2019年10月20日 サンデーモーニング(中編)

2019年10月20日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年10月20日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 台風19号の被害について報道された部分
② 「風を読む」にてフェアプレーについて報道された部分
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてフェアプレーについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 台風の影響により、岩手県釜石市で予定されていた試合が中止となったラグビーワールドカップカナダ代表の選手たちが被災地で支援活動を行った。同じ日にカナダと対戦するはずだったナミビア代表も宮古市で市民と交流し、市の職員を激励した。スポーツマンシップの一端が垣間見えた。
 スポーツマンシップは競技の中でもさまざまな形で生まれており、今年9月の世界陸上では足がもつれ転倒しそうな選手をライバルの選手が支えながらゴールする場面もあった。去年のサッカーワールドカップでも、日本チームのサポーターが試合後に観客席を清掃して帰る姿を海外メディアが報じ、選手でなくてもフェアプレーがあることを世界に伝えた。
 そもそもスポーツのフェアプレーとは何か。故大西鐵之祐氏は自身の著書の中で「自分の良心に照らして絶対的に恥じない行為をすることを誇りとするような共通の精神」と述べている。

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【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(全文):僕は日本人としての価値観ってことで言っておきたいんですけれども、かつてね、新渡戸稲造はですね、宗教心のない日本っていうことを言われたときに、日本人には武士道があるっていう有名な本を書いたわけですね。和魂洋才なんて言い方がありますが日本人の魂っていう意味でね。で、ここで本当に我々が考えなきゃいけないのは、実は今我々はですね、我々の持ってる価値基準ね。例えば森友・加計問題なんかで垣間見えたね、忖度官僚って人たちの権力に対するね、何か配慮って言うかですね。一方日産の問題なんかで垣間見えてる強欲な資本主義を引っ張るリーダーの、なんか醜さみたいなね。そういうものに対するね、拒絶反応とかね。怒りだとか大切な価値っていうも乃に対して自分は何を大事に生きているんだろうかっていうことがね、すごく重要でね。それがやはり他者に対する思いやりだとかですね、良心に恥じないっていうような気持につながるんじゃないのかなっていうふうに思います。

元村有希子氏(要約):普段からそういうことをしてないと、ああいうときに出ない行い。その意味でスポーツ選手に学ぶことはたくさんある。今回の台風で台東区の避難所がホームレスの男性を締め出したが、平等であるということとフェアであるということは別のこと。どれだけ弱い人の気持ちを汲み取れるかということに関して、私は改めてスポーツ選手に学んでいる。

高橋純子氏(全文):先ほどご紹介があった大西さんの言葉ですね。あれはあの、スポーツだけじゃなくて、政治の世界にも当てはまるなと、そっくりそのまま当てはまるなと思って聞きました。やはりその、今あっちでは、政治の世界では何が行われているかというと、もうやっぱ勝ち負け。勝ちさえすればいいんだと。あの土俵を歪めてでも、ウソをついてでも勝ちさえすればいいんだというアンフェアプレイの見本市みたいなことになっていると。これではやはり社会の規範にはなれないよねと。あのスポーツと比しても志が低いというふうに言わざるを得ないんじゃないかというふうに思います。

中西哲生氏(要約):結果にばかり目が行くが、結果より大事なものがあることをスポーツ選手は分かっている。我々スポーツの人間は、何か災害が起きたりいろんなことが起きたらスポーツができない。だから、スポーツができるのであれば、結果よりも人の心を動かすプレイをすることが大事。それがグラウンド外でも今回起こっていて、それによって人の心は動いたんだと思う。

松原耕二氏(要約):人間っていうのは個人で良心をもてても、集団になると中々そうはいかなくなる。組織の中で流されたり、服従・命令・忖度などいろんなことが起きて良心が保てなくなってしまう弱い存在。一人のスーパースターが社会を動かすというより、一人ひとりの小さなフェアプレーの積み重ねが社会を良くすると思う。そういう意味でラグビーは社会の在り様そのもののような気がする。だから我々はラグビーの試合を見てものすごく清々しく感じるのかもしれない。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
3、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):で、ここで本当に我々が考えなきゃいけないのは、実は今我々はですね、我々の持ってる価値基準ね。例えば森友・加計問題なんかで垣間見えたね、忖度官僚って人たちの権力に対するね、何か配慮って言うかですね。一方日産の問題なんかで垣間見えてる強欲な資本主義を引っ張るリーダーの、なんか醜さみたいなね。そういうものに対するね、拒絶反応とかね。怒りだとか大切な価値っていうも乃に対して自分は何を大事に生きているんだろうかっていうことがね、すごく重要でね。それがやはり他者に対する思いやりだとかですね、良心に恥じないっていうような気持につながるんじゃないのかなっていうふうに思います。

要旨をまとめると、
・森友・加計問題で官僚が行った権力への忖度や、日産の問題で見えた強欲な資本主義のリーダーに対する拒絶反応がすごく重要である。そうした拒絶反応は、他者に対する思いやりや良心に恥じないという気持ちにつながる。

というものです。

しかしながら、
・森友・加計問題では何ら違法行為は存在しなかったことが分かっている。また、日産のゴーン会長が問題視されたのは金融商品取引法違反や特別背任であって、強欲な資本主義が問題視されたわけではない。
・特定の価値観について一方的に「強欲だ」「そういうものを憎む気持ちが思いやりや良心を生む」という主張をすることは視聴者に偏った印象を与えるものであり、事実に即していない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本の政治はフェアプレーの精神からはかけ離れている」「ラグビーに倣い日本もフェアプレー精神を持つべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本の政治は民主主義に則り極めてフェアにやっている」「スポーツの政治利用に他ならない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にてフェアプレーについて報道された部分における
 検証3「高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 自衛隊のホルムズ海峡派遣について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 台風19号の被害についてについて報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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