2019年7月7日 サンデーモーニング(中編)

2019年7月7日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年7月7日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 貿易規制上の優遇措置「ホワイト国」からの韓国除外について報道された部分
② 参院選の選挙活動について報道された部分
③ 「風を読む」にて捕鯨問題と正義について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 参院選の選挙活動について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 参院選公示後、野党各党は各地で与党の政党運営を批判したと伝えられ、野党各党の選挙演説映像が流される。
①国民民主党玉城代表「うそをつかない、ごまかさない。正直な政治を取り戻し、そして国民の普通の国民の生活の安心を取り戻すための戦いが、今回の参議院選挙です」
②共産党・志位和夫委員長「消費税10%を実施していいかも大争点です。税金の在り方を決めるのは、安倍首相じゃない。主権者である国民の皆さんです。」
③日本維新の会・松井代表「永田町、霞が関が自分たちのいいようにばっかり使ってる無駄な税金の使い方を改めていく。これを真っ正面から言える、そういう政党を皆さん応援してもらいたい」
④社民党・吉川幹事長「安倍政権の下で行われてきた数々の憲法違反、憲法違反の法律。今、安倍政権は、この憲法をまさに変えようとしている。絶対にこの策動を許すわけにはまいりません」

 今月21日の投開票に向けて選挙戦が繰り広げられると伝えられ、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・去年の改選で参院の定数が6増加し、今回の改選数は前回よりも3増えて124議席
・安倍総理は、自公で過半数を確保できる53議席が勝敗ラインとしている
・憲法改正については、会見に前向きな勢力と併せて86議席を確保できるかが焦点

【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):今回の選挙は年金が焦点になると思う。政府は5年に1度財政検証を出しているが、報告書が今も公表されていない。公表するとまずいものが書いてあるんじゃないかと誤解を与えかねない。選挙中に出してほしい。財政検証は、年金制度の現状と展望を細かくチェックしたもの。これがないと議論の土台がない。実りある議論をするために、ぜひ出してほしい。

青木理氏(全文):もう出てこないんでしょうけれど。ただ、これね、官邸の人なんかも言ってるんですけれど、今の日本の状況ってのは、安倍政権を強固に支持する人たちが大体2割か2割5分か3割くらい。それから、嫌だって言ってる人がやっぱり同じくらい2割か2割5分くらいいると。で、真ん中の人達をどうとるかってことなんですね。で、世論調査見てると不思議な、一強政権だなって思うんだけど、真ん中の人達で、他にいないじゃないのって言って、安倍政権を支持してる人ってのが相当いるんですよね。もちろんそれでもかまわないんだけれども、ここで年金の問題もそうだし、先ほどから出てる外交の問題もそうだけれども、他にいないんある種鼻をつまんで他に入れるって選択肢も考えなくちゃいけないんですよ。じゃないと、このまま一強の状態が続くんです。もちろん、それで良いって人はいいんだけども、おかしいって人達もいる。だからその真ん中にいる6割、4割、5割くらいの人達が、どういう判断をするかってあたりが参院選の焦点ってことになってくるんでしょうけどね。

大宅映子氏(要約):私は参議院そのものの制度のあり方がぜんぜん機能してないと思う。今だとほとんど衆議院の言いなり。でも、投票するの私達なので、そこは忘れちゃいけない。

新井紀子氏(全文):いや、あの私、この3年間で、基礎的読解力の調査っていうのを、小学校6年生から成人まで、8万人くらいにしてきたんですね。で、その結果、非常に簡単な短い事実について書かれた文を、多分ですね、高校生の半分は読めずに卒業しているらしいことが分かっているので、選挙公報とか、マニフェストとかを読めるのかなっていうことの方が、よほど不安で。で、読めなければ、雰囲気に流されるので、雰囲気に流されるんでは、実は民主主義ではないので、読めて欲しいなって言う。そこですね、私の実は心配は。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、新井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):もう出てこないんでしょうけれど。ただ、これね、官邸の人なんかも言ってるんですけれど、今の日本の状況ってのは、安倍政権を強固に支持する人たちが大体2割か2割5分か3割くらい。それから、嫌だって言ってる人がやっぱり同じくらい2割か2割5分くらいいると。で、真ん中の人達をどうとるかってことなんですね。で、世論調査見てると不思議な、一強政権だなって思うんだけど、真ん中の人達で、他にいないじゃないのって言って、安倍政権を支持してる人ってのが相当いるんですよね。もちろんそれでもかまわないんだけれども、ここで年金の問題もそうだし、先ほどから出てる外交の問題もそうだけれども、他にいないんある種鼻をつまんで他に入れるって選択肢も考えなくちゃいけないんですよ。じゃないと、このまま一強の状態が続くんです。もちろん、それで良いって人はいいんだけども、おかしいって人達もいる。だからその真ん中にいる6割、4割、5割くらいの人達が、どういう判断をするかってあたりが参院選の焦点ってことになってくるんでしょうけどね。

要旨をまとめると、
・今の日本の状況は官邸の人も言っているように安倍首相を強固に支持する層が2~2.5割、反対層が2~2.5割で、真ん中の人をどう取るかということが大事になってくる。
・世論調査を見ると「他にないから」という理由で安倍首相を支持している人が相当いる。しかし、年金や外交などを見れば、鼻をつまんで他に入れるという選択肢を考えるべきだ。でなければ安倍政権一強の状態が続いてしまう。

というものです。

しかしながら、
・「官邸の人が言っている」というのは何の根拠にもならない。
・「他に入れる選択肢を考えるべきだ」「安倍政権一強の状態が続いてしまう」という主張は明らかに政治的公平性を欠く発言であり、視聴者の投票行動を強力に誘導しようとする極めて悪質な偏向報道である。
・年金や外交の問題に安倍政権による失策は存在せず、したがってこうした主張は事実に基づかない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、新井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
新井氏は今回の報道で、以下のように述べています。

新井氏(抜粋):いや、あの私、この3年間で、基礎的読解力の調査っていうのを、小学校6年生から成人まで、8万人くらいにしてきたんですね。で、その結果、非常に簡単な短い事実について書かれた文を、多分ですね、高校生の半分は読めずに卒業しているらしいことが分かっているので、選挙公報とか、マニフェストとかを読めるのかなっていうことの方が、よほど不安で。で、読めなければ、雰囲気に流されるので、雰囲気に流されるんでは、実は民主主義ではないので、読めて欲しいなって言う。そこですね、私の実は心配は。

要旨をまとめると、
・基礎的読解力の調査をした結果、高校生の半数は簡単な文書を読めないことが分かっている
・だから日本人は選挙公報やマニュフェストを読めず、雰囲気に流されてしまう
・雰囲気に流された投票は民主主義とは言えない

というものです。

しかしながら、
・「高校生の半分が「基礎的読解力」に欠ける」という主張は学力を図る実験に基づくものであり、したがって「選挙公報やマニュフェストを日本人は読めない」という主張の根拠にはならない。
・また、広報の手段は演説や討論番組など文書以外のものもあるため、「雰囲気に流されてしまう」という主張は事実に基づかない。
・「雰囲気に流された投票行動は民主主義とは言えない」という主張は非常に選民主義的な思想に基づくもので、民主主義の定義を考えれば明確な虚偽である。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での新井氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍政権の一強を止めるために自民党に投票すべきではない」「野党各党も自民党を批判している」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「投票行動を誘導するのは明らかに公平性を欠く」「安倍政権、自民党は内政外政共にめざましい成果を上げている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にて捕鯨問題と正義について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 貿易規制上の優遇措置「ホワイト国」からの韓国除外について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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