2019年5月26日 サンデーモーニング(後編)

2019年5月26日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年5月26日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 議員の暴言と衆参同日選挙について報道された部分
② 「風を読む」でトランプ米大統領の来日について報道された部分
③ 徴用工問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 「風を読む」でトランプ米大統領の来日について報道された部分における
検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 徴用工問題について報道についてについて報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):特に日米に関して言うと、この今のゴルフの映像もそうですけども、ひたすら現状を追認する。現実を何とか守り抜くんだみたいなものしか見えないですよ。で、こういう状況を見てね、例えば、今回の相撲の末席もそうだけども、ノーベル平和賞もそうなんだけれども、国際的な信用とか信頼っていうものが日本がどうなってるのか。

要旨をまとめると、
・日米関係について、トランプ米大統領の厚遇など今やっていることは現状追認でしかない
・トランプ米大統領を厚遇することは日本の国際的な信用や信頼を失墜させている

というものです。

しかしながら、
・最大の同盟国であるアメリカの大統領を国賓として招くことと、理想がないまま現状をただ追認することとの間には何ら関係性がない。
・国際的に日本の外交、特にトランプ米大統領との交流は高く評価されており、国際的な信頼や信用が失墜しているという主張は明確な虚偽である

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 徴用工問題について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
韓国の元徴用工が日本企業を訴えた徴用工問題で、韓国の最高裁が日本企業に賠償を命じたことについて、日本政府は、第三国を交えた仲裁委員会を開催するよう韓国政府に要請。河野外相は韓国の康京和外相と会談し、こうした考えを直接伝えたとナレーション。
 河野外相が記者の質問に答える映像に切り替わり、「一刻も早い仲裁の委員の任命をお願いしたいと思いますが、韓国側が速やかにしっかりとした対応策を講じてくれることが望ましい」と話す映像が流される。
 しかし、康外相は日本側の要請を受け入れず、「日本側も被害者の苦痛を癒すよう努力する必要がある」と述べるにとどまり、韓国内では、日本企業が賠償に応じれば、財団を設立して保障に対応するという案も浮上しているが、本格的な検討には至っていないと伝えられ、VTRは終了した。

——-
【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):だから、1965年に、日韓は国交正常化したんですけれども、そのときっていうのは要するに、どういうことかっていうと、当時韓国は軍人出身の独裁政権で、そことある種政治的妥協をして正常化したんですね。だから例えば、植民地支配が合法だったか不法だったかっていうところも、ある種玉虫色にして合意したんですよ。その根本のところが、今結局問われることになっちゃってるんですよね。で、日本側はこの65年の協定を盾にして、俺たち正しいだろって言ってるんだけど、韓国側にしてみると、独裁政権がやったことに対する反発から生まれた今の政権ですからね。そうなってくると、例えば、個人賠償権は消えてないって、それはその通りなんですよ。あるいは、その司法判断だから、行政としてどうしようもないっていうのもその通りなんですよ。だから結局根本的に解決するためには、新たな政治的妥結をするためには、トップ同士が、膝をつきあわせて本気で話さないと、これは解決のしようがないんですね。G20サミットで、どうも、日韓首脳会談はないんじゃないかって言われてますけど、それはまずいと。日韓の首脳が、本気で虚心坦懐に向き合うべきだと思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):だから、1965年に、日韓は国交正常化したんですけれども、そのときっていうのは要するに、どういうことかっていうと、当時韓国は軍人出身の独裁政権で、そことある種政治的妥協をして正常化したんですね。だから例えば、植民地支配が合法だったか不法だったかっていうところも、ある種玉虫色にして合意したんですよ。その根本のところが、今結局問われることになっちゃってるんですよね。で、日本側はこの65年の協定を盾にして、俺たち正しいだろって言ってるんだけど、韓国側にしてみると、独裁政権がやったことに対する反発から生まれた今の政権ですからね。そうなってくると、例えば、個人賠償権は消えてないって、それはその通りなんですよ。あるいは、その司法判断だから、行政としてどうしようもないっていうのもその通りなんですよ。だから結局根本的に解決するためには、新たな政治的妥結をするためには、トップ同士が、膝をつきあわせて本気で話さないと、これは解決のしようがないんですね。G20サミットで、どうも、日韓首脳会談はないんじゃないかって言われてますけど、それはまずいと。日韓の首脳が、本気で虚心坦懐に向き合うべきだと思いますよね。

要旨をまとめると、
・1965年当時の合意は独裁政権によってされたもので、植民地支配が合法か不法かということを判断しないなど政治的妥協がそこには存在していた
・韓国側の主張である個人賠償権や司法判断故に行政が介入できないという主張はその通りである
・根本的な解決のためには、トップ同士が話し合って政治的妥協をするべきだ

というものです。

しかしながら、
・国際条約として日韓基本条約が存在する以上、その背景の如何に関わらず条約の内容が優先されることは当然のことである。したがって独裁政権によって締結されたことが内容を無効にするものではない。
・日韓請求権・経済協力協定に基づけば、「相手国やその国民の財産・権利・利益や請求権について、いかなる主張もすることができない」となっているため、日本には何ら支払う義務は存在しない。
・国際条約は国家間の約束であり、国内法に優先する重いもので、国内の確定判決を理由に条約の不履行を主張することはできない。
・一方的に韓国側の立場に立ち、韓国に妥協すべきだとする主張を行うことは政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日韓が妥協し合って問題を解決すべき」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国際条約上日本に支払う義務は存在しない」「韓国側の主張は明らかに無理筋だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 議員の暴言と衆参同日選挙について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」でトランプ米大統領の来日について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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