2019年1月20日 サンデーモーニング(後編)

2019年1月20日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年1月20日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
厚労省の統計問題について報道された部分
沖縄県民投票における自民党議員の指南書配布について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
厚労省の統計問題について報道された部分における
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
沖縄県民投票における自民党議員の指南書配布について報道された部分
となります。

では、さっそく①の検証3をみてみましょう。

3、青木氏の発言に、視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):大隈重信は要するにこう言ってるんですね。「国の現状を正確に知らないと政治はできない」と。それから、「過去の政策の結果と比較しなければ政策の良し悪しも判断できない」と。つまり、まさにおっしゃったように、本当にこれ国家の土台なんですよね。(中略)本当非常に重大な事態で、今回に関していうと、確かにこれは安倍政権の前からやってたんですよ。(中略)でもやっぱり、今回その入管法改正とかね、あるいは働き方改革なんかで、どうもずさんなデータとかデタラメなデータとかデータが隠されたりってのがいっぱい出てきてるのは、やっぱり政治にこういう官僚の統計までがついに引っ張られ始めてるんじゃないかっていうあたりの重大性ってのは、本当に深刻な問題だと思いますよ。

要旨をまとめると、
・統計は国家の土台である
・安倍政権の前からこの統計ミスは存在した。だが、入管法改正や働き方改革でずさんなデータやでたらめなデータが出てきているのは官僚の統計が政治に引っ張られているからだ。
というものです。

しかしながら、
・今回の統計ミスと安倍政権には何の関係性もなく、無理矢理安倍政権の責任を問うような論調にすることは政治的公平性を欠く
・今までの統計に問題があったことは事実だが、それがすなわち官僚の統計が政治に引っ張られているということを示すわけではなく、またそれを証明する直接の証拠はない

などという、発言の趣旨とは異なる事実や見解が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
② 沖縄県民投票における自民党議員の指南書配布について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
・辺野古移設問題で、埋め立ての賛否を問う来月24日の県民投票をめぐり有権者の約3割を抱える5つの自治体が不参加を表明
・自民党の宮崎衆議院議員が、去年県民投票の不適切さを訴え関連予算案の否決に全力を尽くすべきだとする文書を自治体に配っていたことが明らかになった
・宮崎議員は会見で、条例の解釈などを示したものだと説明している

——-
【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):この5つの自治体の長などの人たちってのはやっぱり政権に近かったりとかってことで、どうも政権の意向というものが背後にありそうだなというような感じがするんですよね。ただこれ、極論をすると、解散総選挙が気に食わないから、わが自治体はね、選挙準備やりませんとか、憲法の国民投票を、改憲に反対だから事務をやらないっていうのと理屈の上では同じことになっちゃうわけですよね。つまりだからこれ、沖縄県がその民意を問うんだと、それは議会で決めたわけですよね。で、やろうというときに、一部の自治体にたまたま住んでるだけで投票できないっていうのは、これはまさに憲法違反だし、ちょっとこのまあ、沖縄県側が新しい譲歩案を出すみたいなので、この5つの自治体の皆さんは政治的信条は別としてね、県民の権利だけは奪わないっていうところに戻ってきちんと参加していただきたいなと思いますけどね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に、視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):この5つの自治体の長などの人たちってのはやっぱり政権に近かったりとかってことで、どうも政権の意向というものが背後にありそうだなというような感じがするんですよね。ただこれ、極論をすると、解散総選挙が気に食わないから、わが自治体はね、選挙準備やりませんとか、憲法の国民投票を、改憲に反対だから事務をやらないっていうのと理屈の上では同じことになっちゃうわけですよね。つまりだからこれ、沖縄県がその民意を問うんだと、それは議会で決めたわけですよね。で、やろうというときに、一部の自治体にたまたま住んでるだけで投票できないっていうのは、これはまさに憲法違反だし、ちょっとこのまあ、沖縄県側が新しい譲歩案を出すみたいなので、この5つの自治体の皆さんは政治的信条は別としてね、県民の権利だけは奪わないっていうところに戻ってきちんと参加していただきたいなと思いますけどね。

要旨をまとめると、
・県民投票を実施しない自治体の長は政権に近いので、政権の意向が背景にある
・投票の拒否を認めるのは、解散総選挙や憲法改正の国民投票を実施しないことと同じである
・沖縄県が議会で決めた県民投票に参加できないのは憲法違反だ
・5つの自治体の住民は政治的信条は別としてこの投票に参加してほしい
というものです。

しかしながら、
・県民投票の不実施は市議会の決定事項で、首長の独断によるものではないため、政権の意向とは無関係である。根拠もなしに政権を原因に置くのは政治的な公平性を欠くといえる。
・住民投票で法的に効力があるのは、
1)国会が特定の地方自治体にのみ適応される特別法を制定する場合(日本国憲法95条)
 2)議会の解散(地方自治法第5章第2節)
 3)議員の利殖(同上)
 4)首長の解職(同上)
 の4種類のみで、今回の県民投票はあくまで県独自の条例であり、したがってその参加や結果に法的拘束力を持つものではない(総務省見解)
・したがって、今回の投票を見送ったからと言って憲法に違反するものではないし、また法的拘束力のある解散総選挙や憲法改正の国民投票をしなくていいという道理にはならない。無理筋な主張と言わざるを得ない。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「沖縄の県民投票は実施すべきだ」「辺野古移設は沖縄の声を聴くべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「県民投票実施は義務ではない」「国防は自治体の管轄ではない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

①厚労省の統計問題について報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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