2019年10月31日 報道ステーション

2019年10月31日 報道ステーション

10月31日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏によるスタジオ解説

まずは放送内容を確認していきます。

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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):次です。またしても安倍内閣の閣僚が辞任しました。今朝、河井克行法務大臣が辞表を提出しました。その理由なんですが7月の参議院選挙で当選した妻の案里議員に選挙違反の疑惑が浮上したからです。大臣が1週間で2人も辞任する異常事態です。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):突然の辞任劇でした。

河合克行前法務大臣(以下克行前大臣)『妻と相談したうえ、一晩じっくり考え今朝決断した次第であります。法務検察に対する国民の信頼を守るため私は法務大臣を辞めます』

ナレ:引き金となったのは妻・河井案里議員をめぐる疑惑です。二人三脚で政治活動を続けてきた2人。先月のパーティーでは…。

(パーティー会場で歌を披露する案里氏の映像)

ナレ:今日発売の「週刊文春」は案里氏が初当選を果たした7月の参議院選挙で選挙違反があったのではないかと伝えました。

ウグイス嬢『河合案里の手の温もりをしっかり感じてくださいませ』

ナレ:その疑惑は選挙カーから声をかけるウグイス嬢に法律で定められた上限1万5000円の倍の報酬を払っていたというものです。領収書の日付を選挙前と選挙期間中の2枚に分けることで上限を超えていないように装っていたのではないかと報じられました。就任会見ではこう語っていた克行氏。

克行前大臣『法務省の英文名はMinistry of Justice、社会正義の実現という崇高使命を持っていると考えます』

ナレ:疑惑については…。

克行前大臣『私としては法令にのっとった政治活動、選挙活動を行っていると信じております。そして今後、しっかりと調査して説明責任を果たしてまいりたい』

ナレ:後任には森雅子元少子化担当大臣が就任しました。疑惑の舞台となったのは岸田政調会長のお膝元広島選挙区です。岸田派のベテラン議員がいるにもかかわらず官邸が主導して案里氏を擁立したことで党内で議席を争うことに。

河合案里議員(以下案里議員)『今の国会どうですか。「週刊ナントカ」とか「ナントカ砲」とかそんなことばっかり議論している。皆さんの税金で議論しとるんよ』

ナレ:初出馬の案里氏を全面的にサポートしたのが夫の克行氏と…。

(菅官房長官と案里議員の会食の映像)

ナレ:菅官房長官は3回も現地に入り選挙戦はさながらポスト安倍をめぐる代理戦争の様相を呈しました。

(初登院時の案里議員の映像)
案里議員『令和初、花咲けです』

ナレ:選挙違反はあったのでしょうか。

案里議員『夫が大臣の職を辞する結果を招いたことにつきまして、関係者の皆様に深くおわび申し上げます。記事内容についてはたいへん驚いておりますが、事実関係の把握に努めた上で説明責任を果たしてまいりたいと思います』

ナレ:記事の内容に驚いたという妻と…。

克行前大臣『今回の一件は私も妻もまったくあずかり知らないところです』

ナレ:知らなかったと話す夫。夫の辞任で幕引きということでしょうか。ただ、専門家はこう指摘します。

岩井奉信教授(以下岩井教授)『それ(違反)を指示した人に対しては懲役3年または罰金50万円となりますが、有罪が確定することになると選挙関係者だけでなくて候補者、すなわち政治家ご本人にも罪が及び、連座制が適用され政治家でいられなくなる、議員でいられなくなるということになります』

ナレ:更に…。

岩井教授『河合氏が事実上の選挙責任者といわれているわけですね。場合によっては河合大臣自身が罪に問われ責任に問われることは否定できない』

安倍晋三総理大臣『今回の内閣はまさに安定と挑戦の内閣』

ナレ:こう意気込んで始まったはずですが内閣改造後、党幹部の出現や閣僚の不祥事が次々と。1週間に2人の閣僚が辞任する異例の事態となっていることに対し安倍総理は…。

安倍総理『こうした結果になり責任を感じております。国民の皆様に深く心からおわびを申し上げたい』

ナレ:立て続けに辞任した菅原氏も河井氏も菅官房長官に近いことで知られています。

Q.長官を慕い支える両名が相次ぎ辞任に
菅義偉官房長官(以下菅長官)『厳しいご批判があることをきちっと受け止める必要があると考える』

ナレ:結局、菅原氏はいまだに十分な説明はせず河井氏も、説明を尽くさぬまま内閣を去りました。

菅長官『政治家は常日頃から自らの行動について説明責任を果たす必要がある。(河井氏)本人が説明することだろうと思われる』

ナレ:自民党内からは…。

自民党関係者『菅さんの勢いが落ちていくのは間違いない』

ベテラン自民党議員『(内閣として)次出たらアウトだ。スリーアウトチェンジだよ。野球で例えたら』

ナレ:野党は…。

福山哲郎幹事長『安倍総理の責任は非常に重たい。本来なら総辞職に値する』

ナレ:辞任劇を受けて本会議や委員会は中止に。憲法審査会も半年ぶりに議論が行われる予定でしたが
開かれず、国会は空転しました。

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【コメンテーターによる解説】
徳永アナ:後藤さん、1週間で2人辞任ですが安倍内閣大丈夫なんでしょうか。

