2020年2月9日 サンデーモーニング(後編)

2020年2月9日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年2月9日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルスの感染拡大について報道された部分
② 検事総長の定年延長について報道された部分
③ 桜を見る会の問題紛糾について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 桜を見る会の問題紛糾について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
桜を見る会の前日安倍総理の後援会が主催した前夜祭の経費が、政治資金収支報告書に記載されていなかった問題。この日の国会で、野党側は記載しないのは違法ではないかと追及しましたが、安倍総理はホテル側との契約は事務所ではなく参加者個人であり記載する必要はないと主張しています。立憲民主党の辻元清美議員は、安倍総理と同様に、参加者が個別にホテル側と契約を結ぶ形式を取れば収支報告書に記載をする必要はないかと質問しました。安倍総理は、同じ形式であれば問題はないとの認識を示しました。続けて辻元議員は、800人も参加するパーティーでそうした形式を取るのは異常であると追及をしました。更に7日の国会では、桜を見る会の推薦者名簿の保存期間を決めた根拠について野党が問いました。これについて政府の公文書管理を担当する北村大臣が答弁をしました。明確に応えることが出来ず、審議は度々中断。結局、委員会は散会となり、質疑は翌日の10日に持ち越されました。

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【コメンテーターの発言】
寺島実郎氏(全文):これ今先程のね、検事の話と同じ文脈でですね、この自民党が政権を失っていた時代への反動でね、権力を握ればなんでも出来ると。政治は権力だっていうですね、考え方がですね、この政権の中にあるんだなっていうことを感ずるんですね。なんでも出来ると。だけど、民主主義の本質はですね、自制でありね、政治で飯食ってる人たちの謙虚さなんですよ。でそのことをね見失ってったら、日本っていう国のですね在り方が変わっていくと。本当に危機感を覚えますね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):これ今先程のね、検事の話と同じ文脈でですね、この自民党が政権を失っていた時代への反動でね、権力を握ればなんでも出来ると。政治は権力だっていうですね、考え方がですね、この政権の中にあるんだなっていうことを感ずるんですね。なんでも出来ると。だけど、民主主義の本質はですね、自制でありね、政治で飯食ってる人たちの謙虚さなんですよ。でそのことをね見失ってったら、日本っていう国のですね在り方が変わっていくと。本当に危機感を覚えますね。

要旨をまとめると、
・自民党が権力を失っていた時代の反動で、安倍政権は権力を握れば何でもしていいと考えている。
・民主主義の本質は政治家の自制なので、これを見失ったら日本の在り方が変わってしまう。

というものです。

しかしながら、
・安倍政権が「権力を握れば何をしてもいい」と考えているという主張には一切根拠がなく、こうした主張は安倍政権を誹謗中傷するもので政治的に公平とは言えない。
・民主主義の本質が政治家の自制にあるという主張は寺島氏の個人的な見解に過ぎず、客観的根拠に欠け事実に即しているとは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「桜を見る会の疑惑は政権の横暴を正すために徹底追及すべき」「安倍首相は責任をもって疑惑を晴らすべき」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「新型コロナウイルスへの対応など重要な問題が山積しており国会を空転させるべきではない」「安倍首相はより重大な問題に注力すべき」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 新型コロナウイルスの感染拡大について報道された部分
については前編の報告を、

② 検事総長の定年延長について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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