サンデーモーニング 2018年4月22日分の報告です。
今回最も時間を割いて報道されたのはの話題でした。
順に見ていきましょう。
最初の話題は「北朝鮮が核開発を放棄」についてです。
ーーー
【VTR】
・北朝鮮は21日、核実験と弾道ミサイル発射実験の中止を宣言
・これは前日に平壌で開かれた朝鮮労働党中央委員会の総会で決定
・金正恩党委員長は中止の理由を「核の兵器化の完結が検証された条件の下で、今や我々はいかなる核実験と中・長距離大陸間弾道ミサイル発射実験も不要となり、北部核実験場も自己の使命を果たした」と述べる
・トランプ米大統領はツイッターで「北朝鮮と世界にとって良いニュース」と発言、中国も歓迎を表明。
・韓国は「全世界が念願する朝鮮半島の非核化に向けた意味ある進展」との声明を発表
・朝鮮労働党の中央委員会の総会で20日採択された決定書では「核開発と経済発展の両方を追い続けるこれまでの並進路線の勝利」が宣言され、「今後は経済発展に総力を集中する」としている
・だが、核兵器の廃棄については一切言及がない。
・アメリカのメディアからは逆に核の維持を仄めかしているという指摘もある。
・アメリカのメディアは、コンペオ CIA長官が4月1日の復活祭の週末に情報機関員だけを伴って極秘に訪朝、金正恩党委員長と会談したと報道。
・一方で、韓国のムンジェイン大統領は19日、間近に迫った南北首脳会談の狙いについて 「65年間続いてきた休戦状態を終わらせ終戦宣言を経て平和協定へと進まなければなりません」と説明。
・韓国としてはまず北朝鮮との間に終戦協定を締結し、その後韓国と北朝鮮に米中を加えた4カ国の枠組みで平和協定を結びたいというシナリオが見える。
・朝鮮半島の非核化が実現するかは不透明な状況である。
ーーー
スタジオに戻り、改めて説明があった後、関口氏が会場にいるコメンテーターに意見を聞いていきました。
辺真一氏
「そうですね。やはり外交的孤立と経済的苦境から抜け出したいと、そのためにはその、非核化というカード、これ使わざるを得ない。(中略)金正恩委員長が習近平国家主席に約束したこと、韓国の特使、あるいはアメリカのポンペオ特使に約束したこと、これを嘘。また世界を欺くことになりますから、私はそういう意味でこの一歩を歓迎したいということですね。」
寺島次郎氏
「北のシナリオが見えてきたなっていう感じがですね、核実験中止って言ってるけど今ここで確認されてるよりむしろ核兵器を持つことをすでに固定化するというか、兵器化が終わったからですね、保ち続けるよと言ってる意味でもあるんですね。 (中略)日本にとっての、中距離のあるいは拉致とかって問題はどうなるのかって当たりをですね、じっと見てなきゃいけないそういう局面だとは思います。」
目加田説子氏
「(中略)日本の安倍さんはご指摘の通りアメリカに行ってトランプさんに拉致問題も含めて必ず念押しをしてねっていうことお願いしてきたけれども、何か日本はちょっと出遅れて、それで今のこの急展開している状況についていけてないような、ちょっと蚊帳の外にあるビックプレイっていうんですかね、交渉の当事者になっていないっていう感じがするんですね。(中略)ビジョンを描いて、最終的には核の問題についてもですね、工程表を見せて、そして自ら解決していくっていう何でしょう具体的なシナリオを書いていかないといけいない段階ないんじゃないかなという風にすごく思います。」
安田菜津紀氏
「(中略)例えば圧力であったり、リスクの想定だけではなくて、これだけ長い月日をかけてバラバラになってきた二カ国がその壁を乗り越えようという時に、隣国として一体何が出来るんだろうかということにも議論が及ぶべきではないかという思います 。」
涌井雅之氏
「(中略)やっぱり警戒はきちんとしながらもこの成功を祈るというのが心境ですね。」
青木理氏
