2019年9月22日 サンデーモーニング(中編)

2019年9月22日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年9月22日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① サウジアラビア石油施設攻撃について報道された部分
② 福島第一原発の処理水海洋放出について報道された部分
③ 東電旧経営陣の無罪判決について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 福島第一原発の処理水海洋放出について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
福島第一原発事故の処理水をめぐり、IAEAの総会で日韓が批判の応酬を繰り広げた。韓国は、日本が検討しているトリチウムを含む処理水の海洋放出は世界の環境に深刻な影響を及ぼすと強く訴えた。これに対し、日本は風評被害を広げている国があると暗に韓国を批判した。一方、韓国はIAEAによる現地調査などを受け入れるよう日本に求め、日韓ともに主張を譲らなかった。
処理水をめぐっては、原田前環境相が海洋放出に言及し漁業関係者は猛反発。環境大臣に就任した小泉進次郎氏は火消しに追われたが、進次郎氏による「所管外」との発言について、橋本元大阪市長と大阪市松井市長が批判した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・福島第一原発では、処理水が毎日170トン増え続けている
・東京電力は2022年夏頃に敷地内でのタンク保管が限界になると発表している
・汚染土は福島県内で1400㎥発生しており、30年以内に県外の最終処分場持ち出すことになっているが、最終処分場の候補地すら決まっていない

【コメンテーターの発言】
藪中三十二氏(全文):まさになかなか、ポエムとか、いろいろ話ありましたですけれども、改めて原発ってものの安全性。安全神話っていうのは我々ずっと言われてきたのが崩れてると。全くこれ、処理ができなくなっているというこの処理水の問題ですね。大きな問題だと思いますので、国際的に先ほど韓国とのやり取りがありましたけれども、日本もきちんと科学的に説明ができるのかどうか。これをやらなきゃいけないと思いますですね。それから小泉氏、環境大臣には、これの問題。それからさらには大きな意味での、後話があると思いますけれども、環境問題。日本はどうやってやっていくのかと。これもきっちりとやっていただきたいと思いますですね。

寺島実郎氏(全文):日本人からするとなんか韓国が嫌味やってくるみたいに捉えがちだけれども、責任があるんですよ日本には。2020年のオリンピックを含めてね、これをきちっと制御してるっていうかですね。そのためにはね、韓国との問題じゃなくて国際的に納得のいく仕組みをつくって透明性高く説明する責任があるんですよ。そうであるならばね、IAEAを舞台にそういうことを韓国が言ってんであれば、IAEAで共同のですね、検証のタスクフォースでも作って、韓国をも招き込んでですね、こういう形で今努力して制御してるんだけどね、じゃあどうしていきましょうかっていうことを一緒になって考えていくぐらいの広い視野でもって巻き込んでいかないとですね、国際社会の中で日本に対する眼差しはものすごい厳しいですよ今。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、薮中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、薮中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
薮中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

薮中氏(抜粋):改めて原発ってものの安全性。安全神話っていうのは我々ずっと言われてきたのが崩れてると。全くこれ、処理ができなくなっているというこの処理水の問題ですね。大きな問題だと思いますので、国際的に先ほど韓国とのやり取りがありましたけれども、日本もきちんと科学的に説明ができるのかどうか。これをやらなきゃいけないと思いますですね。

要旨をまとめると、
・原発の安全神話が崩れ、処理水も処理ができなくなってしまっているのは大きな問題だ。
・韓国から疑念が出るなど、日本が科学的に説明できるかどうかが重要だ。

というものです。

しかしながら、
・原発の安全神話が崩れたことと処理水の問題は全く別の問題である。汚染水の処理は継続して行われており、科学的な安全性も担保されているため、処理水に問題があるとする指摘は事実に反している。
・日本政府は原発の処理水について科学的な説明を実施しており、IAEAの報告書でも日本の取組が肯定的に評価されている。したがって、国際社会へ科学的な説明をしていないという主張は誤りである。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での薮中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):日本人からするとなんか韓国が嫌味やってくるみたいに捉えがちだけれども、責任があるんですよ日本には。2020年のオリンピックを含めてね、これをきちっと制御してるっていうかですね。そのためにはね、韓国との問題じゃなくて国際的に納得のいく仕組みをつくって透明性高く説明する責任があるんですよ。そうであるならばね、IAEAを舞台にそういうことを韓国が言ってんであれば、IAEAで共同のですね、検証のタスクフォースでも作って、韓国をも招き込んでですね、こういう形で今努力して制御してるんだけどね、じゃあどうしていきましょうかっていうことを一緒になって考えていくぐらいの広い視野でもって巻き込んでいかないとですね、国際社会の中で日本に対する眼差しはものすごい厳しいですよ今。

要旨をまとめると、
・日本人からすると韓国が嫌味を言っているように映るかもしれないが、2020年のオリンピックを含め日本には原発問題を制御する責任がある。そのため国際問題として透明性を高めて説明する責任がある。
・IAEAを舞台に韓国がそういうことを言うのであれば検証のタスクフォースでも作って一緒にやっていくくらいの広い視野が必要だ。国際社会のなかで日本に対する視線は非常に厳しい。

というものです。

しかしながら、
・日本の経済産業省は在京外交団への説明会を既に103回実施しており、またそのなかには韓国も含まれている。したがって、日本が説明責任を果たしていない、韓国の主張が嫌がらせではないという主張は事実に即していない。
・IAEAによる報告書では日本の原発に対する取り組みが肯定的に評価されている。したがって、日本に対する視線が非常に厳しいとする寺島氏の発言は明らかに事実に反している。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「韓国が日本の原発政策に持つ懸念は正しい」「日本は国際社会に対して説明責任を果たしていない」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「韓国による輸出管理上の措置や徴用工問題への対抗だ」「日本はIAEAや国際社会に十二分に科学的な説明を実施している」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 東電旧経営陣の無罪判決について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

① サウジアラビア石油施設攻撃について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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