2020年1月19日 サンデーモーニング(中編)

2020年1月19日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年1月19日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① オーストラリアの森林火災について報道された部分
② 相次ぐ国会議員の不祥事について報道された部分
③ 「風を読む」にて世界のリスクについて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 相次ぐ国会議員の不祥事について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
 河井克行前法相が、2か月半ぶりに姿を見せた。河井氏は妻の杏里議員の選挙陣営が選挙スタッフに法廷の上限を超える報酬を支払った公職選挙法違反の疑いがもたれ、大臣を辞任していた。広島地検は河井夫妻の事務所などを家宅捜索したが、夫妻は疑惑について捜査中を理由に何も答えず、離党も議員辞職も否定した。
また、菅原一秀前経産相は地元有権者に贈答品を配った疑いが報じられ、大臣を辞任した。その後公の場に姿を見せないままだったが、地元で活動を再開していた。菅官房長官は説明責任を果たすよう求めていたが、疑惑について語らぬまま2か月が経った。疑惑については国会召集日の明日説明する意向を示しているが、どんな説明になるのだろうか。
 一方、桜井を見る会の正体者名簿をめぐっては、去年11月に国会提出資料を加工した問題や、2011年から2017年にかけての管理簿への未記載問題がある。内閣府は現職を含む歴代の人事課長6人を厳重注意処分にした。

【アナウンサーによるパネル説明】
・上野宏史元厚労政務官は、外国人就労をめぐる口利き疑惑で政務官を辞任(記者会見設定せず)
・石崎徹衆院議員は、障がいと暴行の疑いで書類送検(記者会見設定せず)
・白須賀貴樹衆院議員は、IR汚職事件で事務所を家宅捜索(記者会見設定せず)

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【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):内閣も党も説明責任を果たせと言っているので、果たさなかったら離党勧告すべき。上層部が説明責任を果たすという範を示さなくてはいけない。戦後政治史の中でこんなにも説明しないことはあっただろうか。説明しないで2ヶ月間も雲隠れして国会に出てこないなんて、そんな馬鹿なことは今までなかったと思う。政治の劣化と言われてもしょうがない。

谷口真由美氏:あの、国語的な意味と言うか、意味で、説明と責任の意味分かってないんじゃないかなって思うんです。説明責任っていうと何か別のものになっているんじゃないかっていうくらい、あの、すごく不思議なのは、河井夫妻にしたって、えっと要は、刑事事件になる前は雲隠れしてて、で、刑事事件になったら告発されているので捜査に支障が出たらだめなので、あの説明、今は差し控えますって言うんですけど、捜査の師匠の前に、主権者に支障あるよっていうことは全然わかってないなっていうのが、だから政治が一体何のためにあって誰を向いてやらなきゃいけないかっていうのがご理解できてないんだったら政治家なんかならなきゃいいのにって思います。

荻上チキ氏(要約):政治家が真実を国民に説明したところで捜査に支障は出ない。自分たちが損するから喋りたくないということ。それをあたかも捜査機関に配慮していますっていうポーズをとっている。元の意味を大きく捻じ曲げ建前的な言葉を使って発言機会を減らすということは、内閣がこれまで様々な疑惑のために行ってきた。説明責任という言葉を使ってこれからやるという言葉を信用できない状態になっている。期限と具体的なものを言うということを習慣づけて欲しい。

青木理氏(全文):まあ、要するに与党にこんだけ力与えたらこうなっちゃうってことなんですよね。やっぱりその与党と野党がそれなりに拮抗していれば、こんなことは許されないんですけども、ただ、皆さんおっしゃいましたけど、これ説明しないの僕理解できますよ。2つあって、1つは秀征さんやチキ君もおっしゃいましたけれど、それはだって、政権の主が森友学園、加計学園、桜井を見る会。丁寧に謙虚に説明しますと言って、何一つ説明してない。でも、騒ぎが収まってくると、だんだんだんだん支持率が回復してきて、なかったことになっちゃうっていう成功体験を見ていれば、俺もそういうふうにやっていけばいいよねっていうふうに、それはなりますよね。それからもう1つは、これ、説明できないんですよ。なぜなら説明をちゃんとしたら、何らかの違法行為にどうも引っかかってるから、説明ができないんですね。で、ここでキーになってくるのは、説明をして違法行為になってくるのであれば、本来であれば検察なりが何らかの形できちんと捜査をして解明をして、必要な処分をしなきゃいけないんだけれど、どうも検察も、この何年間かね、まあちょっとこの前にIR疑惑では動きましたけれども、基本的にこれはやるべきじゃないかって案件で動かないっていうようなことが続いていると、要するに検察も動かないんだから、まあだからうまく誤魔化して時間さえあればいずれ皆忘れるでしょっていうことなんです。そういう政治家他にもいっぱいいますよね。つまり2つですよ。政権の主がきちんと説明を自発的に果たすこと。それからもう1つは検察当局のようなところが、あんまり検察がバンバン捜査やる国ってのをあまり良い国だと僕は思わないですけれども、やるべき捜査をきちんとやるっていうこと。この2つがないと、こういうことは続きますよね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):あの、国語的な意味と言うか、意味で、説明と責任の意味分かってないんじゃないかなって思うんです。説明責任っていうと何か別のものになっているんじゃないかっていうくらい、あの、すごく不思議なのは、河井夫妻にしたって、えっと要は、刑事事件になる前は雲隠れしてて、で、刑事事件になったら告発されているので捜査に支障が出たらだめなので、あの説明、今は差し控えますって言うんですけど、捜査の師匠の前に、主権者に支障あるよっていうことは全然わかってないなっていう(以下略)

