2020年8月30日 サンデーモーニング(前編)

2020年8月30日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年8月30日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
①「風をよむ」にて安倍長期政権ついて報道された部分
②安倍政権の辞任について報道された部分
③黒人銃撃事件について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 「風をよむ」にて安倍長期政権ついて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
およそ7年8カ月と歴代最長の在任期間となった第2次安倍政権。その歩みを改めて考えます。
バイマイアベノミクス、戦後レジームからの脱却、積極的平和主義、アンダーコントロール、などさまざまなフレーズを生み出しました。
2012年12月26日・安倍総理「大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略。この3本の矢で経済政策を力強く進めて結果を出していく。」就任早々、安倍総理がデフレ脱却のため打ち出した経済政策がいわゆるアベノミクスです。
2013年4月・日銀 黒田総裁「これまでとは次元の異なる、次元の違う金融緩和」異次元の金融緩和でデフレ脱却を図りました。さらに、消費税を8%、さらに10%に引き上げます。
また長期政権を支えたのは、圧倒的な選挙の強さです。政権発足後の国政選挙5連勝しました。
2019年7月・安倍総理「国民の皆様からの力強い信任を頂いたことに厚く厚く御礼を申し上げます。」
また、東京オリンピック・パラリンピックの誘致に成功。そして2013年には、特定秘密保護法が成立。第2次安倍政権の発足から3年目となる2015年には集団的自衛権の行使を可能にすることなどを柱にした安全保障関連法が成立。国会周辺には12万人が参加する大規模な集会が開かれました。
また、在任期間中を通して憲法改正には強い意欲を示しました。
2017年5月・安倍総理「2020年を新しい憲法が施行される年にしたいと強く願っています。」

外交面では、2016年5月伊勢志摩サミットを開催、地球儀を俯瞰する外交を掲げ80の国と地域を訪問しました。中でも安倍外交を印象づけたのは、日米外交。トランプ大統領とは蜜月ぶりをアピールしました。その一方で、北方領土問題や拉致問題の進展は見られませんでした。

2017年には、国有地が大幅に値引きされて売却された森友問題が浮上。
2017年2月・安倍総理「私や妻が関係していたということになれば、総理大臣も国会議員も辞めるということははっきり申し上げておきたい。」
その後、公文書改ざんの問題や獣医学部新設に総理の意向が働いたのではと追及された加計問題が発覚。さらに、桜を見る会と相次いで問題が浮上し批判にさらされ、説明責任が問われました。
今年4月には新型コロナ感染拡大で緊急事態宣言を発令しました。新型コロナウイルスの感染が続く中、辞任を表明し歴代最長7年8カ月に及んだ政権に幕を下ろします。

【コメンテーター発言内容】
関口氏(要約):歴代1位だからね、やっぱり長いよね。私の印象は、訳の分からない頼りない大臣がたくさん出てきたって感じがする。なんだか次から次へ、どうしてこの人が大臣なんだろうという人が。
田中氏(要約):安倍長期政権を評価するときに、安倍さん1人の責任ではない。 根本には政治家の劣化と行政官僚の劣化がある。 平成時代の政治改革と行政改革が失敗に終わったということですよね。小選挙区の導入によって、志のある政治家が出ていけないほど党や組織の力が強まってしまった。行政では、税金の無駄遣いをなくす改革ではなく、省庁を統合していくという誰も頼んでいないことをやった。 役所は大きくなればなるほど透明性に欠けます。昔の首相官邸は政治家や官僚が少なく、その分 外で政策調整するから風通しが良かった。今は官邸の中に大勢の政治家や官僚がうごめいている。誰が決めてどうなってるのかよく分からない状況です。この次の総選挙には野党が第2の政治改革、第2の行政改革を目指してやってもらいたい。そういう時代だと僕は思いますよね。

横江氏(全文):やはり長くなったこと、2期目で終わっていればまだそうではなかったとは思うんですけど、3期目までいったということで、やはり長期政権は腐敗するということが出てきたんじゃないかなと思うんですよね。途中からやはり私物化してるというイメージが出てきたと思うんです。あと息苦しいという気持ちも出てきたと思います。ですから、次の政権、次自民党に願いたいことですけど首相官邸もそうですけど、やはり忖度政治、忖度がない政治を作ってもらいたい。それから私物化するというのは、透明性が欠けるってことですから運営に対して透明性を持ってもらいたい、そこの安倍政権の失敗したところをきちっと直していってもらいたいと思います。

