2019年4月14日 サンデーモーニング(前編)

2019年4月14日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年4月14日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にてネットジャーナリズムについて報道された部分
② F-35A墜落について報道された部分
以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 「風を読む」にてネットジャーナリズムについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
①ウィキリークス創設者の逮捕
内部告発サイト「ウィキリークス」創始者のジュリアン・アサンジ氏の逮捕が伝えられる。ウィキリークスは、10年米軍ヘリによるロイター記者とイラク市民への銃撃映像を公開し、米政府にとって不都合な情報を次々と公開したと伝えられる。アサンジ氏は一時ヒーローのように持ち上げられたが、その後性犯罪の容疑で逮捕。アサンジ氏は亡命申請を行い約7年間エクアドル大使館内で保護されていたとアナウンス。

②内部情報の暴露とジャーナリズム
13年に米政府による通信・通話履歴の監視と収集を内部告発した元CIA元職員スノーデン氏は、アサンジ容疑者の逮捕について「報道の自由にとって暗黙の瞬間だ」とTwitterで非難したと伝え、「確かに、政府や権力者によって独占されてきた内部情報を暴き世間に知らしめることは、ジャーナリズムの役割を果たしているともいえる」とアナウンス。16年ICIJはパナマ文書を公開し、政治家などが巨額金融取引を行っている実態を明らかにした例があったと伝えCMへ。

③ウィキリークスとトランプ大統領
CM後、16年の大統領選挙において、ウィキリークスによる民主党陣営のメール公開がトランプ陣営当選の大きな力となったと伝えられる。当初、トランプ大統領は「I love ウィキリークス」と発言していたが、今回の逮捕について「何も知らない」と関係を否定。ロシア疑惑が蒸し返されることを警戒しているのではないかという見方もあり、新時代のジャーナリズムと期待されたウィキリークスも、時の権力者など政治によって利用される危険性があることを垣間見せたと伝えられる。

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【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):情報の正誤と真偽がはっきりしない場合、選挙では危険性しかない、場合によっては情報を封じ込める必要もあるのではないか。

大宅映子氏(要約):あらゆる状況で100%真実の追及が必要とはいえない。真実を知ったからといって我々が幸せになるかどうかは別の話。そういう視点も必要。振りかざし過ぎるのは危険。

岡本行夫氏(要約):情報の選択肢が増えたことで、人々はバランスの取れた考え方になると思っていたが、秘密の暴露合戦みたいになっている。大事なのは、こういうときにこそ政府はもっと迅速に大規模に情報公開をしていくことだと思う。

元村氏(全文):ジャーナリストの端くれですけれども、繰り返し教えられてきたことは、「権力は必ず嘘をつくから、それを暴くのが記者の仕事だ」っていう、そこの一言なんですよね。で、アサンジもスノーデンも、基本、その魂で暴いたわけですね。その結果がどうあるかは社会が考えてくださいっていう投げかけだと思っています。で、もっと心配なのは、私は、暴くネタ。公文書。つまり記録が作られていない世の中になっていくっていうことが怖いです。実際日本でも公文書、捨てられたりしていますよね。

青木理氏:(全文):ウィキリークスってのは、剥き出しの情報をそのまんま公開するのが一つの大きな特徴だったんですね。で、情報って、基本的に強いところに集まるんですよ。なぜなら強権を持ってるしその組もを持っているので。その情報を、元村さんが、「権力をチェックする」とおっしゃいましたけれど、どういう意図でリークしてるのかっていうところを、メディアはきちんと見ておかないと、あるときには正義の告発かもしれないけど、あるときには情報、あるいは世の中をコントロールするためにリークすることもあるんですね。だから剥き出しの情報をそのまま出すっていうことの危険性。むしろきちんとしたメディアが、そこを見切るっていうことの大切さっていうのも、今回僕らに教えてるのかなっていう感じは、僕は抱きましたね。
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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
元村氏は今回の報道で、以下のように述べています。

元村氏(抜粋):ジャーナリストの端くれですけれども、繰り返し教えられてきたことは、「権力は必ず嘘をつくから、それを暴くのが記者の仕事だ」っていう、そこの一言なんですよね。で、アサンジもスノーデンも、基本、その魂で暴いたわけですね。その結果がどうあるかは社会が考えてくださいっていう投げかけだと思っています。で、もっと心配なのは、私は、暴くネタ。公文書。つまり記録が作られていない世の中になっていくっていうことが怖いです。実際日本でも公文書、捨てられたりしていますよね。

要旨をまとめると、
・ジャーナリストとして「権力は必ず嘘をつく、それを暴くのが記者の仕事だ」と教わってきた。アサンジやスノーデンのしたことはこの魂に則っている。
・こうした公文書が作られない世の中になることを懸念している。日本でも公文書が破棄されている。
というものです。

しかしながら、
・「権力が必ず嘘をつく」という主張に明確な根拠はない。
・昨今「フェイクニュース」の存在が叫ばれるように、メディアの側が嘘をつくことが問題視されている。よって、ジャーナリストやメディアが嘘を暴く存在だとする主張は事実に基づかず、また一方の立場に視聴者を誘導する誤った報道であると言える。
・スノーデンのリークは米国とその同盟国の安全保障における脅威となる行いであり、一方的に正しいとする主張は公平性を欠き、また事実に即しているとは言えない
・日本において公文書の正しい手続き以外での破棄が常態化しているとする主張に根拠はない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での元村氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「ウィキリークスは大きな影響を与えたが、政治権力に利用されると危険だ」「真実かどうかわからないものは規制すべきだ(田中氏)」「真実の暴露が幸せにつながるとは限らない(大宅氏)」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「特定の政治的立場の人間が情報を使うことを権力による濫用とする主張は政治的公平性を欠く」「真実を伝えることこそが報道の使命だ」「自身の主張に合うフェイクニュースを黙認する危険な発言だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、政治的に公平でない内容を放送したり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
① 「風を読む」にてネットジャーナリズムについて報道された部分
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
② F-35A墜落について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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