2020年8月9日 サンデーモーニング(後編)

2020年8月9日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年8月9日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスに関して帰省やリーダーシップについて報道された部分
② 敵基地攻撃能力について報道された部分
③ 徴用工問題について報道された部分

 以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③徴用工問題について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
菅官房長官「現金化に至ることになれば、深刻な状況を招くので、避けなければならない、今後とも韓国側に早期に解決をするよう強く求めていきたいと思います。」
4日火曜日、韓国の徴用工訴訟を巡り賠償を命じられた日本製鉄に対し、資産差し押え命令の決定書が届いたとみなす手続きの効力が発生しました。資産の現金化に一歩近づいたことになり日韓関係、さらなる悪化が懸念されています。

【コメンテーター発言内容】
水野氏(全文):元徴用工を巡る裁判。韓国人の元徴用工らが戦時中の強制徴用されたとして日本企業に対して損害賠償を求める訴訟を起こしていたものです。この問題は、歴史的には日韓両政府ともに解決済みとしてきた経緯もあり日本は韓国に対応の是正を求めています。この問題が注目されるようになったのは、2018年、韓国の最高裁、大法院が出した新日鉄住金、現在の日本製鉄に対し元徴用工の韓国人4人に合計4億ウォンの損害賠償を命じた判決です。これまで日鉄は賠償についての協議に応じなかったことから6月、韓国の裁判所は資産の差し押え命令を公示。4日にこの手続きの効力が有効となったことで日鉄の資産の差し押さえが決定しましたが、7日に即時抗告したことで再び司法の判断を待つことになりました。差し押さえる対象となっているのは、日鉄が保有する韓国の鉄鋼大手ポスコとの合弁会社の株式、およそ8万株です。この株は非公開株となっているために、賠償に充てるには価格の鑑定などが必要で、資産の売却までは数カ月かかるとされているんですが、抗告が退けられて資産が現金化されるような事態になれば、日本企業が直接、損害をこうむることになり、日韓関係の悪化が加速するおそれがあるといわれています。そもそも日韓両政府は1965年の日韓請求権協定の締結以来、元徴用工の問題は解決済みという立場をとってきました。この協定では、日韓両国と国民の財産、権利及び利益、並びに請求権などに関する問題が完全かつ最終的に解決されたと明記されているのです。このとき、日本政府は韓国政府に対して賠償金として無償で3億ドルを拠出。 2005年に韓国のノ・ムヒョン政権も賠償金から補償は行われたという認識を示しています。 しかし一転、2018年の大法院の判決は日本による韓国の植民地支配は不法なものであり不法行為は協定の対象外とした上で請求権の補償には個人の精神的苦痛などの損害賠償が含まれていないと判断。 これまでの認識をひっくり返してしまったのです。 この判決について韓国側が解決策を示さないと協議に応じられないとする日本政府と具体案は示さないが日本と協議し、問題を解決したいという韓国政府の姿勢は平行線のままです。 この問題を巡っては去年、日本が行った韓国に対する輸出管理が報復措置に当たるとして韓国がWTOに提訴し、交渉のカードとしてGSOMIAの破棄を切り出すなど慰安婦問題と並んで日韓関係悪化の大きな要因となっています。国家間で落としどころを見つけた問題が再燃し、暗雲が垂れ込める日韓関係。解決の糸口は見つかるのでしょうか。

高橋氏(全文):資産の現金化だけは何とか食い止めなければ大変なことになるので、やはり両国政府は知恵を絞らなければならないと思うんですが、あっちが悪いんだとか、そっちがどうにかしろとかお互い言い合っているだけでやっぱり知恵を絞るということが外交なわけですから、これまでも75年間、ずっといろんな知恵を絞りながら日韓関係、築いてきたものがあるのでやはり両国政府が歩み寄ってなんとか糸口を見つけて欲しいなと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、高橋氏の発言に政治的に公平でない恐れのある内容が含まれている
これについて解説します。

1、高橋氏の発言に政治的に公平でない恐れのある内容が含まれている
高橋氏は今回の報道で、以下のように述べています。

【コメンテーター発言内容】
高橋氏:資産の現金化だけは何とか食い止めなければ大変なことになるので、やはり両国政府は知恵を絞らなければならないと思うんですが、あっちが悪いんだとか、そっちがどうにかしろとかお互い言い合っているだけでやっぱり知恵を絞るということが外交なわけですから、これまでも75年間、ずっといろんな知恵を絞りながら日韓関係、築いてきたものがあるのでやはり両国政府が歩み寄ってなんとか糸口を見つけて欲しいなと思います。

要旨をまとめると、
・資産の現金化はなんとか食い止める必要があり、両国政府が知恵を絞らなければならない。
・外交とは知恵を絞ることであるので、どちらが悪いなどと言い合うのではなく、両国政府が歩み寄って解決の糸口を見つけてほしい。

というものです。

しかしながら、
・高橋氏は今回の発言で「両国政府が歩み寄って解決するべきである」という主張を行っている。
しかしながら、VTR後の水野氏の解説でも述べられた通り、この問題に関してはそもそも日韓両政府は1965年の日韓請求権協定の締結以来、元徴用工の問題は解決済みという立場をとってきた上に、2005年に韓国のノ・ムヒョン政権も賠償金から補償は行われたという認識を示している。そのような状況で突然状況を覆す対応を行ったのは韓国側であり、韓国側の解決策なしに協議には応じられないという日本側の立場はおおよそ正当なものである。にもかかわらず「両国政府が歩み寄るべきである」という旨のみを主張する今回の発言は、政治的に公平でない。

以上のことから、今回の報道での高橋氏の発言は放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平ではない放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 新型コロナウイルスに関して帰省やリーダーシップについて報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

② 敵基地攻撃能力について報道された部分
については、中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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