2018年12月20日 報道ステーション

2018年12月20日 報道ステーション

12月20日の報道ステーションのレポートです。今回の報道では国際捕鯨委員会脱退をめぐる報道を取り上げ、検証していきます。

徳永アナ「続いてこちらも極めて異例のことでした。にほんがIWC国際捕鯨委員会から脱退する方針を固めたことがわかりました。30年以上できなくなっている、商業捕鯨を再開する見通しが立たないというのがその理由なんです。戦後日本は国際機関から脱退するということは、ほとんんどありませんでした。」

VTR

くじら料理店にてくじらを食べる男性「赤身の方が美味しい」

ナレーター「山口県下関市では、歓迎の声が上がりました。調査捕鯨船の基地があり、くじらの町として知られています。今日政府がIWC国際捕鯨委員会から脱退する方針を固めたことがわかりました。これで日本はIWCの措置で停止していた、商業捕鯨を再開することが可能になります。下関市にとって悲願でしたが、どうやら単純な話ではなさそうです。」

前田下関市長「IWCを脱退することと我が国の悲願である商業捕鯨を再開することはイコールではない。

ナレーター「下関市では南極海の調査捕鯨で捕獲されたクジラの肉などが流通しています。ただIWCの脱退後は、南極海での捕鯨はできなくなるとしています。」

前田下関市長「南極海の333頭のミンククジラを獲る、今度はこれが南極条約に抵触することによって入れない。非常にこれは難しいハードルも同時に出てくる。」

ナレーター「そもそも日本は1988年以降30年に渡って、商業目的の捕鯨はできなくなっていました。ただ、調査捕鯨は続けて来ました。対象となるクジラの種類を限定して、個体数を調べるなど商業捕鯨に向けて、科学的なデータを集めて来たのです。ところが9月のIWC総会で、商業捕鯨の再開を訴えた日本に対して、反対の声が相次ぎました。」

オーストラリアの担当者「日本の商業捕鯨提案には多くの加盟国が環境
社会福祉的な疑念を抱いている。商業捕鯨の再開に反対する我が国の立場を尊重してもらいたい。」

ニュージーランドの担当者「日本の提案には我が国が賛同できる未来像が描かれていない。商業捕鯨に反対する立場は変わらない。」

ナレーター「日本の提案は否決されました。この場でIWCからの脱退をほのめかしました。」

谷合農水副大臣「日本はIWC加盟国としての立場を根本的に見直すことを迫られ、あらゆる選択肢を精査せざるを得ない。」

ナレーター「これまでも日本の商業捕鯨は否定され続けて来ました。そもそもIWCはクジラの捕獲を前提とした上で、資源を管理することを目的としていました。ただ、知能の高いクジラの捕獲は残虐だ。絶滅が危惧されるクジラの保護が必要。とする環境保護団体などの活動もあり、捕鯨そのものに反対する国が増えているのです。政府はIWCは機能していないと批判していて年内に脱退する通告を出すとしています。総会に出席した政府関係者は、IWCはくじらを守る国際機関として活動しよう、とまで書き込まれた。もう残っていても
商業捕鯨の道は開けないと分かる。日本の食文化を守る目的もあるといいます。」

吉川農水大臣「商業捕鯨を含めてクジラというのは、日本の文化の1つ、食文化もそうだし、そういったことをふくめてこれからご理解頂けるように、今までもIWCの総会の中で主張を繰り返してきたと、」

ナレーター「ただクジラ肉の報道は商業捕鯨を停止した30年前にすでに低い水準になっていました。今、商業捕鯨を再開しようとしていることについて
クジラ料理店は。」

くじら料理店店主「せっかく獲ってきても
食べたいと思う人が、土壌が少ないんじゃないかと。供給する側の準備ができていない状態で今回のような再開をした時に、単なる物珍しさから一時的に消費量が増えることがあっても、それが最終的には乱獲に繋がってしまったり、そういったことになりかねないのではないか。」

(スタジオにてパネルを使った解説を要約)

IWCの目的は「クジラ資源の保存および、捕鯨産業の秩序ある発展を図る」という目的であった。しかし目的が次第に変わる捕鯨産業を度外視し、クジラを保護する方向にのみ舵を切るようになった。この背景としてシーシェパードなどの環境保護団体の運動がある。その後商業捕鯨が停止され、調査捕鯨のみになった、その結果、クジラの個体数は増えた。
しかしクジラが増えたのにも関わらず日本の提案は否決され続ける。そしてIWCの加盟国のうち反捕鯨国の方が多くなり、本来の目的である、捕鯨産業の発展を図る機関ではなくなってしまったため、脱退する結果になった。」

徳永アナ「こうやって見てみると、捕鯨をめぐる歴史は長いんだなということがわかるんですけれども、後藤さん、伝統や食文化を守りたい気持ちも分からなくはないんですけれども、一方で脱退ということになってしまうと、国益を損ねてしまうのではないかという心配があるんですけれども。」