「安田さんがおっしゃったのはすごく大切だと思っていて、かつて、植民地支配を日本がしてそういう苦しみを与えた地であるわけですよね。そこが未だに分断をされてると。なんとかその人たちがその再びここに戦火をもたらさないためにその平和を何とかしようと思って、もちろん北朝鮮と韓国にもいろんな思惑があるんですけれども、一緒に努力をしているという状況に歴史観みたいなものっていうのを日本がもたなくちゃいけないってのがひとつと、猛烈なスピードで皆さんおっしゃったように北朝鮮と韓国が主導する形で動いてるんですけれども、やっぱり日本は完全に取り残されてるなっていうことですよね。寺島さんおっしゃったような中近距離のミサイルの問題とか、拉致問題なんてのはアメリカに頼んで解決する問題でもなければ、日本が独自にちゃんと動いて解決しないといけない問題なんですよね。だから歴史観を持つそれから今の現実外交考えた時にその言葉悪いけども、馬鹿の一つ覚えみたいに圧力圧力って言ってても無策なのはどうなのか。やっぱり一歩前に出てね、その歴史に対しての責任もそうだしそれからこの地域の平和と安定に対する責任ってのも日本にはある。その自国の問題でもあるってことをそろそろ冷静に考えて動くべきだと思いますよね。」
関口氏「辺さん、韓国はこれを歓迎してますか?」
辺氏「韓国は相当歓迎してますね。ですから27日の首脳会談に相当と文大統領は期待をかけてますね。」
——–
ここで話題は安倍首相のアメリカ訪問・トランプ大統領との会談に移ります。
【VTR】
・アメリカが一方的に設定した鉄鋼とアルミの関税の対象から日本が除外されなかったことなどを引き合いにロサンゼルスタイムスから冷たくあしらわれたと表現された安倍総理
・17日、2度目となる別荘での日米首脳会談が始まった
・安倍総理の大きな目的は6月初旬までに予定されている米朝会談に向けた日米韓のすり合わせ
・トランプ「日本と米国の関係は固く、北朝鮮問題に対しての意見は一致している」
・結束を確認すると恒例のゴルフで親密さもアピール
・日米首脳会談初日のテーマは北朝鮮問題
・安倍首相「北朝鮮に対し規格化に向けた具体的行動を実際に実施するよう求めていくとの確固たる方針を改めて完全に共有しました」
・トランプ大統領に階段で拉致問題について取り上げるよう求めると、「拉致問題がシンゾーの頭の中で最重要なのはわかっている。拉致被害者が日本に帰れるようできる限りのことをやる」とトランプが名言
・固い結束をアピールした日米両首脳共同会見で安倍総理が最も強い口調で答えたのは、北朝鮮問題で日本だけが置き去りになるのではと質問された時。安倍首相は「日本だけが置き去りにされているのではという指摘は全く当たらないと思います」と強く否定
・日本との貿易不均衡の是正、ここでも安倍総理は日米の協力を強調
・が、 TPP 環太平洋パートナーシップ協定をめぐって両国のスタンスの違いがあらわに
・安倍首相「我が国としてはTPPが日米両国にとって最善と考えており、その立場を踏まえたうえで議論に臨みたいと」
・トランプ「私はTPPに戻りたくない。二国間交渉の方が好きだ」
・トランプはまた安倍総理が求めていた鉄鋼とアルミの関税の対象国から日本を除外することにもトランプ大統領は応じず厳しい姿勢
・決まったのは貿易に関する協議のため茂木経済再生担当大臣とライトハイザー通商代表による新たな窓口を設けるということだけ
・ライトハイザー氏はレーガン政権下で通商代表部の次席代表として日本に鉄鋼輸出の自主規制を認めさせたこともある強硬派で、今後日本に対し厳しい要求を突きつけてくることも予想される
・ワシントンポストがトランプ安倍親密関係も貿易問題で限界が露呈したと報じるなど日米の思惑のズレも垣間見えてきた
ーーー
