6月19日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・後藤氏の党首討論に関する解説
まずは放送内容から見ていきます。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:続いて国会です。今日国会では、安倍総理と野党4党首による党首討論が行われました。会期末が1週間後にせまるなか、老後2000万円問題に関して、安倍総理が追及されました。
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【VTR】
ナレーション:1年ぶりとなる党首討論です。
立憲民主党 枝野幸男代表:今回の報告書が出たあとも安心ばかりは強調されて、多くの有権者の皆さんが抱えている不安に向き合っていないことに対して多くの皆さんが怒っておられるのではないか。
安倍晋三総理大臣:報告書によると月々年金生活者の方々が5万円不足する。いわば5万円赤字であって、95歳まで生きれば2000万円になる、ということから大きな誤解が生じたわけでありますが。
ナレーション:立憲民主党の枝野代表は、高齢者の不安解消を掲げ、対案を示しました。
立憲民主党枝野代表:家計単位で、医療・介護・保育・障害者福祉に関する、トータルの金額について、自己負担に上限をかける。そうしたなかで高齢者の皆さんの安心を高めることに繋がるんだと、私たちは国民の皆さんに提案をさせていただきたいというふうに思っております。
安倍晋三総理大臣:皆さんの収入が増えていくことについては、社会保障の基盤を大切にしていくことにおいて大変大切であり、まさに私たちはそのことを行っていると申し上げたい。
ナレーション:続いて質問に立った国民民主党の玉木代表は。
国民民主党玉木雄一郎代表:総理は一部報道によると金融庁の報告書、「金融庁は大バカ者」と激怒したと報じられていますが事実でしょうか。
安倍晋三総理大臣:私は滅多に激怒しない人間として、自由民主党では代替理解されている。温和に円満に生きているつもりであります。大切なことは、国民に誤解を与えない、そういう資料を作ることではないかと考えています。
国民民主党玉木雄一郎代表:報告書あるので、お渡ししますから読んでください。お忙しいと思うので、全部付箋つけてきましたから。これぜひ読んでいただきたい。まっとうなことが書かれています。
安倍晋三総理大臣:この報告書について、私も既にいただいて読んでおりますから。私自身は読んでおりますから。わざわざ付箋を入れていただきましたがこれはもう結構です。
ナレーション:続いて取り上げたのは、年金の財政状況をチェックする財政検証です。経済が悪化しており、現在の年金制度を維持するのには無理があると指摘しました。
国民民主党玉木雄一郎代表:前回5年前の財政検証の最低のケース。実は一番今の経済実態に近いと思います。そのケースだと何が起こるかというと、なんと100年どころか36年後に積立金が枯渇することになっている。ですから全然100年安心じゃないじゃないですか。家賃補助、こういったことにもきめ細かく対応していきたいと思っておりますので。
ナレーション:玉木代表が25分の討論を終え、共産党の志位委員長が質問に入りました。
安倍晋三総理大臣:大変残念なのは先ほどの党首の議論で「年金の積立金が枯渇する」と言うとき拍手が起こったことであります。私はそういう議論はですね、そういう議論はすべきではないですし、テレビを観ている方がおられますから、大切なことも述べなければいけないわけでありまして。年金の基礎年金の運用については44兆円プラスになっていると言うことははっきりと申し上げておきたい。
ナレーション:志位委員長は年金制度の改革を提案しました。
共産党志位和夫委員長:マクロ経済スライドを続けて、さらに貧しい年金にしてしまうことこそ、私は無責任で馬鹿げた政策と言わなければなりません。
ナレーション:年金の給付水準を維持するための財源として、高所得者の保険料を見直すべきだとしています。
共産党志位和夫委員長:高額所得者優遇の保険料の在り方。これ正すべきじゃないですか。端的にお答えください。
安倍晋三総理大臣:志位委員長がおっしゃったご提案は、まずはちゃんと検証しなければその数字は明らかでないわけで、マクロ経済スライドをやめてしまうという考え方はもう一度申し上げますが馬鹿げた案だと思います。
ナレーション:日本維新の会の片山代表は。
日本維新の会片山代表:他の党首が言いたくても言えないのか、言いたくないのか。国会間もなく終わりますね。解散をこの国会ではされるんですか、されないんですか。
安倍晋三総理大臣:大変重要な質問でございますが、「解散」という言葉は私の頭の片隅にはございません。
日本維新の会片山代表:内閣不信任案や総理の問責決議案が出たときはどうされますか。
安倍晋三総理大臣:片隅にはありませんし、片隅にもないと言った方がいいかもしれませんが。
日本維新の会片山代表:片隅にはあるんでしょう。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:一年ぶりの党首討論だったわけですが、後藤さんはどうご覧になりましたか。
後藤謙次氏:私も委員会室に行ってましたけども、今日最初から委員会室全体にあんまり緊張感がなかったんですね。それは野党側が年金を集中的に攻めどころ満載だったわけなんですが、それぞれが別の提案をしているために、議論が収斂をしなかったと。一方で安倍総理に対しては、場合によっては解散行ってもいいぞという決死の覚悟がないために、柔道で言えば畳に上がったものの組み手さえしない、腰が引けっぱなし、そこが足元を見られてしまって、安倍総理は結局真正面から答えなかった。非常に不完全燃焼、消化不良、そんな党首討論でしたね。
