2019年1月6日 サンデーモーニング(前編)

2019年1月6日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年1月6日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
FCレーダー照射問題に対する韓国側の反論動画公開について報道された部分
アメリカにおけるキャラバンへの催涙ガス使用について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
①FCレーダー照射問題に対する韓国側の反論動画公開について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
VTRは防衛省の公開映像で始まる。防衛省が公開を映像したことを受けて韓国側も映像を公開したが、韓国側の撮影した映像はわずか10秒だったとアナウンサー説明。CM後はコリア・レポート編集長のインタビュー映像が流される。編集長は、南北関係が改善し、日本と韓国軍のエネルギーが竹島問題を抱える日本に向けられたと述べた。「関係改善の道筋は見つかるのでしょうか?」と疑問を投げかけてVTRは締めくくられる。

【アナウンサーによるパネル説明】
韓国と日本の食い違う双方の主張についてパネル説明がされる。
海自哨戒機の飛行速度
日本側は一定の飛行高度と距離を取って飛行したと主張しているが、韓国側は威嚇的な低空飛行があったと反論
火器管制レーダーの照射
日本側はレーダーを複数回照射されたことを確認しているが、韓国側は使用していないと反論

日韓関係悪化の火種となりそうな今後の日程として、2月22日(竹島の日)、3月1日(3・1独立運動100周年記念式典)を紹介し、文大統領が来日する6月28・29日(G20大阪サミット)までに解決の道筋がつくのか注目されていると説明

【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(要約):韓国は反日ナショナリズムをテコに政権を維持している空気感があって、妙に細かいところまで突っかかってくる印象を受ける。大人気ある対応が重要で、例えばアメリカ軍の専門家とどちらの国が正しいのかを三者協議していくようなやり方をするのが正しいと思う。問題を問題化させない知恵を近隣国でしっかり作っていくのが重要だと思う。

田中優子氏(要約):日韓関係については残念だなと思うことが多い。慰安婦問題・徴用工問題・竹島問題は、世界中で起こり得る普遍的な問題であって、人類の問題だと思う。だからこそ、日韓でこの問題に常に向き合って、話し合って解決策を探っていくことができれば世界に貢献できると思うが、結局自分の国の内政のために動いてしまう。ちょっと残念なところがある。

安田菜津紀氏(全文):レーダー照射の件に関しては、事実関係を丁寧に読み解いて再発防止につなげていく必要性があると思うんですが、ただ今回の件に限らず、例えば外交上の問題だったり、あるいは防衛上の問題が発生する度に、相手側の国民まで一括りにして、それを否定していくような言葉というのがどうしても、特にネット上では目立ってしまうように思うんですね。もちろんそういった書き込みというのはごく一部であるにしたとしても、こういった緊迫した状況こそ、問題を冷静に切り分けて向き合っていく必要性があるのではないかなというふうに思います。

古田大輔氏(要約):日韓以外の諸外国ではあまりこの問題を報道されていない。それに非常に驚いて、また日韓が揉めてる程度にしか捉えられていないということが非常に残念。また、ネット上で言葉が過激化していてお互いの国を批判し合っている。こういうときこそ、当事者の国である日韓のメディアがきちんと冷静に報道していかないといけないと思う。

青木理氏(全文):ちょっと深刻だなと思うのは、辺さん(VTRでインタビューされていたコリア・レポート編集長)は竹島の問題もあるんじゃないかとビデオで言ってましたけれども、僕もそう思うんですけれど、もっと言うと日韓の今のトップの政治的なスタンスの違いがかなり出てきているんですよね。文在寅さんっていうのは人権派弁護士出身で、貧しくて苦労して今進歩派というか、韓国では進歩派、リベラルですよね。で、過去の保守政権、韓国の軍人出身の政権に対するものすごい反発があると。一方のその安倍さんというのは、保守であり右派であり、過去の韓国の保守政界と結びついた岸信介さんの直系という。この違いっていうのが、徴用工の問題とかレーダー照射の問題でも出てきちゃってるってことなんですね。だから、どうも報道を見てると、ビデオの公開なんかも、かなり首相の意向だったりとか、その首相の意向に対して韓国が反発したりとかってことがどうもあるってことになると、政治的スタンスの違いってのが、かなりここにきて出てきちゃった。で、それで深刻なのは、安田さんたちがおっしゃいましたけど、結局こうなるとナショナリズムが盛り上がっていくんですよね。で、日本のメディアを見てると、この件に関しては、普段は対立している新聞なんかでも、ほぼ韓国批判一色になるんですよ。そうするとネットも盛り上がる。韓国も同じような状況になると、こういうことをきっかけに、結局、結果的に相互の嫌韓と反日が盛り上がっていくっていうのは、政治主導者のスタンスの違いってのが国民にまで影響しちゃう。メディアにも影響しちゃう。こういう状況になってくと、事実関係の精査っていうのも大切なんですけれども、しかしやっぱり日本と韓国っていう隣国同士が、これで本当にどんどんどんどん溝が深まってしまうっていうことになってしまうので、やっぱり、繰り返し。皆さんの繰り返しになりますけれども、ここはひとつ冷静になって、韓国の主張もちゃんと見て、なぜこういうことが起きてるのかってことも含めて、あまり感情的にならずに見つめることが大切だろうなとは思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

安田氏の発言に視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている
この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、安田氏の発言に、視聴者に誤った印象を与えかねない内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):ただ今回の件に限らず、例えば外交上の問題だったり、あるいは防衛上の問題が発生する度に、相手側の国民まで一括りにして、それを否定していくような言葉というのがどうしても、特にネット上では目立ってしまうように思うんですね。(中略)こういった緊迫した状況こそ、問題を冷静に切り分けて向き合っていく必要性があるのではないかなというふうに思います。

要旨をまとめると、
・外交上の問題や防衛上の問題が発生するたび、相手側の国民までひとくくりに否定する言説がネット上で目立つ
・こういう緊迫した状況だからこそ問題を切り分けて冷静に向き合うべき
というものです。

しかしながら、
・相手側の国民まで一括りに否定する言説は非常に限定的で、あたかもネットの大多数の意見かのような発言は事実と異なる恐れがある。また、こうした意見が表明されるのはネットだけではないので、特定の媒体のみを意図的に批判することは誤った認識を視聴者に与えかねないものである。
・問題を冷静に切り分けるという表現は、問題の矮小化を訴えていると考えられてもおかしくない。その場合、この問題を大事にしたくない韓国側に偏った意見と言わざるを得ない。

という、発言と相反する事柄が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2項「政治的に公平であること」、ならびに同第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本は政府も国民もこの問題について冷静になるべきだ」「この問題は大事になるものではない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「レーダー照射は宣戦布告と取られてもおかしくない重大な行為だ」「日本はこの問題について毅然として対応すべきだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
FCレーダー照射問題に対する韓国側の反論動画公開について報道された部分における
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」
ならびに、
アメリカにおけるキャラバンへの催涙ガス使用について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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