TBS「サンデーモーニング」、2020年6月7日放送回の検証報告(前編)です。
今回の報告では、
① 店舗の営業再開と東京アラートについて報道された部分
② 黒人の暴行死について報道された部分
③ コロナと貧困格差について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
前編で検証するのは、
① 店舗の営業再開と東京アラートについて報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
【VTR要約】
火曜日、東京都では34人の新規の感染者が確認され、東京アラートが発動されました。東京都はホストクラブなど、接待を伴う飲食店に休業を要請していますが、長期の休業に耐えられず、営業を再開する店が増えています。新宿で3月下旬から営業を自粛しているバーでは9人席だったカウンターを3人に減らすなど、再開に向けた準備を行っています。休業要請に従わず営業を再開している店について、店長は「みんな食べていかないといけない。本気では責められない。何か新しいものを考えていかないと立ち行かなくなる」と述べました。
始まったばかりの新たな日常ですが、その難しさが浮き彫りになっています。
1日午前7時半過ぎ、東京都内を走る通勤電車の車内は混雑しています。新たな日常に向けてJRなどは、車輌の窓を開けて換気を行うなどの対応をとっていますが、感染対策の難しさが分かってきました。満員電車の中で空気がどう流れるのかのシミュレーション動画によると、車内左右4カ所の窓をおよそ20cm開けると水色で示された新鮮な空気が車両の後方に流れ換気が進むのが分かります。一方で、車両の前方はあまり換気が進みません。
理研・坪倉氏は「窓を開けることによって、立っている人の頭から上は非常に空気が換気されますが、座っている人全体のところはやや換気が良くない状況」と述べました。
また新たな日常の難しさは教育現場でも問題になっています。全国の公立学校の99%で授業が再開されましたが、北九州市にある公立小学校は静まり返っています。先月28日、女子児童の感染が判明さらに3日後、クラスメートの4人の感染が判明しました。この学校では先月25日から全校一斉に登校を再開し、机の間隔を1m程度空けて授業を行っていました。感染が判明した女子児童は、自宅での検温は微熱で、校門での検温では平熱に下がっていたことからそのまま授業を受けていました。感染症対策の難しさの一方で、安易な休校は行うべきではないという指摘があります。長崎大学・森内教授「実際に抑うつ傾向が強くなるというデータも海外で出ている。発達を終えてしまった大人とは違って取り返しのきかない措置をしているということを忘れないで考えて欲しい」と指摘しました。感染の防止を図りながら新たな日常をどう築くか、これからが正念場です。
【コメンテーター発言内容】
水野アナ(VTR前 全文):まずは世界の感染者数です。現在、ブラジルやインドの感染者が増えているんですが、依然、アメリカも増え続けています。こちらは世界の感染者の推移なんですが一日ごとのグラフです。再び増加傾向にあります。全体の感染者は1週間でこれまでで最多の70万人以上増えて677万人に上っています。そんな新型コロナウイルス、今月に入って、再び東京で感染の拡大が懸念されています。
水野アナ(VTR後 全文):東京都の感染者数なんですが、昨日は26人。これで2桁となるのは6日連続となります。最近、外出する人が増えたと感じる方も多いと思うんですが、こちらは平日の人出のデータです。感染拡大前の1月から2月の平均を100%としています。感染拡大前より人出は減っているんですが、緊急事態宣言の解除後、増加傾向にあり東京駅では以前の49%、渋谷のセンター街では62%、そして新宿駅では72%まで人出が戻っています。 また、こちらは東京都が示した感染者の推移のイメージです。東京都は現在、感染拡大の兆候があるとして東京アラートを発動させていますが今後、感染者の増加をどのように抑えていけばいいのでしょうか。
松本氏(要約):恐らく本当の意味の第2波はこれから秋・冬にやってくる、もっと大きい山ですね。しかも冬の時期、風邪やインフルエンザ、ほかの肺炎もですが、いろんなものと混ざって新型コロナが医療機関に押し寄せますので、医療機関の体制をしっかり取っておかないとかなりまずいなと考えています。今の医療状態は、重症者を抱えておられる病院もありますけれど、入院の患者さん自体はかなり減ってきましたので今、少し落ち着いている状況になってきています。
課題はいっぱいありまして、保健所のこと、防護具のことに関してもそうですけど備えなきゃいけないことはたくさんある。一部の病院でかなり負担がかかって受け入れてきましたので、それをうまく平均化して、多くの医療機関が対応できるようにしていかなきゃいけないと思います。
青木氏(全文):今回特にね、26人のうちの半分ぐらいが、いわゆる接客業、接客業って広いので誤解を与えちゃいけないんですけれども、飲食店だったりするんですけれども、僕も緊急事態宣言が外れたあとに、何軒か行きつけのお店に顔を出してみたんですね。もちろん危険というか、感染防止しなきゃいけないとみんな思っているんだけど今日、あとで話題が出ると思うんですけれども、持続化給付金がようやく届いたという人が一部いたんですけれども、やっぱりお金は全然届いていないんですね、持続化給付金はもちろん届いてないんですが10万円はもちろん届いてないと思うんです。そうすると生活のために営業せざるをえないんですね。つまり、要請だけ来ていて補償をしていないので。一方的に接客業が危険だ、自粛しろ自粛しろじゃちょっと難しいと思うんですね。だから、今この減っているのは季節性なのかもしれないんですけれども、この時期にとにかく今、先生がおっしゃったように医療機関の支援、それから、伸びなかったのは検査体制をもっと充実させておくこととそれからやっぱり国会、どうも17日で閉めちゃうみたいですけど、追加の支援、もちろん財政状況があるので限界はありますけれども追加の支援をやらないと、一方的に店をやるなだけじゃどうにもならないのが恐らく店をやってらっしゃる方の本音だと思うんですよね。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。
