2019年1月9日 報道ステーション

2019年1月9日 報道ステーション

1月9日の報道ステーションのレポートです。
今回は辺野古基地移設をめぐる県民投票についての報道を取り上げてまいります。
早速見ていきましょう。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:こちらはですね、一昨日撮影されました沖縄県名護市辺野古の埋め立て地の様子なんですね。先月から土砂投入が始まっていまして、今もこのように続いています。海が茶色く濁っているのも見えますよね。この辺野古の基地移設の賛否を問う県民投票が来月24日に行われるんですが、この県民投票に参加しないと表明する自治体のトップが出てきているんですね。こうした自治体に、きょう玉城知事が初めて説得に訪れました。

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【VTR】
《玉城知事による沖縄・宮古島市役所への訪問のVTR》

(ナレ)玉城デニー知事は、宮古島に飛び、直接説得です。

玉城デニー知事:ご意見を、意見交換をさせていただきたいと思います。

《辺野古埋め立ての映像》
(ナレ)県知事と市長が話し合ったのは、辺野古基地埋め立ての賛否を問う来月24日の県民投票についてです。条例では投開票などの事務は市町村が担当することになっていますが、宮古島市議会が予算案を否決し、市の自治庁は、県民投票への不参加を表明していました。

午後4時ごろ、玉城デニー知事へのインタビューVTR。
玉城デニー知事:参政権をもつことは非常に沖縄の流れからも歴史からみても重いものがあります。最後までどうぞお考えくださいとお話ししたら、“それを考えると悩みますね”と。

《玉城知事・宮古島市役所訪問VTR》
(ナレ)説得の結果は――

宮古島市 下地敏彦市長:議会の意思を尊重して行動しておりますというお話をしました。
インタビュアー:不参加の意志に変わりはないということでいいのでしょうか
下地市長:いいです。

(ナレ)現在、宮古島市・宜野湾市・沖縄市の保守系の市庁が、県民投票に参加しないと表明しています。三つの市の有権者はおよそ23万人にて、県全体の20%が抜けることになります。

《一昨日、沖縄市役所でのVTR》
沖縄市 桑江朝千夫市長:マルかバツかの二者択一で市民にその意を迫るやり方には、私はあまりにも乱暴であると/投票率を下げるとか、白紙でいこうとか、そういった運動をして戦っていけばいいのかなとも思ったんですけども、「行くな行くな」とも言えませんし

(ナレ)県民投票条例は9万を超える署名を受け、県議会で賛成多数で可決されたものです。玉城知事は、参加しない市町村が出ても、予定通り来月24日に実施するとしています。投票の機会がなくなるかもしれない事態に、沖縄市の市民は――

《市民インタビューVTR》
保育園の運営(63):市民の権利だからぜひ本当はやってもらいたい。沖縄にさ、あんな基地を造らんといけないのかといつも思っていて。
主婦(21):(県民投票が)沖縄市はないってなったら、市民的には平等じゃないから、“意見さえも言えない”みたいな/自分は別に(基地を)造ってもいいんじゃないかなと思います
看護師(27):本当に沖縄県民の民意がどれくらいなのかっていうのは見てみたいです/意見を問う会っていうのをなくしてしまうのはちょっと残念かなと思いますね。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:うーん。あの、同じ沖縄県に住んでいて、ある市の方々は投票ができる、でもある市に住んでいたら投票ができない。これ、解せないような気もするんですけれども。

後藤謙次氏:あのーやはり民主主義にとってですね、非常に問題だと思いますね。この県民投票、県の条例に基づく投票なんですが、民主主義っていうのは民意がどこにあるんだと、ただいつもふだんの日常的には全員が参加できないので、まあ議員が代表・代理に、まあ政治を行うということなんですが、こういうふうにテーマがしっかりしている問題についてはですね、是非みんなで意見を聞こうというのが民主主義の原点だと思いますね。VTRでは2割くらいの人がどうも投票に参加できないんじゃないかと、ただ今どんどんまた市が増えてますから、全体として3割くらいの人が投票できない可能性があるんですね。となるとこの県民投票は、全員参加できないんだから完全なものじゃない、だから意味がないんだという主張をたぶん展開したいんだろうなという感じもするんですけども。