要旨をまとめると、
・河合夫妻は責任と説明の意味を理解していない。
・刑事事件になる前は雲隠れし、捜査が始まると「捜査に支障が出るので差し控える」と言っているが、捜査の支障の前に主権者に支障があることを理解すべきだ。

というものです。

しかしながら、
・河合夫妻が説明と責任という字義を理解していないのではないかという主張は根拠のない誹謗中傷に過ぎない。
・捜査に支障が出ることはすなわち国民に支障が出ることであり、メディアへの説明を事件の捜査より優先すべきだという主張は事実に即していない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):まあ、要するに与党にこんだけ力与えたらこうなっちゃうってことなんですよね。やっぱりその与党と野党がそれなりに拮抗していれば、こんなことは許されないんですけども、ただ、皆さんおっしゃいましたけど、これ説明しないの僕理解できますよ。2つあって、1つは秀征さんやチキ君もおっしゃいましたけれど、それはだって、政権の主が森友学園、加計学園、桜井を見る会。丁寧に謙虚に説明しますと言って、何一つ説明してない。でも、騒ぎが収まってくると、だんだんだんだん支持率が回復してきて、なかったことになっちゃうっていう成功体験を見ていれば、俺もそういうふうにやっていけばいいよねっていうふうに、それはなりますよね。それからもう1つは、これ、説明できないんですよ。なぜなら説明をちゃんとしたら、何らかの違法行為にどうも引っかかってるから、説明ができないんですね。で、ここでキーになってくるのは、説明をして違法行為になってくるのであれば、本来であれば検察なりが何らかの形できちんと捜査をして解明をして、必要な処分をしなきゃいけないんだけれど、どうも検察も、この何年間かね、まあちょっとこの前にIR疑惑では動きましたけれども、基本的にこれはやるべきじゃないかって案件で動かないっていうようなことが続いていると、要するに検察も動かないんだから、まあだからうまく誤魔化して時間さえあればいずれ皆忘れるでしょっていうことなんです。そういう政治家他にもいっぱいいますよね。つまり2つですよ。政権の主がきちんと説明を自発的に果たすこと。それからもう1つは検察当局のようなところが、あんまり検察がバンバン捜査やる国ってのをあまり良い国だと僕は思わないですけれども、やるべき捜査をきちんとやるっていうこと。この2つがないと、こういうことは続きますよね。

要旨をまとめると、
・与党に力を与え過ぎるからこういうことが起きる。野党が拮抗していればこのようなことは起きない。
・政権は森友加計問題や桜を見る会について何も説明していない。騒ぎが収まると支持率が回復してしまうからだ。
・説明しないのは説明できないからだ。説明すると違法行為に引っかかるからだ。
・本来なら違法行為には検察が動くべきだが、IRを除いてこの何年か動くべき案件で動いていない。

というものです。

しかしながら、
・野党議員においても様々な疑惑が指摘されており、与党に力を与え過ぎるから不正が起きるのだという主張は事実に即していない。
・メディアや野党が特定の事案について騒ぐにもかかわらず支持率が下がらないのは、国民がそれらの事案を問題視・重要視していないからで、与党に原因があるものではない。
・違法性がない問題について特段説明しないことを「違法なことがあるから説明できないに違いない」と憶測をもって断定するのは明らかに根拠に欠けており、また政治的に公平とは言えない。
・検察はこうした問題について家宅捜索などの調査を実施しており、その上で違法性がないとしているため、「動くべき案件で動かない」とする主張は事実に即していない。また「動くべき案件」を独断で決める主張は政治的な公平性を欠く。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍一強政治の驕りが問題として表れている」「こうした問題を野党やメディアは追及していくべきだ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「なんでも安倍政治が悪いという主張では支持されなくて当然だ「メディアや野党はもっと重要な問題に時間を割くべき」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にて世界のリスクについて報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

① オーストラリアの森林火災について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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