2019年3月31日 サンデーモーニング(前編)

2019年3月31日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2019年3月31日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 日韓関係の悪化について報道された部分
② 世田谷年金事務所所長の更迭について報道された部分
③ 「風を読む」にてトランプ大統領とイスラエルの関係について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 日韓関係の悪化について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
①韓国による海洋調査
海洋調査に使われる海上ドローン映像が映し出され、韓国が竹島周辺の海域で海洋調査を行う事業計画を発表したと伝えられる。菅官房長官の会見映像に切り替わり「到底受け入れられない」と抗議したが、韓国外務省金報道官が会見の中で「日本政府が問題提起をしたが、一蹴した」と反論する映像が流される。

②徴用工問題
デモ映像とともに、三菱重工業に対する資産差し押さえを決定したと伝えられる。不二越をめぐる訴訟では、確定判決前にもかかわらず仮押さえを発表し、日本政府は企業に実害が出れば対抗措置をとる構えだとアナウンス。

③韓国国会議長の発言
菅官房長官の会見映像に切り替わり「韓国国会議長の一連の甚だしく不適切」と非難する映像が流される。文国会議長に対するインタビュー記事(韓国・ハンギョレ新聞)を引用し、文国会議長の発言が物議を醸していると伝えられる。

④外国企業経営者らとの懇談会
韓国大統領府で開催された外国企業経営者らとの懇談会の映像に切り替わる。出席した日系企業代表は、現在の日韓関係に懸念を表明し関係改善を求めたとアナウンス。これに対し文大統領は「経済的な交流は政治と分けて見るべき」と述べるにとどめ、具体的な対応策は示さなかったと伝えられる。
「日韓の関係回復の糸口は未だ見えてきません」という言葉を最後にVTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・李洛淵首相は「(日韓首脳会談について)今年前半に開かれると期待している。水面下で対話が行われている」と発言
・また李洛淵首相は、「(大阪G20や新天皇即位に関するさまざまな行事の前に)関係改善を向けた努力をしなければならない」とも述べている
・日本に強硬な韓国の背景には、文大統領の支持率の低下があるという見方もある

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【コメンテーターの発言】
姜尚中氏(全文):国会議長の頓珍漢な発言もあったり。いろいろこうちょっと、ズレが出てると思うんですけど、基本的には李洛淵という人が、東亜日報の東京駐在員であったということで、彼は一番よく日本のことを知ってると言われてるんですね。で、文さんはあまり日本のことを知らないんですよ。で、僕も大統領になる前に一回あったことがありますけど、ほとんど日本のことを知らない。彼は人権派の弁護士だったので、非常にこう、国内派的な人なんですね。だから対日関係を今、首相が統括して、大統領官邸にやっぱり日本の世論の熱があまり伝わってないんじゃないかな。だから彼はツートラックで政治と経済を分離しますよと言っても、実質的にはちょっとこう破綻してる状態なんで。だから僕なんかが思うのは、功罪はあるんですけれども、特使を派遣するという。かつてであればそういうことを日韓癒着と言われてたんですけども、やってたんですね。だからそれぞれの国で受け入れやすい、しかし政権から距離を置く人。例えば日本側でいうと河野洋平さんとか、韓国で言うと潘基文(パン・ギムン)さんとか。彼は、かなり文政権とは距離を置いてますし。そういう特殊外交を通じて水面下でいろいろやっていくということは昔あったんですね。で、今は日韓大体、860~900億ドル近くの貿易。日本は大体まあ、5兆5000億ぐらいの輸出額を誇ってるんですけど、まあ往来が約1000万。ですから、こんなことやってて両方とも良いわけないんだよね。やっぱりそういう特殊外交をちょっとやってもらいたいですね。

田中優子氏(全文):こういうときってあの、恨みとか憎しみとか差別とか、政治が利用したり一部のマスコミが利用したりして煽るってことが出てくると思うんですよ。そうするとあの、国民としてどうしたらいいのか。双方の国民がなんですが、もうそこに巻き込まれないもっと高いところにいるべきなんじゃないかと思うんですね。それでこの徴用工の問題なども含めて、結局戦争・植民地化・ファシズム。こういうものが何をもたらすのかってことを、私達はこの機会にちゃんと学ぶということと、二度と起こさないようにするということと、国民としてはちゃんとそのことを知っていくっていうことが、一番大事なんじゃないかと思いますね。

