2020年1月26日 サンデーモーニング(前編)

2020年1月26日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年1月26日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 河井氏への巨額選挙資金振り込みについて報道された部分
② 桜を見る会の新たな文書について報道された部分
③ 植松被告の公判について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 河井氏への巨額選挙資金振り込みについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 地元の有権者にカニやメロンを配った疑惑で、去年10月依頼公の場に姿を見せなかった菅原一秀前経産大臣と、IR汚職で家宅捜索を受けた白須賀衆院議員は、取材に対し何も言わず立ち去った。
 公職選挙法違反の疑いで告発されている河井夫妻に対しては、地元広島から怒りの声があがった。渡辺県議は、ウグイス嬢を紹介したことについて、法定の上限を超える報酬が支払われたことは「事実として受け取っていい」と認めた。去年7月の参院選前の案里氏陣営の関係者とウグイス嬢の仲介役とのLINEのやり取りも明らかになり、違法な支払いは「河井ルール」として河井前法相の選挙から常態化していた可能性がある。さらに、去年7月の参院選前に案里氏陣営へ通常の選挙資金の10倍である1億5000万円が投じられていたことが判明した。案里氏はこの事実を認めたが、自民党内からも不公正だと反発する声も上がっており、野党は追及する構えを見せている。

【アナウンサーによるパネル説明】
・定員2の広島選挙区で、自民党本部は2人目の候補として河合杏里氏を擁立していた
・岸田派の重鎮溝手氏との争いでは現職の溝手氏が落選し、溝手氏に支払われた選挙資金は1500万円で、案里氏には1億5000万円が支払われていた。

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【コメンテーターの発言】
高橋純子氏(全文):あの、まずですね、疑惑を持たれてる議員について、まあご覧いただいたように、皆やっぱり立ち話ですよね。会見というものを開いていないと。やっぱりこれは国会議員であればですね、きちんと会見を開き、自らに降りかかっている疑惑を晴らす努力をする。それをやらないんだったら政治家の資格はないというふうに私は思います。そしてあの、1億5000万円ですね、河井案里議員に振り込まれていたという問題ですけれど、あの一見ですね、あ、またこの政権お得意のえこひいきかというふうに流してしまいがちで。それはそれで問題としてあるとは思うんですけれども、自民党の政治資金の原資の3分の2は、政党交付金。つまり私たちの税金なわけですよね。つまり私たちの税金を原資として自民党内でのえこひいきが行われていると。これに対しては、私たち主権者はもっと怒らなければならないと思います。

寺島実郎氏(要約):いよいよ本当のことを議論しなければならなくなった。それはアベノミクスの成果。今年GDPを600兆にすると言っていた。それがどうなってるんだということを国会で議論してもらいたい。異次元金融緩和と財政出動だけで株価を引き下げて、なんとなく上手くいってるんだ症候群になっているが、本当に日本は大丈夫なのかという問題が突き付けられている。

松原耕二氏(全文):私はちょっと高橋さんに付け加える形でお話をしたいんですが、今回もまあ、桜だけじゃなくて、疑惑もですね、総理はほとんど語らなかったわけですね。で、私はその総理、トップのですね、振舞い。あるいは言動って社会にあらゆる影響を与えると思うんですね。例えば、トランプ大統領になってからアメリカではヘイトが増えてるわけですね。これまでキッチントークだった、コソコソ話していた差別用語がですね、皆トランプ大統領が堂々と言うならいいんじゃないかと人前でしゃべり始めるわけですね。だから、トップってのはそういうもんだと思うんですね。だから、例えば安倍総理の身内びいきのですね、振舞いとか、あるいはまあ、あれだけ説明しない、丁寧に説明すると言って説明を逃げてる姿勢、こういうのを見てるとですね、やっぱり社会というのはボディーブローのように影響を与えると思うんですね。総理が説明しないなら議員も説明しなくていいじゃないか。一般の人もそうじゃないかと。やっぱりこれ、日本の社会、これ、何か影響を与えてモラルが低下するんじゃないかと。これはものすごく懸念しますね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
高橋氏は今回の報道で、以下のように述べています。

