2018年12月23日 サンデーモーニング

2018年12月23日 サンデーモーニング

サンデーモーニング、2018年12月23日の検証報告です。

今回の報告では、
天皇陛下の誕生日について報道された部分
韓国徴用工が韓国政府を提訴した件について報道された部分

以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第2章第4条と照らし合わせて検証します。

最初に検証するのは、① 天皇陛下の誕生日について報道された部分となります。
では、さっそく放送内容をみていきましょう。

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【VTR】
冒頭から、橋谷アナによる「16分間に渡り自らの思いを述べられました」というナレーションとともに、平成最後の誕生日会見が行われる様子が映し出される。
放送内で、陛下は主に以下の3点について触れられている。
①戦後の焼け跡から復興への歩みを踏み出す日本と、終戦からの自らの歩みを振り返られる場面
②地上戦の舞台となった沖縄について言及し、「沖縄の人々が耐え続けた犠牲に心を寄せていくとの私どもの思いは、これからも変わることはありません。」と平和の大切さを語りかけられる場面
③結婚60年を迎える皇后陛下について、「結婚以来、皇后は常に私と歩みを共にし、私の考えを理解し私の立場と務めを支えてきてくれました」と皇后陛下に感謝と労いの言葉を述べられる場面

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【コメンテーターの発言】
姜尚中氏:3つの点が非常に印象に残った。1つ目は、象徴として天皇に非常に力点を置かれたこと。2つ目は、陛下は透徹した歴史認識を、かなり明確に持ってらっしゃるということ。3つ目は、戦争と平和について、明確に意見を述べられたというところ。この3点が非常に印象に残った。

大崎麻子氏:日本国内の出来事や日本国民に対する眼差しともに、“世界のなかの日本”という視点、 “世界の平和のために日本がどう在りたいのか”という視点を常に持ち続けられたことに対して、深い敬意を覚えた。

岡本行夫氏:85歳という歳で、これだけ包括的にきちんと仕事をこなしていらっしゃる方は他にいないと思う。お言葉一つ一つに重い意味が入っており、これだけ透徹したご認識をお持ちなのかなと尊敬と感謝あるのみだった。

安田菜津紀氏:会見の中で、難民問題にも触れている場面があり、最近のご活動をみても日本国内の海外出身の方にも目を向けられているように思う。今、外国人労働者の受入れがますます拡大されているなかで、そういった方々が顧みられない存在にならないようにということが、私達に投げかけられていると感じる。

青木理氏:天皇の言動が政治性を帯びること、帯びさせることがいけないのが前提だが、安田氏の言う通り災害、沖縄、反戦、それに外国人労働者に触れるなど、ある種政治的である。一見当たり前のことを言っているが、戦争を知る世代の代表としてずっと反戦で沖縄のことを言い続けたことにどう耳を傾けるかが重要だ。世界中で排外主義や歴史修正主義が横行し、日本の政権にもその気配が強いなかで、天皇がまっとうなメッセージの発信者になっていることが日本の問題を映し出している。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体が一つの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

①青木氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):(前略)災害、沖縄、それから反戦、非戦。それ以外に、外国人労働者についても触れてるんですよ。(中略)ある種その、政治的なんですよね。(中略)戦争を知っている世代のある種の代表として、ずっと反戦であり非戦であり沖縄ってことを言い続けたってことの、意味っていうのを、僕らはどう耳を傾けるか。政治性を帯びさせないで、耳を傾けるかってのが重要で。一方で考えてみると、やっぱりこう排外主義というかね、世界中でそうなんですけれども、ある種の歴史修正主義とかっていうのが結構横行してて、どうも日本の場合、政権にもその気配が結構強いんじゃないかっていう中で、逆に天皇が常識的というか真っ当なメッセージの発信者となっちゃってるのが、逆に今の日本社会、世界の病が逆に映し出されちゃってるなという感じが僕はしましたよね。

要旨をまとめると、
・災害や沖縄、反戦や非戦、そして外国人労働者など、天皇陛下の発言内容はある種政治的である。
・戦争を知っている世代の代表であるから、そういう人が反戦や沖縄について言い続けていることを我々は考えるべきだ。
・世界で排外主義や歴史修正主義が横行し、日本の政権にもその気配が強いなかで、発言が政治性を帯びてはいけない天皇陛下が真っ当なメッセージを送らざるを得ないという状況が、日本社会、世界の問題を映し出している。
というものです。

