2019年12月1日 サンデーモーニング(後編)

2019年12月1日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年12月1日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 香港の区議選とアメリカによる香港人権法成立について報道された部分
② 桜を見る会の新たな「疑惑」について報道された部分
③ 入国管理局における長期滞在者問題について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 桜を見る会の新たな「疑惑」について報道された部分における
検証4「松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 入国管理局における長期滞在者問題について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):まあ本当は考えてみると、本当簡単な話のはずなんですよね。菅官房長官も復元できますか?「できないと聞いている。」じゃ復元しなさいよと指示すれば済むことなわけです。いろんなことがそれでわかってくるかもしれない。安倍総理も国会がお決めになったら説明しますと言ってるけども、本来自民党総裁として集中審議に呼んでと、それを説明したいんだと指示すれば終わることなわけですよね。つまり指示できないということ自体が、しゃべってしまうとまたいろんなことが起きてしまうというのが、何かあるんだろうなと思っても仕方がないわけですよね。

要旨をまとめると、
・菅官房長官が「復元しなさい」と指示すれば済む話なのに「できないと聞いている」と言ってやらないこと自体、「しゃべりたくないんじゃないか」「何かあるんじゃないか」と思ってしまう。
・安倍総理も国会が決めたら説明するというのではなく自民党総裁として集中審議に呼んで説明するよう指示すればいい話なのにやらないのは、説明したくないからではないか。

というものです。

しかしながら、
・物理的に復元できないものについて「復元しなさい」と無意味な指示を出さないことは当然のことであり、「しゃべりたくないんじゃないか」などという松原氏の主張は事実に即していない。
・安倍首相がこの問題について積極的に自民党総裁として動かないのは「桜を見る会」の疑惑より重要度の高い仕事に時間を使っているからであり、「説明したくないから」とする松原氏の主張は事実に即しておらず政治的に公平とも言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 入国管理局における長期滞在者問題について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

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【VTR要約】
在留資格を与えられず難民申請も認められない外国人が入館施設で長期間収容されている問題。仮放免中の外国人がそれぞれ帰国できない事情を抱えているとして法務省に対し当事者の意見を聞くよう訴えた。長期収容をめぐっても、収容者による抗議のハンガーストライキが相次ぎ、餓死者も出ている。深刻な人権侵害であるとの声も上がっている。

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【コメンテーターの発言】
安田菜津紀氏(全文):長期収容の方々に対して度々面会に実は伺ってるんですけれど、例えば在留資格がないという方でも、お子さんたちと一緒にずっと生活の基盤がほぼ日本にあったりですとか、先ほどの難民申請者のような方々がいたりですとかいろんな事情があって、そもそも在留資格がないことでもってして、イコール人権を蹂躙していいということにはならないわけですよね。いつまでも閉じ込めておける長期収容っていうのはもう拷問にあたると国連から再三勧告を受けてますし、中には体調不良を訴えたんだけれども放置されて、それが原因で死亡したのではないかというケースが裁判になってるんですね。これはもう、いつかではなくてそのうちでもなくって、今すぐに改善しなければならない状況だというふうに思います。
——-

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):長期収容の方々に対して度々面会に実は伺ってるんですけれど、例えば在留資格がないという方でも、お子さんたちと一緒にずっと生活の基盤がほぼ日本にあったりですとか、先ほどの難民申請者のような方々がいたりですとかいろんな事情があって、そもそも在留資格がないことでもってして、イコール人権を蹂躙していいということにはならないわけですよね。

要旨をまとめると、
・在留資格がなくても生活の基盤が日本にあったり、様々な事情があって日本にいる。
・そもそも在留資格がないからと言って人権を蹂躙していいということにはならない。

というものです。

しかしながら、
・生活の基盤が日本にあることや複雑な事情があることは、日本において難民として認定される根拠にはならない。
・在留資格も難民認定もない不法滞在者を強制送還するまでの間身柄を確保するために入管施設は必要不可欠であり、在留資格がないことを根拠に人権侵害をしているわけではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「帰国できない事情のある不法滞在者の意見を聞くべきだ」「長期収容は人権侵害に他ならない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「いかなる理由があろうと不法滞在は許されるべきではない」「不法滞在者を逃がさないために収容は必要だ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 香港の区議選とアメリカによる香港人権法成立について報道された部分
については前編の報告を、

② 桜を見る会の新たな「疑惑」について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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