12月19日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。
・イージス・アショアに関して様々な論点を取り上げた放送であったか
まずは放送内容から確認します。
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【スタジオ】
徳永有美アナウンサー(徳永アナ):地上配備型の迎撃ミサイルシステムイージス・アショアについて候補地である山口県で今夜、住民説明会が開かれました。もう1つの候補地、秋田では防衛省のずさんな調査に批判が集まり見直す方向で検討に入りましたがここ山口でも住民の反発が広がっています。
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【VTR】
住民『山口は田舎で人少ないから山口の人なんか犠牲になれよって、命は一緒ですよ。もう一度考え直してほしい』
森田治男局長(防衛省)(以下森田局長)『イージス・アショアはどうしても我が国の安全保障の観点から必要なもの』
ナレーション(ナレ):説明会では住民の切実な思いが怒りとなって現れました。政府が地上配備型の迎撃ミサイルシステムイージス・アショアをアメリカから導入すると決めたのは今からちょうど2年前のことでした。防衛省が日本全土を守るための配備の適地としたのは2か所。陸上自衛隊の秋田県・新屋演習場と山口県・むつみ演習場です。しかし、防衛省が新屋についてほかに適地はないとした報告書にデータのミスが発覚。更に地元での説明会で職員が居眠りをするなど問題が続きました。防衛省は、データの不備を受けて再調査を実施。今月には政府が新屋演習場を除いた東北19か所の国有地などから新たな配備先を決めるよう見直す方向で検討に入ったことが分かりました。もう1つの候補地とされた山口県。こちらでも報告書にミスがありました。配備候補地からレーダーを照射する方向にある高台の標高が誤っていたのです。防衛省はむつみ演習場についても再調査を実施し改めて配備の適地だと結論付けました。
山本朋広防衛副大臣『山口県においては配備候補地として基本的な条件を有する。秋田のような再検討を改めて実施する考えはございません』
ナレ:阿武町で白菜やレタスを育てる白松博之さんです。白菜畑の隣、林のすぐ先に演習場があります。
白松博之さん『大切な畑のそばにイージス・アショアが来るということは本当に深刻な状況に今来ているんです』
井澤健太郎記者(以下井澤記者):秋田にある新屋演習場が見直しの方向へと動いていますけれども。
白松博之さん『向こう(秋田は)確かに街の近くだから、人口が多いからということで見直しかもしれませんが、(人が)少なければ何をしても良いというものではないと思っています』
井澤記者:午後7時です。これから阿武町の住民に対する説明会が始まります。用意された席はほぼ満席となり多くの住民の方が集まっています。
宮川均地方調整課長(防衛相)『再調査の結果、イージス・アショアのむつみ演習場に安全に配備運用できることを改めて確認しました』
ナレ:質疑では…。
(以下、字幕書き起こし)
Q.ブースターはどの範囲で落とすことができる。何メートルの範囲。
防衛相担当者『ブースター落下区域の中に落とすことを考えている』
Q.それはメーターで言うと何メートルの範囲。
防衛相担当者『具体的な数値というのはアメリカとの関係もあってお答えできない』
Q.それが分かっていないのですか。
防衛相担当者『どの程度というのは分かっているがそこはアメリカとの関係もあるので…』
住民『秋田ではゼロベースの検討がされながら、むつみの演習地ではなお以前と同じことを押しつけて進めようとするのは、どこから見てもおかしいと思います』
森田局長『演習場内での配置についても住宅地からの距離ができるだけとれる場所に配置をすると考慮してきたところ。“格差”ということは毛頭考えているわけではございません』
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【スタジオ】
富川アナ:イージス・アショアをめぐりましては導入が閣議決定されました2年前から配備の候補地とかかる費用が問題視されていたんですね。候補地につきましては東北の再調査結果を防衛省が早ければ3月にはまとめる方針です。費用に関しましては当初は2基で1600億円といわれていたんですけども今は維持運用費など含めると4000億円を超えるといわれているんですね。それが、このままいくのかどうかということも今後注視していかないといけません。
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以上のようにイージス・アショアに関して終始否定的な論調で放送されていました。
しかし放送法4条では、意見が対立する報道に関しては様々な論点を取り上げて放送することが求められています。
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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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この日の放送で挙げられていたイージス・アショアに関する論点をまとめておきます。
① 人口が少ないため事故起きても影響が少ない
② 多額の費用がかかる
大きくこの2つの論点がとりあげられていました。
しかし論点①については、住民側の感情的な主張です。人が少ないという理由でイージス・アショアの予定地とされたわけではありません。
候補地となった場所はイージス・アショアが最大限効果を発揮するという理由で選定されています。
防衛省の候補地に関する見解を見てみます。
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また、イージスシステムに搭載されるSM-3は広域を防護することができますが、配置位置によっては、我が国全域を防護することが困難となります。そこで、我が国全域を防護する観点から、北と西にバランス良く2基を配置するためには、どのような場所に配置するのが適当か数理的な分析を行いました。
様々な地点に配置した場合の防護範囲を分析した結果、日本海側に配置する必要があることが判明するとともに、更なる分析を重ね、秋田県付近と山口県付近にイージス・アショ
アを配置した場合、最もバランス良く我が国全域を防護することができることが見込まれました。例えば、北側については新潟県付近、秋田県付近、北海道西南部付近に設置した場
合と、西側については九州北部付近、山口県付近、島根県東部付近に設置した場合について、それぞれ組み合わせて防護範囲を調べると、最も広く効果的に防護できるのは、秋田県付近と山口県付近の組み合わせでした。
《引用 イージス・アショア配備候補地に係る質問について(回答)https://www.city.akita.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/016/483/300719kaitou.pdf#search=%27》
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論点②については、イージス・アショア導入で得られる効果を述べずに費用だけを述べているという点で不公正な放送です。
イージス・アショアの導入により、得られるミサイルディフェンスの体制は日本にとって大変重要なものです。
現在日本はイージス艦とパック3でミサイル防衛を行なっていますが、パック3では広域のミサイル防衛はできません。
そしてイージス艦は船員の交代や補給が必要であり、ずっと海にいることはできないません。
そこでイージス・アショアは24時間体制で広域なミサイル防衛体制を築くことができます。
このような効果を説明した上で、費用を問題視するのならば、公正ですが、費用面のみを取り上げるのは不公正です。
視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して監視を続けて参ります。