後藤謙次氏(以下後藤氏):政権に与えるダメージとしては菅原氏の辞任とは全然比べ物にならないと思います。といいますのは連続辞任というこの事実なんですね。これはドミノに発展していくと政権そのものが足元がぐらぐらして、やがて倒れてしまうと。かつて竹下内閣ではリクルート問題が起きましたね。このときは昭和から平成にいく最中だったんですが40日間宮澤副総理兼大蔵大臣。それから長谷川法務大臣更に警視庁長官と3人が辞めたんです。そしてその年の4月には竹下総理自身が辞職表明をする。安倍さん自身も第1次選挙のときに1年間で5人の閣僚が辞めたんですね。これが退陣の引き金になってるんですね。連続辞任、ドミノこれが政権の屋台骨を大きく揺るがすという危機的状態になっています。安倍さんはしばしば任命責任とおっしゃるんですが2人目になりますでしょ。任命責任はどういう形でとるんですかと言われますがそれに対する答えを出さなきゃいけないと思いますね。

徳永アナ:憲法審査会も結局開かれることはありませんでした。

後藤氏:今日流会したということは非常に大きくて2020年の安倍総理の自民党総裁としての任期満了。これまでに発議ができるかどうか。これが微妙な状況になってきた。

徳永アナ:辞任で終わりではなくきちんと説明責任を果たしてもらいたいですね。
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【検証部分】

今回検証する発言は以下の部分です。

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徳永アナ:後藤さん、1週間で2人辞任ですが安倍内閣大丈夫なんでしょうか。

後藤謙次氏(以下後藤氏):政権に与えるダメージとしては菅原氏の辞任とは全然比べ物にならないと思います。といいますのは連続辞任というこの事実なんですね。これはドミノに発展していくと政権そのものが、足元がぐらぐらして、やがて倒れてしまうと。かつて竹下内閣ではリクルート問題が起きましたね。このときは昭和から平成にいく最中だったんですが40日間宮澤副総理兼大蔵大臣。それから長谷川法務大臣更に警視庁長官と3人が辞めたんです。そしてその年の4月には竹下総理自身が辞職表明をする。安倍さん自身も第1次選挙のときに1年間で5人の閣僚が辞めたんですね。これが退陣の引き金になってるんですね。連続辞任、ドミノこれが政権の屋台骨を大きく揺るがすという危機的状態になっています。安倍さんはしばしば任命責任とおっしゃるんですが2人目になりますでしょ。任命責任はどういう形でとるんですかと言われますがそれに対する答えを出さなきゃいけないと思いますね。

徳永アナ:憲法審査会も結局開かれることはありませんでした。

後藤氏:今日流会したということは非常に大きくて2020年の安倍総理の自民党総裁としての任期満了。これまでに発議ができるかどうか。これが微妙な状況になってきた。

徳永アナ:辞任で終わりではなくきちんと説明責任を果たしてもらいたいですね。
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この発言から検証する点は以下の点です。

・様々な論点からの解説がなされていたか

まず後藤氏は閣僚が2名が辞任する事態になったことについて、安倍政権の存続そのものが危機的状態である、といった解説をしています。
しかし安倍政権が2012年から続く長期政権であるという重要な論点が解説されていません。例えば国内を安定させる非常に重要な経済という観点です。
経済を政治から立て直そうとデフレ脱却を試み、2012年から続くアベノミクスによって雇用は増え、株価も大きく上がり日本経済が一定程度立ち直ったと見ることはできるでしょう。
そして、経済が回復すれば内政は安定していき、結果として安倍政権は長期政権になっています。
閣僚の辞任そのもので経済が崩れる、という事態にはなりえません。
ここで取り上げた経済と政治の関係は一つの例示に過ぎませんが、新聞やテレビなどでは安倍政権に批判的な報道が見受けられる中、なぜ安倍政権が安定しているのか、という論点からの解説をしたうえで、政権の存続性について述べるべきでしょう。

また閣僚辞任により、流会となった憲法審査会について、安倍総理の任期中に発議ができるか微妙な状況となった、という解説がなされていました。

この憲法審査会についてですが、憲法という国の根幹をなすものについて議論をする場が政治の一道具となっていること、すなわちその時その時の政治的な状況によって開催されている事態であることを考える必要があるでしょう。
護憲派、改憲派、加憲派と様々な意見があることは良いことですが、それを議論しないことで憲法論議が停滞している事態について見る必要も同時にある報道であると思われます。

このような論点を欠いた放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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