TBS「サンデーモーニング」、2020年1月12日放送回の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 台湾の選挙における蔡英文総統の圧勝について報道された部分
② イランによる民間機撃墜について報道された部分
③ IR汚職問題の進展について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
③ IR汚職問題の進展について報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。
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【VTR要約】
IR汚職問題をめぐり、日本維新の会下地幹郎衆院議員が贈賄の疑いで逮捕された中国企業の元顧問から現金100万円を受け取っていたことを明らかにした。下地氏は当時、超党派のIR議連で副会長を務めていた。維新の会は下地氏を除名処分としている。こうした中、カジノ事業者の審査などを行う政府のカジノ管理委員会の初会合が開かれた。また、IR誘致を表明している横浜市では、新年会で誘致に積極的な林市長と、強く反対する港運協会の藤木会長が同席。藤木会長はインタビューでIR誘致を厳しく批判した。
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【コメンテーターの発言】
浜田敬子氏(全文):もともとこのカジノを含むIR法って、あっという間に審議が通ってしまったという印象があるんですね。国会の審議も短くて、非常に拙速な議論だったなという印象があるんですが、それにきてここに来てまあ、疑惑がこれだけ出て、しかも横浜などでは大変多くの住民の方が反対しているという事実があるにもかかわらず、もう決まったことだからといってどんどん、もうその管理委員会を開いたり、物事を進めようとする。非常に何か今のその安倍政権という、その一強のものの進め方を象徴しているなということを感じます。その経済成長という大義を振りかざして、なんでこんなにカジノにしがみつかなきゃいけないのかなっていう、非常にそういうことを疑問に感じます。一方で、今週、その厚労省が、カジノ依存症にもあのまあ、保険適応するということを発表してるんです。これって元々、その依存症が増えるのではないかという疑念があったわけですよね。認めてるわけですよ。依存症が浮増えるからじゃあ保険を適用しましょうと。やっぱりねという感想を抱きましたし、限られた医療費をですね、ここに使うのかというような印象を持ちました。
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以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。
1、浜田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
1、浜田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
浜田氏は今回の報道で、以下のように述べています。
浜田氏(抜粋):もともとこのカジノを含むIR法って、あっという間に審議が通ってしまったという印象があるんですね。国会の審議も短くて、非常に拙速な議論だったなという印象があるんですが、それにきてここに来てまあ、疑惑がこれだけ出て、しかも横浜などでは大変多くの住民の方が反対しているという事実があるにもかかわらず、もう決まったことだからといってどんどん、もうその管理委員会を開いたり、物事を進めようとする。非常に何か今のその安倍政権という、その一強のものの進め方を象徴しているなということを感じます。その経済成長という大義を振りかざして、なんでこんなにカジノにしがみつかなきゃいけないのかなっていう、非常にそういうことを疑問に感じます。一方で、今週、その厚労省が、カジノ依存症にもあのまあ、保険適応するということを発表してるんです。これって元々、その依存症が増えるのではないかという疑念があったわけですよね。認めてるわけですよ。依存症が浮増えるからじゃあ保険を適用しましょうと。やっぱりねという感想を抱きましたし、限られた医療費をですね、ここに使うのかというような印象を持ちました。
要旨をまとめると、
・IR法案は審議が拙速だった印象があるが、疑惑がここまで出たり反対があるにもかかわらず進めようとしたりするところに安倍政権一驚のものの進め方が現れている。
・経済成長という大義を振りかざしてカジノにしがみつく必要があるのかが疑問だ。厚労省がカジノ依存症への保険適用を発表したが、これは依存症が増えることを認めたことになる。限られた医療費をここに使うのかという印象を持った。
というものです。
しかしながら、
・IR法案の審議が拙速だという主張は浜田氏の主観的な感想に過ぎない。また、収賄の疑惑や地域の反対の存在はIR施設そのもののメリットを否定するものではない。
・これらを「安倍政権一強のものの進め方」によるものだとする主張は浜田氏の感想に過ぎず、事実に基づいておらず政治的に公平とは言えない。
・カジノを含めたIR実施のために万全を期すことは当然必要なことである。依存症が増えるかどうかではなく増えた場合に備えただけのことであり、これを根拠にギャンブル依存症が増えると断言するのは根拠不十分である。
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「IR事業は疑惑や反対を抱えており中止すべきだ」「安倍政権の強引さが目立つ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。
ですがこの問題に関しては「IR事業はこれからの日本の観光に必要だ」「収賄事件は安倍政権によって起こされたわけではない」といった反対の意見があります。
にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① 台湾の選挙における蔡英文総統の圧勝について報道された部分
については前編の報告を、
② イランによる民間機撃墜について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。