2019年7月4日 報道ステーション

2019年7月4日 報道ステーション

7月4日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏の日韓関係に関する解説

まずは放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
富川悠太アナ:こちらは経済産業省にあります企業からの個別審査を受けつける窓口なんですね。日本政府が決めました韓国への輸出規制強化が今日から始まりました。一方で韓国政府は、積極的な外交的対応策によりまして日本に撤回させるという方針を打ち出しました。

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【VTR】
ナレーション:今日午後、韓国の文在寅大統領はソフトバンクの孫正義会長と会談しました。きょうから日本政府が開始した韓国への輸出規制強化について、文大統領の発言が注目されましたが、触れることはありませんでした。規制が強化されたのは半導体の製造などに使われる化学製品3品目です。徴用工問題への報復だと指摘されていますが、安倍総理は。

安倍晋三総理大臣:誤解している方もおられると思いますが、禁輸措置ではありませんし、通常の貿易に関税をかけるのでもありません。こういう行動を何故とったかということについては、国際約束を反故にされたからであり、国際約束が守れないのであれば今までとっていた特別な優待措置をやめて、普通の手続きに戻したということ。

ナレーション:「優遇をやめただけ」という日本に対し、韓国側の受け止めは。

韓国外務省報道官:不合理な経済報復措置であり、常識に反する措置で、極めて遺憾。「韓国が国際法上の約束を守らなかった」との日本側の主張は受け入れられない。

ナレーション:今日韓国は、国家安全保障会議を開き、日本に措置を撤回させるため外交的対応策を積極的にとる方針を決めました。WTOの提訴を含め、日本の不当性を主要国に説明することを例に挙げています。

韓国通商交渉本部長:日本の措置は両国の経済関係を損なうだけでなく、第三国の企業にも深刻な被害を及ぼしかねない。

ナレーション:事態がエスカレートするのは避けたいという思いもあるようです。

韓国洪楠基(ホンナムギ)副首相:報復が報復を生み、さらなる報復を生むようなことは望ましくない。

ナレーション:同様の声は、日本の経済界からも。

日本商工会議所三村明夫会頭:やや過剰反応、全体としてはしていると思います。やっぱり国と国同士で積極的な話し合いが進むことを期待しています。

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【スタジオ】
徳永有美アナ:積極的な話し合いという言葉がありましたけども、事態はこのままうまく進むというか、解決に向かっていくんでしょうか。

後藤謙次氏:そうしなければならないと思います。この措置によってどういう影響が出るかっていうのは実際わからないんですね、今の段階で。安倍総理も昨日このスタジオの中で世耕大臣が注視してみているという意味ではこのまま見守るということなんですが、実際どうなるか。これが連鎖に連鎖を生んで、サプライチェーンっていうのは世界いろんな貿易で動いていますから、この部品が止まることで思わぬところで影響が出てくる可能性があるんですね。これについてはまだ評価ができないんだと思いますが、今回の措置に対して、特に米欧のメディアが非常に日本に厳しい反応をしているんですね。例えばウォールストリートジャーナルとか、フィナンシャルタイムズとか、こういう一流紙が、やはりこれまで世界のシステムの有力な支え手だった日本がどうしたことかという論調を加えているんですね。さらに韓国の中でも朝鮮日報という文在寅ゴリゴリの新聞があるんですね。有力紙ですけど。この朝鮮日報が、やはり日本の立場は理解できるけれども、この問題に貿易の問題を持ち込むのはいかがなものかという指摘をしているんですね。ですからここはもういったん冷静になって、外交努力でやっていくと。せっかく安倍総理はこないだのG20で自由貿易を世界に訴えたわけですから。この功績すら損なわれかねない、そういう事態に陥っています。今は選挙中ですけども、やはり落ち着いてきちっと議論するという姿勢が大切だと思いますね。

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今回検証する発言は以下の部分です。

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徳永有美アナ:積極的な話し合いという言葉がありましたけども、事態はこのままうまく進むというか、解決に向かっていくんでしょうか。

後藤謙次氏:そうしなければならないと思います。この措置によってどういう影響が出るかっていうのは実際わからないんですね、今の段階で。安倍総理も昨日このスタジオの中で世耕大臣が注視してみているという意味ではこのまま見守るということなんですが、実際どうなるか。これが連鎖に連鎖を生んで、サプライチェーンっていうのは世界いろんな貿易で動いていますから、この部品が止まることで思わぬところで影響が出てくる可能性があるんですね。これについてはまだ評価ができないんだと思いますが、今回の措置に対して、特に米欧のメディアが非常に日本に厳しい反応をしているんですね。例えばウォールストリートジャーナルとか、フィナンシャルタイムズとか、こういう一流紙が、やはりこれまで世界のシステムの有力な支え手だった日本がどうしたことかという論調を加えているんですね。さらに韓国の中でも朝鮮日報という文在寅ゴリゴリの新聞があるんですね。有力紙ですけど。この朝鮮日報が、やはり日本の立場は理解できるけれども、この問題に貿易の問題を持ち込むのはいかがなものかという指摘をしているんですね。ですからここはもういったん冷静になって、外交努力でやっていくと。せっかく安倍総理はこないだのG20で自由貿易を世界に訴えたわけですから。この功績すら損なわれかねない、そういう事態に陥っています。今は選挙中ですけども、やはり落ち着いてきちっと議論するという姿勢が大切だと思いますね。

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今回の発言の問題点は以下の2点です。

・政治的に不公平な発言があった可能性がある
・印象操作と思われる発言があった可能性がある

1点目の問題点から見ていきます。

今回取り上げられている日韓関係に関する報道で問題となっているのは、韓国が日本との国家間同士の約束を破ったことに対する日本側の対応です。
具体的には1965年に結ばれた日韓請求権協定に関係するもので、日韓の国民の間での請求権を今後問題としない、というものです。
「日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めて(外務省より引用)」います。

後藤氏は、冷静になって外交努力でやっていくべきだと述べていますが、今回の措置も協定を守っていくための外交努力の一つです。
日韓の両国で結んだ協定について、韓国に非があるにもかかわらず、韓国側への言及が留められてることは以下の放送法に抵触するおそれがあります。

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放送法4条
(2)政治的に公平であること
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次に2点目について検証していきます。

後藤氏は今回の日本の措置によって
「安倍総理はこないだのG20で自由貿易を世界に訴えたわけですから。この功績すら損なわれかねない」
と述べています。

今回のこの措置は貿易に関する側面が焦点となっているわけではなく、韓国との国際的なきめごとを守っていけるのか、どうかという点が重要になってきます。

日本が自由貿易を守っていくかどうかというのは論点をずらした解説であると共に、今回の措置によってG7の功績が失われるという解説には根拠がなく、後藤氏の主観によるものです。

このような解説は視聴者に誤った印象を与える可能性があり、我々はこのような印象操作よ思われる発言を問題であるととらえます。

我々は公正なテレビ放送をめざして今後も監視を続けて参ります。

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