目加田氏(全文):長期政権ということで、もう8年近いわけですからアメリカであれば、例えば大統領が2期務めたことに等しいわけですよね。それほど長い期間であるにもかかわらず、あまり実績というかレガシーがないなという印象で、本来であればこれだけの時間があればいろいろなことを好転させたり本質的な変革を起こしたりもできたはずなんですよね。振り返ってみると、安倍さんの国家観とか、社会観というのはすごく古かったなと思うんですよ。例えばオリンピック一つ見てもそうですが、ああいう国家プロジェクトを通じて国を活性化させるという時代では今ないにもかかわらず、考え方とかやり方、中央集権的であったり、多様性をあまり尊重しない。言葉ではスローガンでいろいろなことをおっしゃってきましたけど実際には例えば女性の活躍にしたって、1億総活躍にしたって十分進んでこなかった。しかも8年間もあったにもかかわらずその時間は何に費やされたのかというと、数の論理で強硬に、例えば国会で採決できるような法案を通してきたかもしれないけど、粘り強く外交を進めるというようなこと、交渉を進めるとか、コンセンサスを作ってくることについてはほとんど、北方領土にしても拉致問題にしてもそうですけど、成果が上がっていないということで、指導力というところでは国家観に加えて非常に物足りないものがあったなというのが強く印象に残っています。

与良氏(要約):自民党の大島議長も懸念してるが国会がこの間、非常に軽視されてきたのは間違いないと思います。 自民党という政党もすごく議論がなくなってしまった。政党とは何かとか、国会とは何かとか、さらにいえば民主主義とは何かと、問い返さないといけないと危機を僕は感じています。今度の自民党総裁選がそのきっかけになればいい、後始末をするのはものすごく大変ですけどね、誰がやっても。民主政治というものをもう一回再生させなきゃいけないと思います。

青木氏(全文):これだけの長期政権なので功罪両方あると申し上げたいんですけれども、個人的には罪があまりにも大きかったなと。例えば安保法制なんかは、憲法解釈戦後の日本の政権がずっと辛うじて守ってきた憲法解釈を閣議決定でひっくり返す。あるいは一方で憲法が定める民主手続きみたいなものを非常に軽視。与良さんが仰いましたけども、国会も非常に軽視してきたというところがありますし、人事権もこれまで一応やっちゃいけないと言われていたような人事もほうはつに行使して、結果として官僚の忖度がまん延して、ありとあらゆる疑惑とか不祥事というものをこう言えば失礼ですけど、うそ、詭弁みたいなものでごまかして結果的に公文書の改ざんまで引き起こしちゃった。 それからヘイトスピーチだとか排外主義みたいなものをこれは政権だけのせいじゃないと思うんですけど、明らかにあおったという意味でも問題だし、それから対米外交に対して、アメリカに対して、もちろんアメリカは大切なんだけれども、ある種、こびへつらい、武器を爆買いして、対米外交を歪めたところもあるし、目加田さんも仰いましたけど、これは日露・日朝も日朝というのは一丁目一番地だったはずなんだけど、結局8年もあって、ほぼ何も前進しなかった。ある種のネポティズムという縁故主義、仲間は大事にするけど、敵は絶対許さんという分断というのもありましたし、という政権がある種憲法に緊急事態条項が必要だと言ってたんですよ。それだったら緊急事態、危機管理は強いのかなと思っていたらコロナっていう本当の危機のときに後手後手でピント外れで、最終的に体調を壊されたという辺りがこの政権の全体を象徴していたのかなという感じが僕はしていますけどね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
それぞれ順を追って解説します。

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1、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):長期政権ということで、もう8年近いわけですからアメリカであれば、例えば大統領が2期務めたことに等しいわけですよね。それほど長い期間であるにもかかわらず、あまり実績というかレガシーがないなという印象で、本来であればこれだけの時間があればいろいろなことを好転させたり本質的な変革を起こしたりもできたはずなんですよね。振り返ってみると、安倍さんの国家観とか、社会観というのはすごく古かったなと思うんですよ。例えばオリンピック一つ見てもそうですが、ああいう国家プロジェクトを通じて国を活性化させるという時代では今ないにもかかわらず、考え方とかやり方、中央集権的であったり、多様性をあまり尊重しない。言葉ではスローガンでいろいろなことをおっしゃってきましたけど実際には例えば女性の活躍にしたって、1億総活躍にしたって十分進んでこなかった。しかも8年間もあったにもかかわらずその時間は何に費やされたのかというと、数の論理で強硬に、例えば国会で採決できるような法案を通してきたかもしれないけど、粘り強く外交を進めるというようなこと、交渉を進めるとか、コンセンサスを作ってくることについてはほとんど、北方領土にしても拉致問題にしてもそうですけど、成果が上がっていないということで、指導力というところでは国家観に加えて非常に物足りないものがあったなというのが強く印象に残っています。