後藤謙次「かなり影響は大きいと思いますね。日本外交というのは他国間のルールの中で、そしてその中で保証していくことが基本なわけですが、トランプ大統領のようにですね、気に入らないから脱退だと、いうことになってしまうと、日本も変わったと、こういう印象を与えてしまいますよね。それからこのIWCに関して言えばですね、日本は捕鯨賛成国を増やすために全く関係ない国に政府開発援助、ODAなんかを出しながらですね、増やして来たんですよ。そういう国々にしてみればですね、はしごを外されたと、いうことにもなりかねないんですね。その意味でも非常に大きな影響が出ると思いますね。」

徳永アナ「ただなぜそこまで強硬な手段をとって、脱退ということになったのかということはあるんですけども。」

後藤謙次「これはですね、30年間日本がいろんなことを提案しながら、国際社会は受け入れなかったと。しかもIWCはですね、今の自民党の国会議員、この議連の人たちに言わせると、反捕鯨クラブになっているんだと。その意味でですね、中心にいたのは自民党の二階幹事長なんですね。二階さんの地元和歌山県太地町ですね。ここは古式捕鯨発祥の地なんですね。二階さんもクジラの文化、に対して非常なこだわりをもっているんですね、
自分たちは他国の食文化にいちゃもんつけたことがあるのかと、我々こんなアイデア出しているのに否定される、そしたらもう脱退するしかない、二階さん。そして下関こr近代捕鯨発祥の地なんですが、ここはまた安倍総理の地元、ということで、ですね、政府与党中枢がここにそろったということもこういう決断に至った背景だと思いますね。」

徳永アナ「そして、この先ですよね。」

後藤謙次「そうですね、プランbをいかに作るか、ということだと思いますね。」

今回の報道の問題点は2点ありました。
1点目は印象操作にとられかねない発言があったこと、
2点目は事実を曲げた報道であったのではないか、それに伴い放送法に抵触する恐れがあること、です。

1点目ですが、今回日本政府がIWC脱退に至った原因は端的にIWCの機能不全です。IWC
本来捕鯨産業を発展することが目的の1つでありました。しかし、環境保護団体の運動などを背景に捕鯨は認められず、クジラの保護だけが目的となり、IWC本来の目的を達成する機関ではなくなったこと、それによって日本にとって国益が無くなったために脱退に踏み切ったのです。にもかかわらず後藤謙次氏は以下のような発言をしています。

後藤謙次「かなり影響は大きいと思いますね。日本外交というのは他国間のルールの中で、そしてその中で保証していくことが基本なわけですが、トランプ大統領のようにですね、気に入らないから脱退だと、いうことになってしまうと、日本も変わったと、こういう印象を与えてしまいますよね。」

後藤謙次「これはですね、30年間日本がいろんなことを提案しながら、国際社会は受け入れなかったと。しかもIWCはですね、今の自民党の国会議員、この議連の人たちに言わせると、反捕鯨クラブになっているんだと。その意味でですね、中心にいたのは自民党の二階幹事長なんですね。二階さんの地元和歌山県太地町ですね。ここは古式捕鯨発祥の地なんですね。二階さんもクジラの文化、に対して非常なこだわりをもっているんですね、
自分たちは他国の食文化にいちゃもんつけたことがあるのかと、我々こんなアイデア出しているのに否定される、そしたらもう脱退するしかない、二階さん。そして下関こr近代捕鯨発祥の地なんですが、ここはまた安倍総理の地元、ということで、ですね、政府与党中枢がここにそろったということもこういう決断に至った背景だと思いますね。」

脱退の原因は、安倍総理や二階幹事長などの利益のためであるというような印象操作をしていると疑われかねない発言がありました。この発言の語尾に注目すると推測をしているにすぎません。このような推測で印象操作を与え党利党略、あるいは安倍総理個人の利益のためのIWC脱退という流れを作っています。

また問題点の2点目として、以下の発言がありました。

後藤謙次「それからこのIWCに関して言えばですね、日本は捕鯨賛成国を増やすために全く関係ない国に政府開発援助、ODAなんかを出しながらですね、増やして来たんですよ。そういう国々にしてみればですね、はしごを外されたと、いうことにもなりかねないんですね。その意味でも非常に大きな影響が出ると思いますね。」

この全く関係のない国、というものが何を指している分かりません。国の交渉としてこのようなことがあっても不思議ではありませんが、まるで日本が賄賂のようなことをしているかのような伝え方です。これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

(3)報道は事実をまげないですること

どのような国に、どのような交渉があったのか、その事実を示さねばなりません。

公平公正なテレビ報道を実現すべく、視聴者の会は今後とも監視を続けて参ります。

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