浜田敬子氏(要約):政治の影響が若い人達にも出てきている。一方で、カルチャー・ファッションはものすごく日韓は良いムードにある。それをメディアはなかなか報じない。こういうときだからこそ、良いモノは伝えるということを続けてほしい。文大統領の支持率は日本に対する強硬策を取っても下がり続けているので、韓国国民に強硬策はあまり受け入れられていないのではないか。

竹下降一郎(要約):日本のことを知っている韓国の政治家が上手く育っていない印象がある。次の世代にふさわしい、過去を踏まえた新しい議論が必要だと思う。

青木理氏(全文):皆さんから、政治とメディアの問題が出て。僕は韓国にかなり長く駐在したので、両方にちょっと苦言を呈したいんですけどもね。VTRに出てきた竹島の問題ってのが結構象徴的なんです。韓国では独島っていうんですけど、これ日本では領土問題なんですけれども、韓国では歴史問題なんですね。つまり、この竹島の領有が韓国の併合につながったっていう意味で、ものすごく歴史的な問題。ただ一方で、実効支配してるのは韓国なんで、金大中さんぐらいまでは、この件に騒いでも日韓関係に良い影響がないからもう止めようよって騒がなかったんです。ところが、その後韓国が方針転換っていうか、日本の側にもいろいろ問題があったけれども、これは騒ぐようになっちゃって、結果的に今これ、解決しない問題ですから。領土問題っていうものは。っていうように今なっちゃったんですね。で、つまりそのこれ、日本も問題があって、歴史修正主義的な発言があったりとか、実際にそういう政治の動きもある。一方で韓国側も、民族とかナショナリズムとか、ある種こう、正義ってのは純化しやすい面があるので、日本が決めようとしたじゃないかっていう思いをみんな共有したところで燃え上がりやすいんですね。それを政治やメディアが煽っちゃっていて、いま竹下さんがおっしゃったように、それをね、その金大中さん以降、日本のことを知らない韓国の政治家のたちが日本に対して非常にその、なんていうのかな。高飛車にものを言う。日本の側も、韓国のことを知らないものだから、また歴史修正主義的なことを言って。結局バージョンアップできなくて今に至ってるんですね。しかし、経済の話を姜さん、されましたけど、これ、この後話出ると思うんですけども、米朝の問題とか北朝鮮に対峙する問題とかってことで、日韓が対立してて良いことが一つもないんですよ。特使でも良いし、それからあるいは今年前半はとにかく水面下で対話するっていうことで、日韓首脳会談をするなり、とにかく、この今の政治、日韓の状況ってのを、文在寅も、どうも放置しておいても構わないんじゃないかって風潮があるんですけれども、しかし本当これはお互い政治的立場は全然違うんだけど、安倍さんと文さんはそこを乗り越えて、とにかく一回会談してもらいたなと僕は思いますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
4、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜尚中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜尚中氏(抜粋):だから僕なんかが思うのは、功罪はあるんですけれども、特使を派遣するという。かつてであればそういうことを日韓癒着と言われてたんですけども、やってたんですね。だからそれぞれの国で受け入れやすい、しかし政権から距離を置く人。例えば日本側でいうと河野洋平さんとか、韓国で言うと潘基文(パン・ギムン)さんとか。彼は、かなり文政権とは距離を置いてますし。そういう特殊外交を通じて水面下でいろいろやっていくということは昔あったんですね。

要旨をまとめると、
・関係悪化を避けるため、日韓双方は水面下で特使を派遣すべきだ
・特使は相手の国が受け入れやすく、かつ自国の政権から距離のある人間がふさわしい
・日本では河野洋平氏が、韓国では潘基文氏が適切だろう
というものです。

