2019年11月15日 報道ステーション

2019年11月15日 報道ステーション

11月15日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・韓国を取り巻く国際情勢について様々な論点を取り上げた放送ではなかった可能性がある

放送内容から確認していきます。

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【スタジオ】
小木逸平アナウンサー:日韓の軍事機密情報を共有する協定GSOMIAの失効の期限まで1週間となりました。ただ、ここにきてなんとかこの協定を維持させようとアメリカは韓国に高官ですとか、制服組トップ、国防長官まで送り込んでいるわけなんですね。次々と来ています。アメリカはなぜここまで躍起となるのか。VTR、ご覧ください。

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【VTR】
(15日韓国大統領府の映像)
ナレーション(以下ナレ):文在寅大統領の前にアメリカ軍のトップ3人が並びます。GSOMIAを破棄すべきではないというアメリカの要望を伝えたとみられます。韓国が破棄を決めたのは日本の輸出規制への対抗措置としてでした。ただ、そこには日本の輸出規制を撤回させるためアメリカに仲介に入ってほしいという思惑がありました。そこでアメリカが敏感に反応する安全保障の問題を使って巻き込んだ形なのですがアメリカは、当事者同士で話し合えとの立場を崩しませんでした。

国防総省関係者『もっと別のやり方だってあるのにGSOMIA破棄をその手段に選んだ判断に失望している』

ナレ:それでも、アメリカはこの3か月辛抱強く韓国への説得を続けてきました。特に、今月に入ってからは高官らに続きアメリカ軍制服組トップも相次いで訪韓しました。

布施哲ワシントン支局長:アメリカ側が懸念しているのは中国を見据えた時の長期戦略への影響です。今ワシントンでは中国との覇権争いが今後さらに激しくなると言われていて、経済・安全保障・テクノロジーの分野で激しい競争が今後20年30年続いていくと予想されている。その矢先に韓国が中国側に行ってしまうのではないか。アメリカ側の懸念はこの点にあります。

ナレ:今日、会談した米韓の両国防相は…。

エスパー国防長官(米)『GSOMIAの期限切れと東京とソウルの軋轢から利益を得るのは平壌と北京だけです』

鄭景斗国防相(韓)『破棄までまだ時間が残っている。その間に日本、韓国の両政府が良き方向に協議を進めGSOMIAを維持してほしいというのが私の基本的な考えです。』

ナレ:韓国の国防相からも維持すべきという意見が出ました。GSOMIAの有効性を実感している閣僚など文政権の中にも破棄否定派は少なくありません。そして、行われた文在寅大統領との会談。文大統領はこう発言したそうです。

文在寅大統領『安全保障上の理由で輸出規制措置をとった日本との軍事情報の共有は難しい』

ナレ:日本側が輸出規制を撤回するのが先だという従来の主張を繰り返した形です。再三にわたるアメリカの説得でもかたくなな姿勢は崩しませんでした。一方、日本は次元の違う話だとして撤回には応じない姿勢です。これにより1週間後GSOMIAは破棄される公算が高まりました。
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【検証部分】

今回の日韓関係悪化に伴う、GSOMIAの破棄についてアメリカと韓国は以下のような主張をしていることが分かります。

エスパー国防長官(米)『GSOMIAの期限切れと東京とソウルの軋轢から利益を得るのは平壌と北京だけです』

文在寅大統領『安全保障上の理由で輸出規制措置をとった日本との軍事情報の共有は難しい』

これらの発言から
① アメリカはGSOMIAの破棄をすべきでない
② 韓国は、日本が妥協しなければGSOMIAの破棄は避けられない
とそれぞれの国が主張していることが読み取れます。
しかし、日本と韓国の関係悪化がそもそもの原因であるにも関わらず、関係悪化の要因や日本が妥協しない理由が述べられていません。

そもそも日韓関係の悪化は、韓国側が日韓請求権協定という国同士の約束事を守らないことに非があります。
しかし、今回の放送では日韓請求権協定にも触れられていません。

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日韓請求権協定は,日本から韓国に対して,無償3億ドル,有償2億ドルの経済協力を約束する(第1条)とともに,両締約国及びその国民(法人を含む。)の財産,権利及び利益並びに両締約国及びその国民の間の請求権に関する問題は「完全かつ最終的に解決」されており,いかなる主張もすることはできない(第2条)ことを定めており,これまでの日韓関係の基礎となってきました。

韓国大法院判決が,日本企業に対し,損害賠償の支払等を命じる判決を確定させました。これらの判決は,日韓請求権協定第2条に明らかに反し,日本企業に対し一層不当な不利益を負わせるものであるばかりか,1965年の国交正常化以来築いてきた日韓の友好協力関係の法的基盤を根本から覆すものであって,極めて遺憾であり,断じて受け入れることはできません。

《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html

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この協定の解釈に違いがあって、日韓関係は悪化したのです。

しかし同協定では解釈の違いがあったときは、仲裁委員を指名する義務がある、と定められています。
韓国側はこれにも応じないため、日韓関係は悪化しているのです。

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韓国大法院判決の執行のための原告による日本企業の財産差押手続が進む中,何らの行動もとらなかったことから,5月20日に韓国政府に対し,日韓請求権協定第3条2に基づく仲裁付託を通告し,仲裁の手続を進めてきました。しかしながら,韓国政府が仲裁委員を任命する義務に加えて,締約国に代わって仲裁委員を指名する第三国を選定する義務についても,同協定に規定された期間内に履行せず,日韓請求権協定第3条の手続に従いませんでした。

《引用:大韓民国による日韓請求権協定に基づく仲裁に応じる義務の不履行について(外務大臣談話)》
https://www.mofa.go.jp/mofaj/press/danwa/page4_005119.html
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以上のことから韓国が国際法に違反している可能性は高く、日本としては妥協できない状況にあるのです。
まずは、日韓請求権協定に明記されているように、韓国の日本企業に対する支払い命令について争うのではなく、仲裁委員を指名する義務を果たすところから、日韓関係が改善していく一歩となるはずです。
つまり韓国側が歩み寄る必要性があるのです。

このような論点を明示しない放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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