関口氏「北朝鮮に関する問題についてはその後アメリカと日本の意見はちゃんときちんとあってるのかどうなのかって、これが心配ではありますが、ズレが大きかったんだ。これだったんですね。」
続いて、アナウンサーから、北朝鮮に対する姿勢については足並みを揃えた形にはなったこと。一方で通商問題では両国の認識の隔たりというのが鮮明になったことが伝えられました。
アメリカがTPP復帰よりも日米FTAの締結の意向を示し、トランプ大統領は巨額の貿易赤字をもたらしている日本に対して、いくつかのカードをちらつかせてこの貿易赤字を削減しようと考えていることが紹介されました。
具体的なカードとしては、まず拉致問題で連携をとったうえで、安全保障で協力をする。その代わりに貿易赤字の削減を求めていくという考え方があると触れていました。
一方で、米中間で今後貿易戦争が起こる可能性があり、日本の対応が今問われているとも伝えました。
寺島氏「暴走するトランプ列車にしがみついてね、蜜月を装ってるって言う印象がものすごく強いんですけども。アメリカ側からすればね『この程度で日本は満足するだろう』と。例えば拉致の問題を取り上げてあげればですね、日本人は半分ぐらいに納得するだろう、とか。というような思惑で動いてるとかですね、つまり、日本側としてはですね、北朝鮮問題を含むアジアに対する構想力・ビジョンを持って向き合ってんのかっていうことね。それから、なんか拉致と輸入制限だけお願いしに入ってるような空気からですね。一番大事なのはね、都合のいい友人ではなくてですね、きちっとした主張とこだわりを持った友人にですね、日本が変わっていけるかどうかっていう大変重要なとこにいると思いますね。本当に議論すべきこと、今、アメリカと正面から向き合って議論すべきことが議論されてないってか…。例えばね、沖縄基地地位協定、オスプレイの問題、いろんな問題がある。一切アジェンダに出てこない。それから中東に対するアメリカのスタンス、さらにはそのロシアに対する問題、そういうものに対していた日本もそれぞれ関係がありですね、自分たちの意見というものしっかり持ってね、向き合ってなきゃいけない。(中略)特に今アメリカですね、今回の交渉ではっきり見えてきてることは、安全保障と貿易とリンクさせてくるってことですね。はっきりとした意思を見せ始めてますよ。その辺りのことを見抜いてですね、ゆっくり正面線に出るってくらいの気迫持ってないとですね、この局面は打開できないですね。」
関口氏「辺さん、韓国は満足しているんですか?」
辺氏「満足はしてないですけどね。まあただ鉄工・アルミだけは免除されたっていう形に喜んでおりますけども。その他の面でね、相当プレッシャーを受けてますね。(中略)」
関口氏「涌井さんどう思われますか?」
涌井氏「(中略)結局そのトランプはですね、今寺島さんがおっしゃったように、安全保障とそしてこの貿易をリンクさせて、北朝鮮問題も含めて、結果としてはですね私は軍事装備と農産物で大幅な妥協を求められるんじゃないかと、日本はですね、そこが常に心配ですね。」
関口氏「青木さん?」
青木氏「今回の日米首脳会談そのものが、なぜ開かれるようになったかって言うとね。確かその韓国の特使がアメリカに行って、そこで突然トランプ大統領が米朝をやろうじゃないかって言って韓国もびっくりしたワケですよ、で、日本の安倍首相に連絡があって、『シンゾー、やるぞ』と。対談をすることになったんだって言うことを聞いて、ワッと思って急遽日程を組んだんですよね。という意味で言うと、確かに結束の確認とかっていうことをするっていうか、経済の問題も出てきましたけど、むしろびっくりして、『とにかく拉致の問題だけはちゃんと言ってくださいよ』って。『日米の足並み揃ってるってこと北朝鮮にも見せますよ』って言うなんてなかなか突然こうせざるを得なかった首脳会談なんですよね。そう考えるとその、今回の首脳会談のすべてのその様子ってのが透けて見えてしまうなと。だから先ほどの話の繰り返しになりますけれども、アメリカにすがりついてお願いしますって言うではなくて、やっぱり関係国ともっとその積極的に日本がこの朝鮮半島の和平とかって問題で動くというようなことの必要性というのがここからも浮かんでくるんじゃないかと僕は思いますけどね」
