2019年10月8日 報道ステーション

2019年10月8日 報道ステーション

10月8日の報道ステーションのレポートです。
この日の放送から表現の不自由展・その後に関する報道と北朝鮮船の衝突事件に関する報道の検証レポートを2本に分けてお届けします。

今回は後編として、北朝鮮船の衝突事件に関するレポートです。
検証するのは以下の点です。

・後藤氏のスタジオ解説

放送内容から確認していきます。
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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):今朝、新潟の港に入港してきたのは北朝鮮の漁船と衝突した水産庁の漁業取締船です。自民党の議員からはなぜ事故当時の映像を公開しないのか、なぜ取組委の事情聴取をしなかったのか、などさまざまな声が上がっています。

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【VTR】
田邉愛アナウンサー:こちらが事故が起きた船です。海上保安庁の職員たちが傷などを見て当時の状況を調べています。

ナレーション(以下ナレ):事故後日本側が救助した乗組員はそのまま別の北朝鮮の船に引き渡されました。事情聴取などは行われていません。自民党内からは厳しい声が相次ぎました。

山谷えり子議員『違法操業にはしっかりと毅然とした対応をしていかなければならない』

Q.日本に移送して調べを行う選択肢はそもそもなかったのか。
西村明宏官房副長官『漁業関連法上の違法操業を確認できなかった。法令上の違反に宇ついては確認できなかった』

ナレ:あのとき、あの場所で何が起きていたのか。現在、推察できるのは6枚の写真からだけです。昨日の夕方には映像が公開されるはずでしたが延長に延長を重ね、今朝になり出ないことが決まりました。

石破茂元幹事長『映像があるってことは知っている。だけどじゃあなぜそれを出せないってことが水産庁だけの判断じゃ言えないものがあるんじゃないですか』

ナレ:この問題について安倍総理は…。

安倍晋三総理大臣『北朝鮮側に対して北京の大使館ルートを通じて抗議を行っております。違法操業防止のため毅然として対応してまいります』

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【コメンテーターによる解説】
徳永アナ:昨日の放送では後藤さんから高度な政治判断という言葉があったんですけれども今回、このように動画が公開されない。自民党内からもさまざまな声が上がっている。一体何が起こっているんでしょうか。

後藤謙次氏:私が今日取材した政府関係者はデリケートでナイーブな問題をはらんでいる。そういう表現をしたんですね。ただ、昨日公開された画像。1枚の写真。6枚ですか、全部で。これだと場所も具体的な特定がない。それから、とりわけ救助された時間がはっきりしない。それから、日本側はどういう救助の仕方をしたかもこれもはっきりしない。動画を見ないとはっきり分からないですね。ただ、いえるのは外交的な影響があるんじゃないかという見方なんです。その外交的影響はいくつかありますが1つは北朝鮮が小さな船に、日本の大きな船が体当たりしてきて漁船が多く海に投げ出されたという宣伝に使われるんじゃないかと。あるいは安倍総理首脳会談を模索していますがそれに影響があるのではと。こういうさまざまな見方があるんですが石破さんが言っていたように映像を公開してもらうということですね。2010年に東シナ海、尖閣諸島周辺で中国漁船の衝突事故があって結果的には動画が流出したんですが我々はそれに対するシフトということがあったんです。
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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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後藤謙次氏:私が今日取材した政府関係者はデリケートでナイーブな問題をはらんでいる。そういう表現をしたんですね。ただ、昨日公開された画像。1枚の写真。6枚ですか、全部で。これだと場所も具体的な特定がない。それから、とりわけ救助された時間がはっきりしない。それから、日本側はどういう救助の仕方をしたかもこれもはっきりしない。動画を見ないとはっきり分からないですね。
ただ、いえるのは外交的な影響があるんじゃないかという見方なんです。その外交的影響はいくつかありますが1つは北朝鮮が小さな船に、日本の大きな船が体当たりしてきて漁船が多く海に投げ出されたという宣伝に使われるんじゃないかと。あるいは安倍総理首脳会談を模索していますがそれに影響があるのではと。こういうさまざまな見方があるんですが石破さんが言っていたように映像を公開してもらうということですね。2010年に東シナ海、尖閣諸島周辺で中国漁船の衝突事故があって結果的には動画が流出したんですが我々はそれに対するシフトということがあったんです。
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この発言の問題点は以下の点です。

・多くの論点を取り上げた発言ではなかった可能性がある

後藤氏は公開されている情報では、事故現場や救助された時間と方法が分からないため2010年の東シナ海・尖閣諸島付近での中国船との衝突事件のように映像を公開するべきだと述べていすが、後藤氏が問題視している点がどこであるのかが分かりません。

事故現場に関しては、日本の排他的経済水域内で起きたということがはっきりしていますので、今回の事故で非があるのは北朝鮮側であることは明らかです。

そして北朝鮮船側から衝突され、北朝鮮船から漁民が海に放り出されてしまい、日本が彼らを救出し、北朝鮮から来た別の船に乗って帰ったとされています。
そのため、救出した時間や救出方法についても問題の論点とはなりません。

また2010年の尖閣諸島付近の中国船衝突事件の対応についてですが、適切な対応であったかについては以下のような疑義が残ります。

・外国人漁業の規制に関する法律違反の可能性もある中、より軽い公務執行妨害で逮捕されたこと
・公務執行妨害で逮捕されたのは取り組み員14名中、船長だけであったこと
・事件発生から逮捕までの時間が非常に長いこと

このような問題点は取り上げずに当時の事件を今回の事故に当てはめることは適切ではない可能性があります。

以上のような論点を欠いた解説は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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