高橋氏(抜粋):あの、まずですね、疑惑を持たれてる議員について、まあご覧いただいたように、皆やっぱり立ち話ですよね。会見というものを開いていないと。やっぱりこれは国会議員であればですね、きちんと会見を開き、自らに降りかかっている疑惑を晴らす努力をする。それをやらないんだったら政治家の資格はないというふうに私は思います。そしてあの、1億5000万円ですね、河井案里議員に振り込まれていたという問題ですけれど、あの一見ですね、あ、またこの政権お得意のえこひいきかというふうに流してしまいがちで。それはそれで問題としてあるとは思うんですけれども、自民党の政治資金の原資の3分の2は、政党交付金。つまり私たちの税金なわけですよね。つまり私たちの税金を原資として自民党内でのえこひいきが行われていると。これに対しては、私たち主権者はもっと怒らなければならないと思います。

要旨をまとめると、
・疑惑を持たれている議員らは会見をせず立ち話で済ませており、疑惑を晴らす努力をしていない。それをやらないなら政治家の資格はない。
・1億5000万円が振り込まれていた問題は一見すると安倍政権お得意のえこひいきだが、流れているのは政党交付金、つまり私たちの税金だ。税金を原資として自民党内のえこひいきが行われることについて怒るべきだ。

というものです。

しかしながら、
・疑惑についてぶら下がり取材のみで会見を実施しないことは、「疑惑を晴らす努力をしていない」「政治家の資格がない」という主張の根拠にはならない。
・所属する政治家への選挙資金の分配は政党が決めるべきことであり、1億5000万円が振り込まれていたこと自体に違法性はない。また「安倍政権お得意のえこひいきだ」などと根拠もなく主張することは事実に即しておらず、また政治的に公平とは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):で、私はその総理、トップのですね、振舞い。あるいは言動って社会にあらゆる影響を与えると思うんですね。例えば、トランプ大統領になってからアメリカではヘイトが増えてるわけですね。これまでキッチントークだった、コソコソ話していた差別用語がですね、皆トランプ大統領が堂々と言うならいいんじゃないかと人前でしゃべり始めるわけですね。だから、トップってのはそういうもんだと思うんですね。だから、例えば安倍総理の身内びいきのですね、振舞いとか、あるいはまあ、あれだけ説明しない、丁寧に説明すると言って説明を逃げてる姿勢、こういうのを見てるとですね、やっぱり社会というのはボディーブローのように影響を与えると思うんですね。総理が説明しないなら議員も説明しなくていいじゃないか。一般の人もそうじゃないかと。やっぱりこれ、日本の社会、これ、何か影響を与えてモラルが低下するんじゃないかと。これはものすごく懸念しますね。

要旨をまとめると、
・アメリカではトランプ米大統領の言動によってヘイトが表面化している。
・日本では安倍首相の身内びいきや忖度、説明責任を果たさない姿勢が社会に影響を与えてモラルが低下してしまう。

というものです。

しかしながら、
・アメリカでヘイトスピーチが発生する原因は歴史的な人種差別や不法移民に対する風当たりなどアメリカ社会の構造に起因するものであり、「ヘイトスピーチはトランプ米大統領によるものだ」という主張には一切根拠がなく、論理的にも支離滅裂で破綻していると言わざるを得ない。
・安倍首相が身内びいきや忖度、説明責任を果たさないという主張には何ら根拠がなく、こうした主張は事実に即しておらず政治的に公平とも言えない。また、安倍首相の振る舞いがそのまま社会全体の振る舞いに反映されるという主張は明らかに論理的に破綻していると言わざるを得ない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「説明責任を果たさない安倍政権は驕っている」「国民はもっとこの問題について怒るべきだ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「安倍首相がこれらの問題を引き起こしたわけではない」「コロナウイルスの問題など国民にはもっと重大な関心ごとがあり、議論はそちらに重点を置くべきだ。」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 桜を見る会の新たな文書について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 植松被告の公判について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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