関口氏「そうですねその他のことが目立ちませんよね。どうしてもアメリカアメリカアメリカになってるような気がしますが…続いて行きましょうか」
——–
伊藤アナ「財務省を揺るがしたセクハラ疑惑。政権にとって強い逆風となっています。」
ここから、話題は財務省事務次官のセクハラ問題へと移ります。
【VTR】
・女性記者にセクハラを行ったとされている財務省の福田淳一事務次官。
・財務省は調査結果を公表。だが内容は女性記者との間でこのようなやり取りをしたことはないなどとセクハラを全面的に否定するもの。
・さらに財務省はやり取りをした女性記者に調査のために名乗り出てもらいたいと呼びかけ
・女性記者に不利益が生じないよう財務省の顧問弁護士らが対応に当たると言うが、野田総務大臣は「違和感があります。セクハラの被害者の方はそのこと自身、家族にも相談できないっていうのが現実です。」
・しかし財務省の矢野官房長は「そのことがなくて弁護士さんに名乗り出て名前を伏せておっしゃるということがそんなに苦痛なことなのかという思いであります。」
・そんななか、福田次官が突然辞任を表明。だが「週刊誌に掲載された私に関する記事については事実と異なるものと考えており裁判の中引き続き争っていきたいと考えております」「あんなひどい会話をした記憶はありません」と、セクハラ発言については否定。
・そのおよそ5時間後の木曜日未明、テレビ朝日がセクハラ被害を受けていたのは自社の女性記者であることを会見で発表。
・テレビ朝日は1年半ほど前から数回、取材目的で福田時間と一対一で会食。その度にセクハラに悩まされていて、自らの身を守るため会話の録音を始めたと説明。
・しかしこの会見を受けて福田次官は「むこうがお話になっているところを(音声データで)とっていないので、全体を観ればそういうもの(セクハラ)に該当しないとわかるはず」とセクハラを認めず。
・財務省の対応に野党の辻元議員は「麻生大臣の辞任はもう不可避じゃないですか」などと発言、さらに与党内からも麻生大臣の辞任は避けられないという声が上がる。
・テレビ朝日は財務省に抗議文を提出。G20に出席するため渡米中の麻生財務大臣は「会社としての正式な抗議だからしっかりと受け止めないといけない」と発言。
・だが同時に麻生大臣は「報道されている内容について事実かどうか定かではない、進退については考えていない」と辞任の可能性を否定。
・野党6党は麻生大臣の辞任などを求めましたが、与党側は拒否、これに対し野党は審議拒否をしていて、国会は空転。
ーーー
ここでスタジオに戻り、今回の事件の背景について青木氏から説明がなされました。
青木氏「セクハラの問題をちょっと離れてですね、今回明らかになってきたそのメディアと取材のあり方ってことに非常に大きな問題が出てきてると思うので是非ちょっとお話させて頂きたいんですけれども。」
この後、青木氏は、財務省の事務次官からのセクハラがあったことをテレビ朝日の女性記者が告発したところ、様々な事情があり報道せずに黙殺したこと、それを女性記者が週刊新潮に提供し、報道されたことで世に出たことを紹介。
テレビ朝日はそれを不適切としたことを問題視した上でこう続けました。
「それからもう一つ、(中略)もしこの財務省と一社でガチンコで喧嘩というかですね、その、対決できるかっていうと正直言うとなかなか難しいところもあるんですね。(中略)で、聞くところによると他のメディアにもやっぱりこの次官から同じようなことをされたっていう人たちが、いるんですよね。」
