4月22日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送では大阪と沖縄で行われた衆議院議員補欠選挙に関する報道がとりあげられていました。
大阪12区では、故・北川知克氏の補欠選挙で、維新の新人藤田文武氏が当選しました。
沖縄3区では、沖縄県知事になった玉城デニー氏の補欠選挙で、無所属の新人フリージャーナリストの屋良朝博氏当選しました。
自民党が2つの選挙で、敗北したという結果になりました。
これをもって、自民党の弱体化、参院選に影響するといった解説がなされていました。
そこで今回は2点検証します。
1.様々な論点を提示して、放送がなされていたか
2.政治的に公平な放送がなされていたか
まずは放送内容から、確認していきます。
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【スタジオ】
富川悠太アナ:昨日の夜、自民党本部で取材に応じました二階幹事長と甘利選対委員長です。二人とも頭を下げていました。衆議院の補欠選挙では、大阪でも沖縄でも自民党の後任候補が敗れました。この結果が夏の参議院選挙にどう影響してくるんでしょうか。そして衆参ダブル選挙の可能性は。
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【VTR】
安倍晋三総理大臣:党一丸となっての戦い、だいぶ手応えも感じられたのですが、大変残念な結果になりました。
ナレーション:うつむき加減で悔しさを滲ませた安倍総理ですが。選挙戦最終日は大阪に入り、G20への協力要請だとして吉本新喜劇に出演しました。
安倍晋三総理大臣:食べ物も美味しいし、人情も良いし、笑いの文化もありますよね。四角い仁鶴がまあるく収めますと。
ナレ:自民党後任候補の応援演説では。
安倍晋三総理大臣:やっとトップランナーの背中が今見えてきました。もう少しで背中に手が掛かります。
ナレ:しかし大阪12区で自民党は敗れました。当選したのは維新後任の藤田文武氏です。維新は二週間前の大阪ダブル選で勝利し、勢いを引き継いだ形です。一方沖縄では、オール沖縄が推す屋良朝博氏が当選しました。沖縄では去年9月の県知事選で玉城デニー氏が当選し、2月の県民投票、今回の沖縄三区補選と、辺野古・新基地建設反対の民意が続けて示されています。大阪・沖縄での2杯を受け、与党からは。
自民党幹部:まあ今回はどちらも特殊事情がありますからね。夏の参院選に向けては良かったんじゃないですか。もし勝ってたら緩んでしまいますから。
ナレ:確かに、安倍内閣の支持率は依然堅調です。そんななか安倍総理が衆参ダブル選挙に打って出るのではないかとの見方も出てきています。
政府関係者:参院選だけでは安倍政権にお灸を据えようという世論で負けてしまう。
ナレ:つまり、政権選択の選挙である衆院選とダブルで行えば、さすがに与党が勝てるだろうという考え方です。
自民党 二階俊博幹事長:そうしたことは解散することがいよいよ決まったとか、そういうことになった時に検討すべき事であって、今からそんなことを我々が考えているわけではありません。
菅義偉官房長官:衆議院の解散は総理の専権事項でありますから、総理が「やる」と言えばやるし、「やらない」と言えばやらない。
ナレ:世論調査で衆参ダブル選挙について聞いたところ、賛成が過半数に上っています。そんななか、安倍総理は欧米6カ国を巡る外遊に旅立ちました。
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【スタジオ】
富川アナ:後藤さんは今回の衆院補欠選の結果は夏の参院選にどう影響すると見てらっしゃいますか。
後藤謙次氏:かなり影響すると思いますね。今回自民党のいわゆる脆さ・弱さ、アウェイ地強と言われてますけども内実は非常に脆弱であったということを示したと思うんですね。たとえば安倍総理が応援に入ったのは投票日の前日な訳ですね。本当に勝つ気であるならばもっと前に行っても良かったわけですね。今のVTRのなかでも沖縄も大阪も特殊事情だという表現がありましたね。沖縄は基地反対で盛り上がっている。一方大阪は維新の会の強さ。それがダブル選挙で表れて、それがそのまま引き継がれたと言ってるんですが、それは良いわけに過ぎなくてですね、これまで前の桜田五輪担当大臣の失言による辞任とかそういう様々な不祥事が重なったゆえの結果という側面もあるわけですね。
富川アナ:だったらダブル選挙っていうのは与党が負ける可能性っていうのにつながらないかなって思うんですけど。
後藤氏:それが普通の考えなんですが、実は今回野党側も統一候補がきちっと立てられなかったとかですね、そういう特殊事情がある。つまり野党側の準備が整わないうちに選挙をやるべきだと。しかも参議院一本では非常に危ないぞというところでダブル論が今日辺りから出てきてると。しかも二階幹事長自身もダブル選挙という言葉を使った。菅官房長官もやるかやらないかは総理の判断だと。これも非常に例外的な発言でですね、やはり徐々にそっちの方向に持っていこうとしている意図も感じられるんですね。その最初の演出が先週の萩生田さんの発言と。消費税発言。ただ今回は消費税とは関係なしにダブルに行こうという声も当然出てくるわけですね。増税前の選挙、というところで一致してくるんだと思いますね。要警戒水域に入ってきたと。
富川アナ:ダブル選挙が。野党は野党で結集の仕方を、大阪なんかを見ると、考えていかなきゃいけないと思いますね。