1、水野氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、水野氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
水野氏は今回の報道で、以下のように述べています。
水野氏(抜粋):東京都の感染者数なんですが、昨日は26人。これで2桁となるのは6日連続となります。最近、外出する人が増えたと感じる方も多いと思うんですが、こちらは平日の人出のデータです。感染拡大前の1月から2月の平均を100%としています。感染拡大前より人出は減っているんですが、緊急事態宣言の解除後、増加傾向にあり東京駅では以前の49%、渋谷のセンター街では62%、そして新宿駅では72%まで人出が戻っています。 また、こちらは東京都が示した感染者の推移のイメージです。東京都は現在、感染拡大の兆候があるとして東京アラートを発動させていますが今後、感染者の増加をどのように抑えていけばいいのでしょうか。
要旨をまとめると、
・昨日の東京の感染者数は26人。感染者数が2桁になるのは6日連続である
・以前よりは人出は減っている者の、感染者数が増加傾向にある。東京アラートを発動しているが、増加をどのように抑えたらいいのか
というものです。
しかしながら、
・直近のデータのみを使用し、「最近の感染者数が増えている」というのは視聴者に感染者数が増えている認識を扇動させており、政治的に公平ではない。
・また感染者数を減らすという視点からしか発言せず、感染と経済活動を両立するという論点があるにも関わらず提示しないことは、政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での水野氏の発言は政治的に公平でないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。
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2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木氏(抜粋):今回特にね、26人のうちの半分ぐらいが、いわゆる接客業、接客業って広いので誤解を与えちゃいけないんですけれども、飲食店だったりするんですけれども、僕も緊急事態宣言が外れたあとに、何軒か行きつけのお店に顔を出してみたんですね。もちろん危険というか、感染防止しなきゃいけないとみんな思っているんだけど今日、あとで話題が出ると思うんですけれども、持続化給付金がようやく届いたという人が一部いたんですけれども、やっぱりお金は全然届いていないんですね、持続化給付金はもちろん届いてないんですが10万円はもちろん届いてないと思うんです。そうすると生活のために営業せざるをえないんですね。つまり、要請だけ来ていて補償をしていないので。一方的に接客業が危険だ、自粛しろ自粛しろじゃちょっと難しいと思うんですね。だから、今この減っているのは季節性なのかもしれないんですけれども、この時期にとにかく今、先生がおっしゃったように医療機関の支援、それから、伸びなかったのは検査体制をもっと充実させておくこととそれからやっぱり国会、どうも17日で閉めちゃうみたいですけど、追加の支援、もちろん財政状況があるので限界はありますけれども追加の支援をやらないと、一方的に店をやるなだけじゃどうにもならないのが恐らく店をやってらっしゃる方の本音だと思うんですよね。
要旨をまとめると、
・持続化給付金が届いていないため、自粛要請があっても生活のために営業せざるを得ない
・医療機関の支援やPCR検査体制を充実させていく必要がある
というものです。
しかしながら、
・経産省梶山大臣によれば、5/1までに申請した持続化給付金は9割近く振込が完了されていることが発表されており、「お金は全然届いていない」という青木氏の主張は明らかに事実に反する。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「感染を抑え経済活動を自粛すべきである」「PCR検査を増加させるべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「今後コロナウイルスが完全になくなるわけではないのだから、コロナウイルスと経済活動を両立できる道を模索すべきである」「PCR検査を増加させるにも予算や医療リソースの配分が適切であるか考慮しないといけない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
② 黒人の暴行死について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
③ コロナと貧困格差について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。