徳永有美アナ:党首討論次第では解散があるのかないのかっていうところも決まるかもしれないというお話がありましたけども、その点はどうですかね。
後藤謙次氏:その点は、安倍総理が巧みにかわしながら、余地を残したって事でしょうね。なおありそうな気配は残すんですけど、可能性は少ないけど余地を残す、つまり野党側にこの解散の風が多少でも吹いていれば、参院選の準備がなかなか腰が入らない。一方で党内的にも緊張感を走らせて、党内のひきしめに入るということで、余地を残しながら。今日は自民党最高幹部の人に会いましたけども、その人はポンポンがあるかもしれない。つまり参院選がポンで、もう一つその次に衆議院選がポンとくる。
徳永有美アナ:ダブル同時ではなく、ポン、ポン。
後藤謙次氏:いわば同年選挙ということですね。秋口なら同時期選挙とか、そういう可能性はまだ残ってるんじゃないかと。つまり安倍総理自体がまだ解散カードを手にしたままこのあとの政局運営をやっていくという意味では、やはり野党側にもう少しきちっと対決するという姿勢が必要だと思いますね。
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【検証部分】
今回検証する発言部分は以下の部分です。
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【スタジオ】
徳永有美アナ:一年ぶりの党首討論だったわけですが、後藤さんはどうご覧になりましたか。
後藤謙次氏:私も委員会室に行ってましたけども、今日最初から委員会室全体にあんまり緊張感がなかったんですね。それは野党側が年金を集中的に攻めどころ満載だったわけなんですが、それぞれが別の提案をしているために、議論が収斂をしなかったと。一方で安倍総理に対しては、場合によっては解散行ってもいいぞという決死の覚悟がないために、柔道で言えば畳に上がったものの組み手さえしない、腰が引けっぱなし、そこが足元を見られてしまって、安倍総理は結局真正面から答えなかった。非常に不完全燃焼、消化不良、そんな党首討論でしたね。
徳永有美アナ:党首討論次第では解散があるのかないのかっていうところも決まるかもしれないというお話がありましたけども、その点はどうですかね。
後藤謙次氏:その点は、安倍総理が巧みにかわしながら、余地を残したって事でしょうね。なおありそうな気配は残すんですけど、可能性は少ないけど余地を残す、つまり野党側にこの解散の風が多少でも吹いていれば、参院選の準備がなかなか腰が入らない。一方で党内的にも緊張感を走らせて、党内のひきしめに入るということで、余地を残しながら。今日は自民党最高幹部の人に会いましたけども、その人はポンポンがあるかもしれない。つまり参院選がポンで、もう一つその次に衆議院選がポンとくる。
徳永有美アナ:ダブル同時ではなく、ポン、ポン。
後藤謙次氏:いわば同年選挙ということですね。秋口なら同時期選挙とか、そういう可能性はまだ残ってるんじゃないかと。つまり安倍総理自体がまだ解散カードを手にしたままこのあとの政局運営をやっていくという意味では、やはり野党側にもう少しきちっと対決するという姿勢が必要だと思いますね。
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この発言の問題点は以下の点です。
・印象操作と思われる発言があった可能性がある
後藤氏は党首討論について、野党側が一つにまとまることができなかった点を問題視しています。
後藤氏は「野党側が年金を集中的に攻めどころ満載だったわけなんですが、それぞれが別の提案をしているために、議論が収斂をしなかった」と述べています。
この点は後藤氏が持っている政治に対する前提があるように思われます。
それはすなわち、野党は与党を倒すためにあるという点です。
この観点は野党に政権運営能力があり、常に与党と対決姿勢を示していけば、緊張感のある政治が生まれるという点から正しい面もあると思われます。
しかし、主義主張が異なれば別の政党で別の意見が出てくるのは当然のことです。したがって野党は一つにまとまり、与党を倒すためだけに存在するのではありません。
野党の意見がまとまらずに、政権にダメージを与えられなかったという後藤氏の発言は与党と野党の関係に関して視聴者に誤った印象を与えかねません。
また後藤氏は野党が解散を恐れている、と解説したうえで安倍総理の政権運営について以下のように解説しています。
「安倍総理自体がまだ解散カードを手にしたままこのあとの政局運営をやっていくという意味では、やはり野党側にもう少しきちっと対決するという姿勢が必要だと思います」
これは今の政局における解説として相応しいものとは言えません。
なぜなら解散は総理の専権事項であり、野党は政権をとる準備を常にしておくべき存在であるからです。
与党とは異なる政治を行い、それぞれの政党の理念を達成するためには選挙によって国民の信頼を勝ち取る必要があります。
そのため野党にとって解散の可能性があるということは野党にとって最も大きなチャンスであるはずです。
このように見ていくと、解散は与党にとっても政権を失うリスクのあるものなのです。
したがって解散というカードがあるから「安倍総理は結局真正面から答えなかった」などといった後藤氏の解説は、解散を与党が利用しているだけである、という印象を与えかねません。
我々はこのような、誤った印象を与えかねない解説者の主観に基づいた発言は問題であるととらえます。
視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けてまいります。