サンデーモーニング、2020年8月16日分の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 「風を読む」にて終戦記念日について報道された部分
② 新型コロナの感染拡大について報道された部分
③ 寿都町の核ごみ処理について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
続いて、
③ 寿都町の核ごみ処理について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。
【VTR要約】
8月13日、原発から出る高レベル放射性廃棄物、いわゆる核のごみの最終処分場の選定の調査に、北海道の寿都町が応募を検討していることが分かりました。
寿都町片岡町長は「なかなかここの地域で財源が見出せない中で、有効な財源として検討する余地もあると。」と述べました。
処分地の選定には3段階の調査があり、第1段階の文献調査を受け入れると、2年間で最大20億円の交付金が国から支給されます。これに対し、梶山経済産業大臣は一歩前進だと評価したうえで、自治体明は述べませんでしたが、ほかにも関心を示している自治体が複数あることを明らかにしました。
【コメンテーター発言内容】
竹下氏(全文):この寿都町というのは海に面していてもともと漁業の町なんです。昔はニシンなどが盛んにとれたんですが、だんだん取れなくなって、非常に衰退していると。こういう衰退する自治体に対して国がお金と引き換えにいろんな施設を押しつけるというのは本当にこれまで日本の歴史で何度も見られてきた構図だと思います。当然、地方をどう活性化するかというのは大事なポイントなんですがやはりこれ、お金とか地方の活性化の問題ではなくて国のエネルギー政策として議論しなきゃいけないと思うんですね。国が都合がいい自治体に何かを押しつけるのではなくて、エネルギー政策をどうしていくのかというのは議論していかないといけないですし、私は、まだまだ国として国としてどういうふうなエネルギー政策を出してくいんだという議論は足りないなと思っています。地方自治体にお金と引き換えに押しつけることだけはしてはいけないと思います。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
竹下氏は今回の報道で、以下のように述べています。
竹下氏(抜粋):この寿都町というのは海に面していてもともと漁業の町なんです。昔はニシンなどが盛んにとれたんですが、だんだん取れなくなって、非常に衰退していると。こういう衰退する自治体に対して国がお金と引き換えにいろんな施設を押しつけるというのは本当にこれまで日本の歴史で何度も見られてきた構図だと思います。当然、地方をどう活性化するかというのは大事なポイントなんですがやはりこれ、お金とか地方の活性化の問題ではなくて国のエネルギー政策として議論しなきゃいけないと思うんですね。国が都合がいい自治体に何かを押しつけるのではなくて、エネルギー政策をどうしていくのかというのは議論していかないといけないですし、私は、まだまだ国として国としてどういうふうなエネルギー政策を出してくいんだという議論は足りないなと思っています。地方自治体にお金と引き換えに押しつけることだけはしてはいけないと思います。
要旨をまとめると、
・寿都町はもともと港町だったが、衰退している。衰退している自治体に対して、日本は幾度もお金と引き換えにいろんな施設を押し付けてきた。
・寿都町の問題は地方のお金の問題ではなく、国のエネルギー政策としてどうしていくか議論していかないといけない。
・まだ、国とのエネルギー政策の議論は足りない
というものです。
しかしながら、
・将来の人間の管理にゆだねずに済むように人間の生活環境から分離して地下深くの安定した場所に処理をする、極めて安全な処理方法である高レベル放射性廃棄物のメリットを提示せず、「国からの押し付けである」と批判するのは政治的公平性に欠く。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での竹下氏の発言は政治的に公平でないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。
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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「原発の存在自体が悪である」「原発の再稼働をすべきではない」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「原発の発電能力を代替できるほどのコスパの良い発電方法が現状にない」「核ごみ自体はすでに発生しているのだから、処理方法については早急に取り組まないといけない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
①「風を読む」にて終戦記念日について報道された部分
については前編の報告を、
② 新型コロナの感染拡大について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。