「なのでここは、メディアがテレ朝や記者に疑問を呈するってよりは、むしろ群れるのではなくて、このメディア、それはこの記者もテレビ朝日も様々な週刊誌メディアも含めてですけど、メディアがある種連携をして、『やっぱりこれはいったいどうだったんだ』ってこのセクハラを取るような取材ですね、あるいは報道っていうものを、あるいは告発ってものをみんなで一緒にやってかないと。このままだと政府とかの都合のいいようにメディアが分断されたりとかして、真実が明らかにならないまま、その、ウヤムヤになっちゃうんじゃないかっていうところを僕は恐れてるんですけどね」
関口氏「ありがとうございました。えー、目加田さんに一言伺いたいんですけれども」
目加田氏「えー、いろいろ言いたいことがあるんですけれども敢えて麻生さんの見識について指摘したいんですけれども。(中略)本当に罪深いなという風に見ています。」
この目加田氏の発言をもってスタジオで発言が終了します。
——–
【検証部分】
今回の放送の問題点は大きく分けて2つあります。
1点目が、スタジオのコメンテーターの発言に論理や話の飛躍が散見されること。
2点目は、およそ公平中立的ではないと思われるコメンテーターの発言があり、放送法違反が強く疑われること。
以上の2点です。
まず1点目について。
北朝鮮の核放棄が伝えられたコーナーの中で青木氏が
青木理氏
「かつて、植民地支配を日本がしてそういう苦しみを与えた地であるわけですよね。そこが未だに分断をされてると。なんとかその人たちがその再びここに戦火をもたらさないためにその平和を何とかしようと思って(中略)、一緒に努力をしているという状況に歴史観みたいなものっていうのを日本がもたなくちゃいけないってのがひとつと…(以下略)」
と発言。かつての日本の歴史を語った青木氏ですが、この点がなぜ今回の北朝鮮問題に関連してくるのか。青木氏がその点について詳しく語ることはなく、「歴史観を持たなければいけない。」の一点張りでありました。少々論理的な飛躍があると感じるのは私だけではなのでしょうか。
また、日米首脳会談について取り上げたコーナーでは寺島氏が、その際に話し合われたであろう問題について語った後、こう切り出しました。
寺島氏「それから、なんか拉致と輸入制限だけお願いしに入ってるような空気からですね。一番大事なのはね、都合のいい友人ではなくてですね、きちっとした主張と、こだわりを持った友人にですね、日本が変わっていけるかどうかっていう大変重要なとこにいると思いますね。本当に議論すべきこと、今、アメリカと正面から向き合って議論すべきことが議論されてないってか…。例えばね、沖縄基地、地位協定、オスプレイの問題、いろんな問題がある。一切アジェンダに出てこない。それから中東に対するアメリカのスタンス、さらにはそのロシアに対する問題、そういうものに対していた日本もそれぞれ関係がありですね、自分たちの意見というものしっかり持ってね、向き合ってなきゃいけない。(以下略)」
寺島氏は、日本は今回アメリカと議論した問題だけでなく、沖縄基地、地位協定、オスプレイの問題などについてもその際話し合うべきだったと発言。なぜそうなのかという言及はされませんでした。そもそも今回は北朝鮮をめぐる東アジアの情勢が変化し、アメリカの保護主義的な姿勢が明確になりつつある中での会談であり、それらの問題を中心に取り扱うのは自然なことなのではないでしょうか。
次に2点目について。
まず、北朝鮮の核放棄について取り上げられたコーナーでの各コメンテーターの発言をまとめてみます。
目加田氏「日本の安倍さんはご指摘の通りアメリカに行ってトランプさんに拉致問題も含めて必ず念押しをしてねっていうことお願いしてきたけれども、何か日本はちょっと出遅れて、それで今のこの急展開している状況についていけてないような、ちょっと蚊帳の外にあるビックプレイっていうんですかね、交渉の当事者になっていないっていう感じがするんですね。」
