなくなる。何故なら本能だから。だから、煽っちゃいけないんだって言ってるんだけれども、トランプさんは煽ってるわけですよね。じゃあ、この国ではどうかって。先ほどでもお話でましたけれども、政治かもメディアも。どうですかって。自分たちのことを考えなくちゃいけないですよね。本屋さんに行くと、ヘイト本の類がたくさんあって、ヘイトスピーチが蔓延していてっていう状況を、アメリカ見ながら私たちの足元も同時に見なくちゃいけないという気がしました。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):あの、よくトランプ大統領がアメリカ国民の怒りを吸い上げてるって言い方してるんですけど、逆だと思っていて。彼自身がですね、勝手に怒りを作り出してると思います。で、今の時代ってやはり、政治家がまず怒って、それが国民に伝播してると。逆のことが起きてる気がするんですね。いかにもその、国民の怒りを救い上げてるっていうんですが、逆だと思います。日本でもですね、河野外務大臣が、無礼だって発言をしたりとか、国民じゃなくて政治家がまず怒ってるっていうのが、本当現代社会の絶望的なところだと思います。

要旨をまとめると、
・「トランプ米大統領がアメリカ国民の怒りを代弁している」という言説があるが、逆にトランプ米大統領が怒りを作り出しているのだ。
・今の時代は政治家が怒りを作り、国民にそれが伝搬している。
・日本も河野外務大臣が韓国に「無礼だ」と発言した。国民ではなく政治家がまず怒る、というのは現代社会の絶望的なところだ。

というものです。

しかしながら、
・トランプ米大統領がアメリカ国民の支持を得た理由は不法移民への対処や経済政策など多岐にわたり、支持される理由を「怒り」などと単純化する言説は事実に即していない。
・国民の声の代弁者として政治家が強硬姿勢に出ることはあるが、「政治家が怒りをでっちあげ、国民にそれが伝搬する」という主張は論理的に整合性がなく、また根拠もない。
・河野外務大臣が南駐日韓国大使に激怒した理由は、徴用工問題について日本が「韓国側の提案は受け入れられず、国際法を無視したものだ」と以前伝えたにもかかわらず、それを無視して同じ提案を繰り返したからである。国民を扇動するために河野大臣が怒りを露わにしたという言説は全くの虚偽で、極めて悪質な偏向報道である。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあります。したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):排他とか不寛容とか差別とかっていう人間の気持ちってのは、これ人間が獣であるがゆえに、どうしても持ってるものなんだと。(中略)だから、それを教育によって矯正しなくちゃいけない。教育によって理性ってものをきちんと覚えなくちゃいけないということをイタリアの哲学者が言って。で、少なくとも、責任ある地位にある者。つまり政治家とか。メディアもそうですけども、は、本能であるがゆえに、煽っちゃいけないと。本能であるがゆえに、煽られたら誰も立ち向かえなくなると。つまり、理性では倒せなくなる。何故なら本能だから。だから、煽っちゃいけないんだって言ってるんだけれども、トランプさんは煽ってるわけですよね。じゃあ、この国ではどうかって。先ほどでもお話でましたけれども、政治かもメディアも。どうですかって。自分たちのことを考えなくちゃいけないですよね。本屋さんに行くと、ヘイト本の類がたくさんあって、ヘイトスピーチが蔓延していてっていう状況を、アメリカ見ながら私たちの足元も同時に見なくちゃいけないという気がしました。

要旨をまとめると、
・排他、不寛容、差別といった感情は人間の本能であり、従ってこれは教育によって矯正しなければならない、ということをイタリアの哲学者が言っている。
・責任ある地位にいる者やメディアは人々のこうした本能を煽ってはならない。なぜなら煽ってしまえば本能を理性で抑えられなくなるからである。しかし、トランプ米大統領はこれを煽っている。
・日本でも本屋に行けば「ヘイト本」が大量においてあり、ヘイトスピーチも蔓延している。政治やメディアはこのことを考えるべきだ。

というものです。

しかしながら、
・「排他、不寛容、差別という感情が人間の本能」「教育によって矯正しなければならない」とする主張はいわゆる性悪説の立場に立った一つの見解に過ぎず、「イタリアの哲学者が言っているから事実だ」とする青木氏の言説は事実に即しているとは言えない。
・責任ある立場のトランプ米大統領が煽ることでアメリカ国民が理性を捨て本能で暴走している、という主張はトランプ米大統領を支持するアメリカ国民に対する愚弄に過ぎず、事実に反する上に政治的公平性を欠く。
・特定の主張に立つ本や主張を一方的に「ヘイト本」「ヘイトスピーチ」だと断定する言説は言論の自由を否定するものであり、明らかに政治的公平性を欠く上に事実とは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平ではなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、及び同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 貿易上の優遇措置廃止と徴用工問題による日韓関係悪化の現状について報道された部分
については前編の報告を、

② 沖縄県が辺野古への基地移設問題で国を提訴した件について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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