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放送内容をまとめていきます。
①大阪と沖縄の補欠選で自民党が敗北との報道
②自民党内部からの声と衆参ダブル選挙の可能性について言及
③ダブル選挙の狙いについてのスタジオ解説
今回検証する点の1点目として、大阪と沖縄補欠選挙について大きな論点が提示して放送がなされていたか、という点を検証していきます。
大阪の事情に関して国政維新と自民党の関係と、大阪自民党についての言及が必要です。
国政自民党としては憲法改正のための議論を盛り上げるために、改憲勢力である国政維新と協力をする必要があります。
自民党として、憲法改正の優先順位が高いことを考えると、維新との関係を考えた上で選挙戦略を立てているという側面があります。
憲法改正の議論は一向に進まず、5月9日に憲法審査会で実質的な審議が行われる予定ですが、この実質的な審議は昨年2月の衆院での自由討議以来1年3ヶ月ぶりに開かれるというほど議論が進んでいません。
他の野党の立憲民主党や国民民主党から憲法を議論するという協力が得られない中で維新からの協力が得られない事態となってしまえば、さらに議論が停滞してしまいます。
また大阪自民党がどのような組織かということを考慮することも必要です。
大阪自民党は維新と対決するために、共産党と組み一緒の選挙カーに乗って演説をしていたのです。
これは今回の選挙でも見られました。
3月18日に共産党は自民党が推薦する2人を「自主応援」すると発表しました。
維新とその他の政党との対立がどれだけ強いかがわかります。
このような組織との関係を深めることは安倍政権としても好ましくないことは明らかでしょう。
この国政維新と自民党の関係、大阪自民党といった論点を取り上げずに放送することは以下の放送法に抵触する恐れがあります。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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2つ目の検証点として政治的に公平な放送がなされていたかという点です。
まずはスタジオ解説にて今回の補欠選挙が参院選挙にどう影響するかについての解説を振り返ってみます。
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後藤謙次氏:かなり影響すると思いますね。今回自民党のいわゆる脆さ・弱さ、アウェイ地強と言われてますけども内実は非常に脆弱であったということを示したと思うんですね。たとえば安倍総理が応援に入ったのは投票日の前日な訳ですね。本当に勝つ気であるならばもっと前に行っても良かったわけですね。今のVTRのなかでも沖縄も大阪も特殊事情だという表現がありましたね。沖縄は基地反対で盛り上がっている。一方大阪は維新の会の強さ。それがダブル選挙で表れて、それがそのまま引き継がれたと言ってるんですが、それは良いわけに過ぎなくてですね、これまで前の桜田五輪担当大臣の失言による辞任とかそういう様々な不祥事が重なったゆえの結果という側面もあるわけですね。
富川アナ:だったらダブル選挙っていうのは与党が負ける可能性っていうのにつながらないかなって思うんですけど。
後藤氏:それが普通の考えなんですが、実は今回野党側も統一候補がきちっと立てられなかったとかですね、そういう特殊事情がある。つまり野党側の準備が整わないうちに選挙をやるべきだと。しかも参議院一本では非常に危ないぞというところでダブル論が今日辺りから出てきてると。しかも二階幹事長自身もダブル選挙という言葉を使った。菅官房長官もやるかやらないかは総理の判断だと。これも非常に例外的な発言でですね、やはり徐々にそっちの方向に持っていこうとしている意図も感じられるんですね。その最初の演出が先週の萩生田さんの発言と。消費税発言。ただ今回は消費税とは関係なしにダブルに行こうという声も当然出てくるわけですね。増税前の選挙、というところで一致してくるんだと思いますね。要警戒水域に入ってきたと。
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まず、自民党の脆さについて言及しています。
それはすなわち、沖縄と大阪の特殊事情と桜田五輪担当大臣の失言であると解説していますが、これらの問題は自民党の問題というよりは、突発的に発生した問題であり、自民党の脆さとは言えないと思われます。
またここで自民党の脆さに言及してながら、野党の脆さには言及していません。
今回の統一選で野党は一本化してまとまることはできず、全体の結果だけをみれば自民党の圧勝です。
野党第一党の立憲民主党などは55年体制下の社会党と化しています。
つまり野党第一党として政府の悪口を言っていればある程度の議席が獲得できますが、政権を取る気もないので自民党が勝ち続ける、という構造となっています。
立憲民主党にもし政権を取る気があるのであれば、野党との共闘をさらに推し進めるでしょう。
しかし野党と全面的に協力する姿勢は見られません。
自民党の脆さについては言及するが、国民の支持を得られないまま、政権を取る気もない野党について言及しないのは政治的に公平であるとは言えません。
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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して、今後も監視を続けてまいります。