青木氏「猛烈なスピードで皆さんおっしゃったように北朝鮮と韓国が主導する形で動いてるんですけれども、やっぱり日本は完全に取り残されてるなっていうことですよね。寺島さんおっしゃったような中近距離のミサイルの問題とか、拉致問題なんてのはアメリカに頼んで解決する問題でもなければ、日本が独自にちゃんと動いて解決しないといけない問題なんですよね。だから歴史観を持つ。それから今の現実外交考えた時にその言葉悪いけども、馬鹿の一つ覚えみたいに圧力圧力って言ってても無策なのはどうなのか。やっぱり一歩前に出てね、その歴史に対しての責任もそうだし、それからこの地域の平和と安定に対する責任ってのも日本にはある。その自国の問題でもあるってことをそろそろ冷静に考えて動くべきだと思いますよね。」
この2人のコメントに共通するのは、「日本は当事者ではなく、蚊帳の外にいる」という考え方です。確かに表立って日本政府が北朝鮮と交渉する様子などが確認されることはほとんどありません。しかし、日本政府はかねてからアメリカと共に「最大の圧力」をかけ続け、経済制裁の強化などにも着手してきました。逆に、それらの動きを評価したコメンテーターの発言は見られませんでした。したがって、このコーナーは公平性が担保されているとはいいがたいものでした。
また、日米首脳会談について取り上げた部分でも、
寺島氏「暴走するトランプ列車にしがみついてね、蜜月を装ってるって言う印象がものすごく強いんですけども。アメリカ側からすればね『この程度で日本は満足するだろう』と。例えば拉致の問題を取り上げてあげればですね、日本人は半分ぐらいに納得するだろう、とか。というような思惑で動いてるとかですね、つまり、日本側としてはですね、北朝鮮問題を含むアジアに対する構想力・ビジョンを持って向き合ってんのかっていうことね。」
という発言があったり、
青木氏「なかなか突然こうせざるを得なかった首脳会談なんですよね。そう考えるとその、今回の首脳会談のすべてのその様子ってのが透けて見えてしまうなと。だから先ほどの話の繰り返しになりますけれども、アメリカにすがりついてお願いしますって言うではなくて、やっぱり関係国ともっとその積極的に日本がこの朝鮮半島の和平とかって問題で動くというようなことの必要性というのがここからも浮かんでくるんじゃないかと僕は思いますけどね」
という発言がありました。これはいずれも、日本の対応を批判するものであり、それを真っ向からでなくても否定するコメントは確認できませんでした。
また、青木氏は財務事務次官のセクハラ疑惑問題でも、
青木氏「メディアがある種連携をして、『やっぱりこれはいったいどうだったんだ』ってこのセクハラを取るような取材ですね、あるいは報道っていうものを、あるいは告発ってものをみんなで一緒にやってかないと。このままだと政府とかの都合のいいようにメディアが分断されたりとかして、真実が明らかにならないまま、その、ウヤムヤになっちゃうんじゃないかっていうところを僕は恐れてるんですけどね」
と発言しています。青木氏は政府が都合のいいようにメディアを分断し、真実をうやむやにすることを恐れていると言っていますが、財務省は現在、今回の事件の真相を明らかにしようと調査を続けていますし、メディアに対しての恫喝なども確認されていません。また、今回の問題はテレビ朝日の記者が上司に情報を黙殺された、という側面も見えてきています。そのことを無視して、財務省(政府)だけを批判するのは公平な判断とは言えないのではないでしょうか。このことから、今回の放送は放送法第4条第2項「政治的に公平であること。」に抵触している可能性が濃厚です。
今後も監視を続けます。