しかしながら、
・相手国寄りの立場を取り、かつ政府のコントロールの効かない人間を国の代表として送るというのは国の外交を相手国寄りの一個人に委託することであり、決してあってはならないことである。
・河野洋平氏は証拠なしに従軍慰安婦強制連行を全面的に認める「河野談話」を出した人物で、強制連行の信憑性が疑われる現在においてもその立場を崩していないなど韓国外交の場に出せる人物ではない。
・潘基文氏が日本で受け入れやすい人物だという主張には根拠がない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での姜尚中氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):こういうときってあの、恨みとか憎しみとか差別とか、政治が利用したり一部のマスコミが利用したりして煽るってことが出てくると思うんですよ。そうするとあの、国民としてどうしたらいいのか。双方の国民がなんですが、もうそこに巻き込まれないもっと高いところにいるべきなんじゃないかと思うんですね。それでこの徴用工の問題なども含めて、結局戦争・植民地化・ファシズム。こういうものが何をもたらすのかってことを、私達はこの機会にちゃんと学ぶということと、二度と起こさないようにするということと、国民としてはちゃんとそのことを知っていくっていうことが、一番大事なんじゃないかと思いますね。

要旨をまとめると、
・外交が不調な局面では、恨みや憎しみ、差別を政府やマスコミが利用する
・双方の国民はこうした扇動に巻き込まれてはいけない
・徴用工の問題を含め、戦争や植民地化、ファシズムが何をもたらすかを学び、二度と起こさないようにすることが大切だ
というものです。

しかしながら、
・韓国政府や日韓マスコミは別として、少なくとも日本政府は韓国に対する敵対感情を煽るような行為はしていない
・現在問題となっている徴用工訴訟の原告4名は徴用ではなく国の募集に自主的に応じた人々で、強制徴用といったものではない
・したがって、この問題と太平洋戦争やファシズム的政治体制とを結び付けて語ることは視聴者に誤った認識を与える恐れのある内容と言わざるを得ない
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):韓国では独島っていうんですけど、これ日本では領土問題なんですけれども、韓国では歴史問題なんですね。つまり、この竹島の領有が韓国の併合につながったっていう意味で、ものすごく歴史的な問題。ただ一方で、実効支配してるのは韓国なんで、金大中さんぐらいまでは、この件に騒いでも日韓関係に良い影響がないからもう止めようよって騒がなかったんです。ところが、その後韓国が方針転換っていうか、日本の側にもいろいろ問題があったけれども、これは騒ぐようになっちゃって、(中略)つまりそのこれ、日本も問題があって、歴史修正主義的な発言があったりとか、実際にそういう政治の動きもある。一方で韓国側も、民族とかナショナリズムとか、ある種こう、正義ってのは純化しやすい面があるので、日本が決めようとしたじゃないかっていう思いをみんな共有したところで燃え上がりやすいんですね。それを政治やメディアが煽っちゃっていて、いま竹下さんがおっしゃったように、それをね、その金大中さん以降、日本のことを知らない韓国の政治家のたちが日本に対して非常にその、なんていうのかな。高飛車にものを言う。日本の側も、韓国のことを知らないものだから、また歴史修正主義的なことを言って。結局バージョンアップできなくて今に至ってるんですね。

要旨をまとめると、
・竹島問題は韓国併合につながったため、韓国では歴史的な問題として扱われている
・実効支配しているのは韓国のため竹島問題は金大中の時代までは騒がれていなかったが、日本の側に問題があったために騒ぐようになってしまった
・日本は歴史修正主義、韓国は正義の純化が背景にあり、それを政治やメディアがあおった結果問題がこじれた
というものです。

しかしながら、
・日本の竹島領有権主張が韓国併合につながったというのは韓国側の主張であり、歴史的な根拠はまったく存在しない。日本は17世紀半ばには竹島の領有権を確立しており、1905年の島根県編入やサンフランシスコ平和条約の際米国が韓国側の要求拒否に見られるように歴史的にも国際法上も日本固有の領土である。
・日本政府は韓国による竹島の不法占拠が起きた1953年以降一貫して抗議を続けており、日本が日韓関係を考慮して騒がなかったという主張は事実に基づかないものである。
・日本が歴史修正主義に走ったとする主張は日本の歴史認識を事実に基づくものに改めようとする動きに対する根拠のない誹謗中傷であり、政治的に公平であるとは言い難い
など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平性を欠き、また事実にそぐわないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

4、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本は韓国との歴史問題に向き合うべきだ」「韓国側も日本に強硬策を取らざるを得ない側面があるのだろう」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「いわれのない要求には毅然として対処すべきだ」「韓国側が日本に対し問題となる行動をしていることに変わりはない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 世田谷年金事務所所長の更迭について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
③ 「風を読む」にてトランプ大統領とイスラエルの関係について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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