2020年4月19日 サンデーモーニング(中編)

2020年4月19日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年4月19日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言と国内感染者の増加について報道された部分
② アベノマスク配布と一律10万円給付について報道された部分
③ 韓国の大統領選挙ついて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② アベノマスク配布と一律10万円給付について報道された部分

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
4/14(木)に郵便局に次々と運び込まれる段ボール。その中身は政府が全世帯に運び込まれた2枚の布マスク、いわゆるアベノマスクの配達が翌日から始まりました。
国内の5000万世帯に配られる2枚の布マスクに投じられた費用はおよそ466億円です。
また、条件をつけて収入が半減した世帯に30万円を給付する方針から1人あたり10万円の給付へ変更しました。公明党の山口代表が安倍総理に直談判したといいます。10万円の給付は野党も主張していました。
安倍総理は給付の具体的な方法や給付の時期には言及しませんでした。貧困を支援するNPOのコールセンターには新型コロナウィルスの影響で収入を失った人たちからのSOSが相次いでいます。

【コメンテーターの発言】
寺島氏:現在の日本の政治のレベルではマスク2枚と一律10万円が限界。ただ、指導者は本当のことを体系的に語るべき。例えば14兆円の財源は税金か赤字国債。本当のことというのは例えば3.11の東北大震災の復興特別税を今、日本の平均的なサラリーマンの年収、数え所得が500万円くらいの人は25年間2.1%の復興特別税を払っていて、これがほぼ10万円。この先15年もこれを払い、さらに消費税も上げている。責任ある政治なら財源をどうするのか。政治が身を切る改革というんだから、この議論を始めるなら国会議員の削減などを含めて何を身を切るのかをという覚悟を示さないと一律10万円が政府から落ちてくるような感覚で説明するのは誠に無責任。

安田氏(全文):なかなか遅々として公的支援が進んでいかないさなかだと思うんですけれども、こうした中で安倍首相からは今週、こうした支援を世界で最も手厚い支援なんだ、日本の支援はということをおっしゃっていたと思うんですね。権力を持つ人が自画自賛をするときって大抵最も苦しい人たちの意見を聞いていないか、聞かないようにしているときだと思うんですよね。給付をするにしても大切なのは今後のやり方で例えば今、家族の在り方も多様化していますしあるいはDVの被害を受けて、住民票はそのままにそこから避難をしている方もいらっしゃるわけですよね。だからこそ例えば世帯ごとではなくて、
世帯主を通してでもなくて、個々人に行き渡るようにすべきだと私は思います。

涌井氏(全文):今、私の頭の中にあるのは躍る言葉という印象なんですね。それはいたずらに政治スローガンが形容詞を強めている。例えば断固としてとか、これまでにないとかですね、そういう言葉は必要がない。ドイツのメルケルが、自分がいかに東ドイツで行動の自由を獲得するのに苦労してきたのかと、その結果、これを統制しなきゃいけないことは非常に自立的でなければならないという演説をしてドイツの国民の心を揺さぶったような、そういう一つの考え方が全くない、見えない敵との戦いだと言いながら実は平時の発想と全く変わってない。これが逐次投入という形で、一番重要なポイントの転換点というものを見失ってしまった、これが拡大につながっているとしか思えないですね。

松原氏;普通閣議決定して補正予算を組んだら組み換えはまずしない。それほど30万円や2枚のマスクなどが不評で政権が相当追い詰められていると思う。一番大事なのは10万が何のお金かという腰が定まっていないということ。政府は休業補償はしないが、経済支援はするという言葉遊びのようなことを続けている。でも本来はお金があって安心してうちにいるように感染防止をする命を守るお金であるということ。そこが定まらないからこの一か月間ぐだぐだしてさらにもう1回組み替える、また時間がかかるという悪循環になってしまったという気がする。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。

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1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):なかなか遅々として公的支援が進んでいかないさなかだと思うんですけれども、こうした中で安倍首相からは今週、こうした支援を世界で最も手厚い支援なんだ、日本の支援はということをおっしゃっていたと思うんですね。権力を持つ人が自画自賛をするときって大抵最も苦しい人たちの意見を聞いていないか、聞かないようにしているときだと思うんですよね。給付をするにしても大切なのは今後のやり方で例えば今、家族の在り方も多様化していますしあるいはDVの被害を受けて、住民票はそのままにそこから避難をしている方もいらっしゃるわけですよね。だからこそ例えば世帯ごとではなくて、世帯主を通してでもなくて、個々人に行き渡るようにすべきだと私は思います。

要旨をまとめると、
・公的支援が進んでいない中、安倍首相は世界で最も手厚い支援を行うと言っていたが、権力を持つ人が自画自賛するときは最も苦しい人の意見を聞いていないときである。

しかしながら、
・中小企業や個人事業主に対しての給付金や、国税の猶予制度等など、コロナウイルスによって困窮する方に対する政策は実施を予定しており、「安倍首相が最も苦しい人の意見を聞いていない」という安田氏の主張は事実に明らかに反し、政治的に公平でない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は政治的に公平でなく、また
事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
涌井氏は今回の報道で、以下のように述べています。

涌井氏(抜粋):今、私の頭の中にあるのは躍る言葉という印象なんですね。それはいたずらに政治スローガンが形容詞を強めている。例えば断固としてとか、これまでにないとかですね、そういう言葉は必要がない。ドイツのメルケルが、自分がいかに東ドイツで行動の自由を獲得するのに苦労してきたのかと、その結果、これを統制しなきゃいけないことは非常に自立的でなければならないという演説をしてドイツの国民の心を揺さぶったような、そういう一つの考え方が全くない、見えない敵との戦いだと言いながら実は平時の発想と全く変わってない。これが逐次投入という形で、一番重要なポイントの転換点というものを見失ってしまった、これが拡大につながっているとしか思えないですね。

要旨をまとめると、
・ドイツのメルケルは東ドイツで自由の獲得と自立することの重要性を演説しドイツ国民の心をうごかしたが、安倍首相は心を動かすような考え方ができていない。
・このような首相の態度がコロナウイルス感染の拡大につながっている
というものです。

しかしながら、
・涌井氏の主張は、ドイツを評価し日本のコロナウイルスの対応がだめであるという認識を視聴者に与えるが、当レポート前編でも述べたように、ドイツがコロナウイルスに対して適切に対処できているとは言い難く、事実に反する恐れがあり政治的にも公平ではない。
・新型コロナウイルス感染症対策専門家会議の発表しよれば、感染拡大が発生する要因としては感染経路が不明なクラスターの発生であり、涌井氏の「首相の態度がコロナウイルスの感染拡大につながる」という主張は根拠が何ら一つ存在せず、事実に反する恐れがあり政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での涌井氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「マスク給付は不十分な政策」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「マスクは医療機関等重要な機関に優先的に配布するためである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③韓国の大統領選挙ついて報道された部分
について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 緊急事態宣言と国内感染者の増加について報道された部分

については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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