2019年4月21日 サンデーモーニング(後編)

2019年4月21日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年4月21日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 消費増税をめぐる萩生田氏の発言について報道された部分
② トランプ米大統領のロシア疑惑について報道された部分
③ ノートルダム大聖堂の火災について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ ノートルダム大聖堂の火災について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
EU議会でペテルレ議員が「ノートルダムを再建させましょう」と述べる映像が流される。ノートルダム大聖堂が炎上している映像とともに、火災の概要をアナウンス説明。続けてノートルダム大聖堂の特徴と歴史が伝えられる。内部・外観は3Dデジタルデータとして記録されており、寄付金は1000億円以上集まっているとナレーション。マクロン大統領の記者会見映像に切り替わり、マクロン大統領が「5年以内に再建する」と話す映像が流される。2024年のパリ五輪までに再建すると宣言したが、実現にはかなりの困難も予想されていると伝えられる。

【アナウンサーによるパネル説明】
・ノートルダム大聖堂は、聖母マリアにささげられたカトリック教会の大聖堂
・着工は1163年、完成は1345年(完成までに180年)

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【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(全文):僕にとっても思い出の場所なんだけど、僕はね、迷走するフランス、あるいはマクロンに対してね、喝入れたんじゃないかって思うような出来事だったなって思うんです。っていうのはね、この存在こそフランスとは何かって問いかけてくるわけですよ。フランスっていうのはね、ゲルマン民族の移動によってキリスト教化したゲルマンって言い方するんだけど、フランク大国っていうのがドンってあったわけですね。それがね、結局のところもう8世紀に732年にピレネーを越えてイスラムが攻め込んできたとき、バシッと大潮を、キリスト教共同体という意識がそこで芽生えたっていうんだけど、守り抜いたときのね、原点に立ってたのが、このフランク王国だったわけですよ。ですからそういう意味合いにおいてもね、大潮を考えるとき、そしてフランスを考えるとき、つまりフランスとは何なのかと考える素材みたいなものなんですよ。ノートルダム大聖堂っていうのはね。そういう意味合いにおいてね、実は1163年に着工ってなってますけど、このシテ島っていう場所にね、小さな教会がもう、まさにいま僕が語った8世紀よりも前の7世紀には小さい教会があったっていう説もあるんですね。そういう意味においてですね、衝撃とともに考えさせられたっていうような思いですね。

西崎文子氏(要約):ノートルダム大聖堂はナポレオンの戴冠などの大きなイベントだけではなく、貧しい庶民とともに歩んできた。世界から来たキリスト教信者以外の観光客にも開かれた包容力のある建物。だからこそ、この衝撃は非常に大きいと思う。

高橋純子氏(要約):崩れ落ちていく映像を見て胸が痛い。信仰と国境を越えて心に訴えてくるものがある文化遺産。だからこそ、再建が早くできたらいいなと思う。

竹下降一郎氏(全文):私も何回も行ったことがあるので非常にショックを受けたんですが、一つあえて良いことを申し上げるとすれば、「再建」というのが1つキーワードになるのが大きいなと思いました。特にまあ、フランスでは黄色いベスト運動とか分断とか。反移民とかですね、経済格差っていう。とにかく分裂分裂というのがフランスEUを覆っていたところに、再建っていう、立て直すというのは、もしかしたらこれは新しいキーワードになり、なおかつデジタル技術を使うことによって、新しい時代にふさわしい再建。それは建物だけじゃなくて人の心とか、政治的意識が同時に再建されることになればいいなと思ってますね。

松原耕二氏(要約):ノートルダム大聖堂はフランスの真ん中にあってどこからみても見える。フランス人に代々受け継がれてきた記憶の中にあったものが欠落するということは、物凄いことだったんだろうなと思う。フランスだけでなく世界中で報道されている。なぜこんなに人々の心を打つのか、この一週間ずっと考えさせられた気がする。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):僕はね、迷走するフランス、あるいはマクロンに対してね、喝入れたんじゃないかって思うような出来事だったなって思うんです。っていうのはね、この存在こそフランスとは何かって問いかけてくるわけですよ。(中略)8世紀に732年にピレネーを越えてイスラムが攻め込んできたとき、バシッと大潮を、キリスト教共同体という意識がそこで芽生えたっていうんだけど、守り抜いたときのね、原点に立ってたのが、このフランク王国だったわけですよ。(中略)大潮を考えるとき、そしてフランスを考えるとき、つまりフランスとは何なのかと考える素材みたいなものなんですよ。

要旨をまとめると、
・ノートルダム大聖堂の火災は迷走するフランスへ喝を入れたものだ
・キリスト教共同体という意識を生んだ原点であるフランク王国時代に建てられたものだからだ
というものです。

しかしながら、
・ノートルダム大聖堂の火災とフランスの現状との間にいかなる因果関係も相関関係も存在しない
・フランスの現状をノートルダム大聖堂の火災を根拠に批判する詭弁であり、視聴者に誤った印象を与える悪質極まりない偏向報道といえる
・フランク王国がキリスト教共同体の意識を芽生えさせたことと今回の火災とは何の関係もない

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。

竹下氏(抜粋):私も何回も行ったことがあるので非常にショックを受けたんですが、一つあえて良いことを申し上げるとすれば、「再建」というのが1つキーワードになるのが大きいなと思いました。特にまあ、フランスでは黄色いベスト運動とか分断とか。反移民とかですね、経済格差っていう。とにかく分裂分裂というのがフランスEUを覆っていたところに、再建っていう、立て直すというのは、もしかしたらこれは新しいキーワードになり、なおかつデジタル技術を使うことによって、新しい時代にふさわしい再建。それは建物だけじゃなくて人の心とか、政治的意識が同時に再建されることになればいいなと思ってますね。

要旨をまとめると、
・ノートルダム大聖堂の火災はショックだが、「再建」というのがキーワードになることは良いことだ
・黄色いベスト運動や反移民、経済格差といった分裂の流れがフランスを覆っていたので、大聖堂の再建と同時に政治的意識も再建されてほしい

というものです。

しかしながら、
・黄色いベスト運動や反移民、経済格差といった問題とノートルダム大聖堂の火災には何の関係もない
・こうした問題はそれぞれ異なる背景を持っている。「分断の流れ」と一緒くたに扱うことは事実に基づかないものである
・また、政治的意識が再建を必要とする主張も政治的にも公平とは言えない

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平でないこと」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 消費増税をめぐる萩生田氏の発言について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

② トランプ米大統領のロシア疑惑について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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