2019年3月17日 サンデーモーニング(前編)

2019年3月17日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年3月17日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① NZモスクでの銃乱射について報道された部分
② 北朝鮮のミサイル施設再建と交渉中断の示唆について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① NZモスクでの銃乱射について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
NZで銃を乱射したタラント容疑者の姿が映し出される。容疑者が指で示したサインは白人至上主義のシンボルであると伝えた後、銃乱射事件の概要が説明される。CM後、容疑者がネット配信した事件の映像と目撃者のインタビュー映像を流しながら事件の詳細をさらに説明。2011年のノルウェー連続テロ事件を引き合いに他民族を排斥する流れが広がっていると伝えられる。
トランプ大統領が記者団の質問を受ける映像に切り替わる。「白人至上主義が世界的な脅威として台頭しているか?」との質問にトランプ大統領「特にそうは思わない。深刻な問題を抱えているのは一部の人間だ」と述べる映像が流される。
最後に「トランプ大統領は白人至上主義をはっきりと批判せず、移民を標的としたテロに波紋が広がっています。」と伝えられ、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
① 事件の概要
・死者50人、負傷者50人(重体2人)
・3人の身柄を拘束しているが、単独犯との見方も出ている
・タラント容疑者が拡散した文書「侵略者(移民)が引き起こした、数十万の死に対する仕返しだ」

② ヘイトクライムとみられる主な銃乱射事件
・2011年(77人死亡)移民排斥などを訴える白人至上主義者の犯行とみられる
・2015年(9人死亡)黒人を狙った白人至上主義者の犯行とみられる
・2018年(11人死亡)反ユダヤ主義者の犯行とみられる

【コメンテーターの発言】
大宅映子氏(要約):(NZは)世界でも一番治安が良いと言われ続けてた場所なので本当にびっくりした。ちょっと車を走らせると自然林がずっと広がっているような、本当に自然そのままの「のどか」という言葉が一番似合う場所での事件なのでとても驚いている。

田中秀征氏(全文):これ、白人至上主義っていうだけじゃないと思うんですよね。他の人種的な問題が非常に前に出てきてる。だから、イギリスのEU離脱とか、フランスの今のデモとか、アメリカの壁の問題とか、皆同じ現象だと思うんですよね。だから、経済的理由が発端で人が動くわけですよね。そのこと自体が非常に文化的な摩擦、社会的摩擦を起こしてるっていう。時代現象っていうか歴史現象っていうか。非常に大きな流れで、もうニュージーランドの話を聞いてすぐ思ったのが、「日本も例外ではない」。そうに思いましたよね。

岡本行夫氏(要約):世界中でグローバリゼーションに対する揺り戻しが起こっている一環でもあると思う。グローバリゼーションは良いことではあったが、移民・難民がヨーロッパ等へ急激に流入にしたこと対する住民の軋轢・反発がある。そこに、ネット社会・SNSの普及が進んで犯罪行為をムーブメントとして起こすことができるようになった。白人至上主義をはっきりと否定しないトランプ大統領の姿勢も良い影響を与えているとは言えないと思う。

荻上チキ氏(要約):今回の声明文でも、(容疑者は)自分の正当性を強くしている。侵略者から攻撃を受けたことへの正当な反撃だと位置づけている。容疑者が発表した声明文とネット配信した映像が教典・お手本のような形でネット上に残り続けていくことで、さらに模倣犯が生まれないように注意が必要だと思う。

青木理氏(全文):秀征さんがおっしゃいましたけど、本当に日本も例外ではないんですよね。つまり、弱者とかマイノリティーとか異質なものに対するある種の差別とか憎悪とか。それがまさにヘイトクライムであったりするんですけれども。考えてみると、在日コリアンの人たちに対するヘイトスピーチなんてものもあるし、それから種類が違うんですけれどもある意味同じ構図なのが、相模原の障がい者の事件。四十数人の方が亡くなりましたけれども。要するに、障がいのある人たちは生きてる価値がないんだみたいなことを言って、大量殺戮するっていうのは、またこれも一種のヘイトクライムですよね。だから世界中に広がってはいるし、それがその非常に問題なのも、もちろんなんだけれども、私たちの足元にも、そういうその芽というかね。もう既にこう、芽吹いているものあるんじゃないかっていう危機意識は、やっぱり持つべきかなと思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、 田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、 青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):これ、白人至上主義っていうだけじゃないと思うんですよね。他の人種的な問題が非常に前に出てきてる。だから、イギリスのEU離脱とか、フランスの今のデモとか、アメリカの壁の問題とか、皆同じ現象だと思うんですよね。だから、経済的理由が発端で人が動くわけですよね。そのこと自体が非常に文化的な摩擦、社会的摩擦を起こしてるっていう。時代現象っていうか歴史現象っていうか。非常に大きな流れで、もうニュージーランドの話を聞いてすぐ思ったのが、「日本も例外ではない」。そうに思いましたよね。

要旨をまとめると、
・この問題は白人至上主義の問題ではなく、人種差別の問題だ
・イギリスのEU離脱、フランスのデモ、アメリカメキシコ間の壁と同じ現象で、経済的理由で人間が動くことが社会の摩擦を生んでいる
・こうした流れを考えると日本も例外ではない
というものです。

しかしながら、
・イギリスのEU離脱は移民問題、フランスのデモは燃料税引き上げ、アメリカメキシコ間の壁は不法移民問題と、これらの問題の背景は人種差別とは全く別の問題である
・こうした銃撃事件を日本と絡めるのは全く理にかなっておらず、根拠のない妄言と言わざるを得ない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):本当に日本も例外ではないんですよね。つまり、弱者とかマイノリティーとか異質なものに対するある種の差別とか憎悪とか。それがまさにヘイトクライムであったりするんですけれども。考えてみると、在日コリアンの人たちに対するヘイトスピーチなんてものもあるし、それから種類が違うんですけれどもある意味同じ構図なのが、相模原の障がい者の事件。四十数人の方が亡くなりましたけれども。要するに、障がいのある人たちは生きてる価値がないんだみたいなことを言って、大量殺戮するっていうのは、またこれも一種のヘイトクライムですよね。だから世界中に広がってはいるし、それがその非常に問題なのも、もちろんなんだけれども、私たちの足元にも、そういうその芽というかね。もう既にこう、芽吹いているものあるんじゃないかっていう危機意識は、やっぱり持つべきかなと思いますよね。

要旨をまとめると、
・弱者やマイノリティーといった異質なものに対する差別意識や憎悪がヘイトクライム
・日本でも在日コリアンに対するヘイトスピーチがあり、相模原の障碍者殺人事件もあった。世界だけではなく日本でもこうしたヘイトクライムがあるという危機意識は持つべき
というものです。

しかしながら、
・「ヘイトクライム」とは差別意識や憎悪によって引き起こされる犯罪行為のことで、犯罪行為になっていないものをヘイトクライムとは呼ばない
・日本における在日コリアンの問題や障碍者の問題と、海外における反イスラム・反移民の動きは背景として異なる部分が多く、全く同一の問題として扱うのは乱暴な議論と言わざるを得ない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
②北朝鮮のミサイル施設再建と交渉中断の示唆について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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