2019年6月9日 サンデーモーニング(中編)

2019年6月9日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年6月9日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① トランプ米大統領の訪英とノルマンディー上陸作戦記念式典参加について報道された部分
② スーパーシティ法案の提出と同日選について報道された部分
③ 「風を読む」にて天安門事件について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② スーパーシティ法案の提出と同日選について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
野党が解散かと警戒する動きのあるなか、注目の法案を国会に提出したとナレーション。
片山さつき地方創生担当相の記者会見映像に切り替わり、「速やかに国会に提出し審議をお願いしたい」と述べる映像とともに、国家戦略特区法改正案について簡単にナレーション説明。今の国会での成立は厳しい状況のため、自民党は会期の延長も視野に入れていると伝えられる。毎日新聞・与良正男編集委員のインタビュー映像に切り替わり、「会期延長をするために、この法案を閣議決定したのではないか」「同日選の話とほぼセットで語られてる」と語る姿が映し出される。その理由として、衆院の解散は国会会期中のみ可能であり、議員資格のない閣僚でG20サミットを迎えることになるのを避けるため、会期を小幅延長してG20後に解散する狙いがあるのではないか、と伝えられる。
 衆議院で3ヵ月以上、参議院で2か月以上、予算委員会が開かれていない、とナレーション。再びインタビュー映像に切り替わり、「何の審議もしてない」「大事な話を全然してない状態が続いている」と語る映像が流される。
「重要な審議が行われないまま、解散風ばかりが強まっているのでしょうか?」と疑問を投げかける言葉を最後に、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・与良氏は、スーパーシティ法案について法案の成立ではなく会期延長が目的で、衆参同日選をにらんだ動きだと見ている
・衆参同日選挙を行うには会期末までに衆院を解散させなければならないが、現在の会期末(6/26)までに解散すると、G20サミットに議員の肩書がない閣僚が出席することになってしまう
・そこで、スーパーシティ法案を提出して、これを議論をするという名目で会期を延長させる狙いがある
・自民党・参議院選挙公約について、自民党は早期の憲法改正を重点項目としているが、具体的な時期の記述はない

【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):会期延長するかは、まだ腹が固まっていないと思う。腹が固まった瞬間に、衆議院は同日選に向けて動き出すと思う。秋に衆議院選挙を行うのは与党にとって不利。秋になると経済の状態の悪化が予想されるので、消費税増税を考慮すると、できれば同日選でやりたいという気持ちになってきてると思う。ごり押ししたときの状況がどうなるかは計りかねる。

関口宏氏(全文):涌井さん、なんか、有権者はその選挙を望んでなかったら、あんまり、そういうあれはありませんよね。期待感みたいな。

涌井雅之氏(全文):そうですね。それと、解散風っていう、大風の天気予報が出るとね、我々の間で何ができるかっていうと、要するに足元が浮くんですよね。このときに考えなきゃいけないのは、今、世界が問われてるのは何かっていうことに本当は腰をどっしり落ち着けて考えなきゃいけない。先ほどのメルケルとトランプの話でもそうですけども、この退位にもあるように、今がよきゃいいんだって話なのか。未来をどうするのかって話なのか。この選択は、腰を深めて考えなきゃいけない。ところが、そこに解散風みたいなものがあって皆がうわっと寄るとお祭り気分になって浮き立ってくる。それが一番怖いんですよね。そういう一連の流れの中で、要するに人々の気持ちがですね、まあ、とにかく、お金取るもんないから今がいいよっていう。こういう選択をしてしまうと、未来は相当失ってしまうなっていうのが心配ですね。

青木理氏(全文):解散権が本当に自分たちの都合のいい時に解散できるのかっていう議論もすべきだし、予算委員会が開かれてないってのも問題なんだけど、一言だけ。VTRの冒頭にあったね、お笑いタレントの方々が、ああいう形で首相に会うとかね。以前、新喜劇に首相を呼んだりとかね。最近の首相の動静を見てると、アイドルタレントと食事されたりとかね。自由なんですけれども、芸能とかお笑い人達っていうのはやっぱりこう、権力との距離の取り方っていうかね。本来は、政治とか権力とか偉そうな人とかってのを茶化して、市民が留飲を下げるっていうのが、僕は本来の姿なんじゃないかなって思ってるので。芸能っていうもののね。なんかちょっとその距離感も、少しおかしいんじゃないですかっていうことを、小言みたいですけど一言だけ言いたいなと思いました。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、涌井氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
涌井氏は今回の報道で、以下のように述べています。

涌井氏(抜粋):(関口宏氏:涌井さん、なんか、有権者はその選挙を望んでなかったら、あんまり、そういうあれはありませんよね。期待感みたいな)そうですね。それと、解散風っていう、大風の天気予報が出るとね、我々の間で何ができるかっていうと、要するに足元が浮くんですよね。このときに考えなきゃいけないのは、今、世界が問われてるのは何かっていうことに本当は腰をどっしり落ち着けて考えなきゃいけない。先ほどのメルケルとトランプの話でもそうですけども、この退位にもあるように、今がよきゃいいんだって話なのか。未来をどうするのかって話なのか。この選択は、腰を深めて考えなきゃいけない。

要旨をまとめると、
・有権者のなかにダブル選挙を望んでいるという期待感はない
・解散風が吹くと人々は浮足立ってしまうが、肝心なのはメルケル首相のように世界の課題をしっかり見極め、腰を落ち着かせて未来をどうするかを考えることだ

というものです。

しかしながら、
・日経新聞によると有権者の2人に1人が衆参同日選の実施に賛成しており、期待感がないという主張は明らかなフェイクニュースである
・解散風が出ると浮足立つという主張や、世界の課題をしっかり見極められなくなるといった主張は極めて主観的なもので根拠がない

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での涌井氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあります。したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):一言だけ。VTRの冒頭にあったね、お笑いタレントの方々が、ああいう形で首相に会うとかね。以前、新喜劇に首相を呼んだりとかね。最近の首相の動静を見てると、アイドルタレントと食事されたりとかね。自由なんですけれども、芸能とかお笑い人達っていうのはやっぱりこう、権力との距離の取り方っていうかね。本来は、政治とか権力とか偉そうな人とかってのを茶化して、市民が留飲を下げるっていうのが、僕は本来の姿なんじゃないかなって思ってるので。芸能っていうもののね。なんかちょっとその距離感も、少しおかしいんじゃないですかっていうことを、小言みたいですけど一言だけ言いたいなと思いました。

要旨をまとめると、
・お笑いタレントが首相に会ったり、新喜劇に首相を呼んだり、アイドルタレントと食事したりと、芸能人が権力に接近している
・本来のお笑いは権力や偉い人を茶化して市民が溜飲を下げるものなので、もっと距離を取るべき

というものです。

しかしながら、
・「本来のお笑い」というものはあくまで青木氏の主観であり、事実ではない
・権力を絶対悪と捉え、首相への接近を特段の根拠なく問題視する姿勢は政治的に公平とは言えない

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「衆参同日選に大義はない」「解散風に浮かれ重要な議論をしていない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国民に信を問う時点で大義だ」「重要な議論をしていないのは野党だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にて天安門事件について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① トランプ米大統領の訪英とノルマンディー上陸作戦記念式典参加について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事