富川悠太アナ:県民投票の結果が出たとしても、これは効力ないんじゃないかと。

後藤氏:完全なものじゃないからですね。しかし今のVTRにもありましたけれども、賛成の人も投票したいと。思ってる人もいると思うんですね。そういう人たちの投票権も奪っていいのかというね、そういう問題があるんだと思いますね。

徳永有美アナ:あの、11月に菅官房長官会見で、「どのような形で県民投票が行われるかわかりませんが、まあ影響を与えるということは全くないと思います」というふうにおっしゃってるんですよね。

後藤氏:でしたら是非県民がどういう意見を持っているのか、賛成反対も含めてですね、全体を見るというのがやはり民主主義だと思うんですね。そうしなければ次の一歩が前に行かないと。結局この不毛な議論がまた続いてしまうと。いうことで一度きっちり答えを出すということが重要なんだと思いますね。

今回の報道の問題点は2点あります。
1点目は公平な報道がなされていたかどうか。
2点目は事実をまげずに報道していたか。
どちらも放送法に抵触する恐れがあります。

1点目です。今回の視点そのものが基地移設反対派からの報道でありました。基地反対派によって推し進められた県民投票を当然すべきものであるというふうに扱い、以下の後藤氏の解説によって県民投票に参加しない自治体を悪者扱いしているかのような印象を抱きます。

後藤謙次氏:あのーやはり民主主義にとってですね、非常に問題だと思いますね。この県民投票、県の条例に基づく投票なんですが、民主主義っていうのは民意がどこにあるんだと、ただいつもふだんの日常的には全員が参加できないので、まあ議員が代表・代理に、まあ政治を行うということなんですが、こういうふうにテーマがしっかりしている問題についてはですね、是非みんなで意見を聞こうというのが民主主義の原点だと思いますね。VTRでは2割くらいの人がどうも投票に参加できないんじゃないかと、ただ今どんどんまた市が増えてますから、全体として3割くらいの人が投票できない可能性があるんですね。となるとこの県民投票は、全員参加できないんだから完全なものじゃない、だから意味がないんだという主張をたぶん展開したいんだろうなという感じもするんですけども。

移設反対派の立場に立ち、県民投票を必ずすべきものであり、それに参加しない自治体は民主的ではないとでも言わんばかりな解説です。
県民投票に参加しない自治体はなぜ参加しないのか、その経緯をしっかりと報道した上でその問題点を指摘するのであれば分かりますが、その経緯については今回の報道では分かりません。反対派の立場からのみの報道は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

放送法4条
(2)政治的に公平であること
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること

次に2点目です。この県民投票そのものに関して事実を曲げていないか、どうかですが、基地移設は日本とアメリカの国同士の取り決めであります。それを決定したのは民主的に選ばれた日米両政府の取り決めであるためその決定は民主的な決定であるとも言えません。
しかし後藤氏は以下のように述べています。

後藤氏:是非県民がどういう意見を持っているのか、賛成反対も含めてですね、全体を見るというのがやはり民主主義だと思うんですね。そうしなければ次の一歩が前に行かないと。結局この不毛な議論がまた続いてしまうと。いうことで一度きっちり答えを出すということが重要なんだと思いますね。

県民投票のみで基地移設に影響が出るのであればそれこそ民主的であるとは言えません。全体を見た民主主義は国民が選んだ政府によって取り決められることであるはずです。これでは基地移設は沖縄の問題なのか、国同士の問題なのか、焦点がどこなのか分かりません。当然国同士の話ですが、後藤氏は沖縄だけの問題であるかのように扱っています。
これは以下の放送法に抵触する恐れがあります。

放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること

視聴者の会は公正な報道を実現すべく、監視を続けてまいります。

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