しかしながら、
・天皇陛下は話題となった国の重要決定事項についての見解を表明しただけで、政治的発言(主張)をしたわけではない。
・天皇陛下は戦争を知っている世代だけの、反戦意見を主張する側だけの代表ではない。
・以上2つの事実を無視し、天皇陛下の発言を政治的主張のように扱い自分たちの主張の補強とするのは、政治的公平性を欠くだけでなく天皇を政治利用している恐れがある
・世界中で排外主義・歴史修正主義が横行しているとあるが、これは行き過ぎたグローバリズムの反動とする主張を無視した政治的公平性を欠くものである。
・また、日本政府が排外主義・歴史修正主義を進めたというのは事実無根であり、根拠のない妄想と言われてもおかしくない
という、発言の内容と相反する事実があります。

よって、今回の青木氏の発言は放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

②この報道全体が一つの立場・観点に偏っている

今回の放送では、この問題について全体を通して「天皇陛下はさまざまな立場から主張をしており、そのことを受け止めるべきだ」「日本政府が排外主義・歴史修正主義に走るなかでバラスが取れている」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「天皇陛下はあくまで象徴であり、政治的影響力を持ってはならない。発言の一部を取り上げ自身の主張の補強に用いるのは天皇の政治利用だ」「日本が排外主義や歴史修正主義に走ったことはない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げられませんでした。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

続いて、②韓国徴用工が韓国政府を提訴した件について報道された部分となります。
それでは、放送された内容を見ていきましょう。

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【VTR】
関口氏:戦時中に日本で強制労働させられたとされる韓国の元徴用工らが相次ぎ補償を求めている問題。韓国の最高裁は、日本企業に対し賠償を命じる判決を言い渡したんですが、元徴用工らおよそ1100人がこの日、今度は韓国政府を相手に訴えを起こしています。元徴用工ら、戦後、日本から資金援助を受けた韓国政府が個人への補償を十分に行ってこなかったとして、韓国政府に対し総額110億円の支払いを求めていますが、安田さん。どうみましょう。

安田菜津紀氏:そうですね。これ、日韓両政府の見解がどうあったとしても、それをもってして、この徴用工の問題を私達が知る必要がない、知らなくていいということにはならないと思うんですね。で、私達に起きてしまった責任というのが負いきれないかもしれませんけれども、繰り返さないためには、やはり背を向けられない歴史だと思うんですね。で、あのこうして訴訟が起きてから、日韓の自治体同士での交流が取りやめになったりということも起きてしまっていますし。ただむしろこういった時だからこそ、互いを知るための窓口というのがむしろ開かれていくべきだというふうに思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体が一つの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、安田氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):これ、日韓両政府の見解がどうあったとしても、それをもってして、この徴用工の問題を私達が知る必要がない、知らなくていいということにはならない(中略)私達に起きてしまった責任というのが負いきれないかもしれませんけれども、繰り返さないためには、やはり背を向けられない歴史だ

要旨をまとめると、
・徴用工問題は日韓両政府の見解にかかわらず私たちが知らなくていいということにはならない
・その責任を負い切れないとしても、私たちは歴史を直視すべきだ
というものです。

しかしながら、
・今回の徴用工訴訟の原告団は強制連行されたわけではなく、自ら志願したことが確認されている。
・徴用工問題の認知状況と日韓各政府の見解に直接の因果関係はない。
・この問題は日韓基本条約締結時に最終的かつ不可逆的に解決済みの問題である以上、歴史を直視する、背を向ける、責任を負うといった指摘は全く当たらない。

という、発言の内容と相反する事実があります。

よって、今回の氏の発言は放送法第2章第4条第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

この報道全体が一つの立場・観点に偏っている

今回の放送では、この問題について全体を通して「徴用工問題に日本が向き合うべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「徴用工問題は解決済みだ」「勧告を提訴するのはただしい行動だが、日本への告訴を取り下げるべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げられませんでした。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。今回の放送では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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