要旨をまとめると、
・長期政権であるにもかからず、レガシーがないという印象である、
・そして、安倍首相の国家観や社会間は古かった。
・考えややり方が、中央集権的で、多様性を重視しない。数の論理で教鞭に法案を通してきたが、成果があがっていない。
というものです。

しかしながら、
・安倍首相に対して、「レガシーがない印象、国家観が低い、成果が上がっていない」と論評しているものの、すべてに根拠がなく主観的な意見である。その為、事実に反する恐れがあり、政治的公平性を欠く可能性がある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):これだけの長期政権なので功罪両方あると申し上げたいんですけれども、個人的には罪があまりにも大きかったなと。例えば安保法制なんかは、憲法解釈戦後の日本の政権がずっと辛うじて守ってきた憲法解釈を閣議決定でひっくり返す。あるいは一方で憲法が定める民主手続きみたいなものを非常に軽視。与良さんが仰いましたけども、国会も非常に軽視してきたというところがありますし、人事権もこれまで一応やっちゃいけないと言われていたような人事もほうはつに行使して、結果として官僚の忖度がまん延して、ありとあらゆる疑惑とか不祥事というものをこう言えば失礼ですけど、うそ、詭弁みたいなものでごまかして結果的に公文書の改ざんまで引き起こしちゃった。 それからヘイトスピーチだとか排外主義みたいなものをこれは政権だけのせいじゃないと思うんですけど、明らかにあおったという意味でも問題だし、それから対米外交に対して、アメリカに対して、もちろんアメリカは大切なんだけれども、ある種、こびへつらい、武器を爆買いして、対米外交を歪めたところもあるし、目加田さんも仰いましたけど、これは日露・日朝も日朝というのは一丁目一番地だったはずなんだけど、結局8年もあって、ほぼ何も前進しなかった。ある種のネポティズムという縁故主義、仲間は大事にするけど、敵は絶対許さんという分断というのもありましたし、という政権がある種憲法に緊急事態条項が必要だと言ってたんですよ。それだったら緊急事態、危機管理は強いのかなと思っていたらコロナっていう本当の危機のときに後手後手でピント外れで、最終的に体調を壊されたという辺りがこの政権の全体を象徴していたのかなという感じが僕はしていますけどね。

要旨をまとめると、
・長期政権で、功罪両方あると申したいが、罪があまりにも大きかった。
・たとえば、日本の政権が守ってきた憲法解釈を閣議決定でひっくり返す。一方は憲法が定める民主手続きを軽視。やってはいけない人事権も行使。結果として官僚の忖度が蔓延してありとあらゆる不祥事が起きてしまった。
・それから、ヘイトスピーチや排外主義を明らかに安倍政権は煽った。アメリカに対しては媚をへつらい、武器を爆買い。日露、日朝関係はなんも進展しなかった。
・ある種、憲法に緊急事態条項が必要であると主張していたが、コロナの危機に対しては後手後手で、ピンとが外れて体調を壊しているあたりがこの政権を象徴している。

というものです。

しかしながら、
・青木氏は、「日本の政権が守ってきた憲法解釈を閣議決定でひっくり返す。一方は憲法が定める民主手続きを軽視。やってはいけない人事権も行使。結果として官僚の忖度が蔓延してありとあらゆる不祥事が起きてしまった。」と主張しているが、これらは各所で意見が対立している問題や安倍首相自身が事実を否定している問題でもあり、事実に反する恐れがある。
・その為、青木氏は「安倍政権は罪が大きすぎる」と主張するが、一概に安倍政権を罪に問うことはできないため、政治的公平性を欠く。
・「コロナウイルスの対応の時に体調を崩しているあたりがこの政権を象徴している」と青木氏は主張するが、他人の持病に対して批判をすることは一種の誹謗中傷である。故に、コロナウイルスと安倍首相の体調が政権を象徴するという青木氏の主張は、事実に反するし、政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は(政治的に公平でなく、また)事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条(第2号「政治的に公平であること」、同)第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、政治的に公平とはいえない放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 安倍政権の辞任について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 黒人銃撃事件について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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