2020年2月16日 サンデーモーニング(後編)

2020年2月16日 サンデーモーニング(後編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年2月16日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて感染症から見えた中国について報道された部分
② 安倍首相の野次による国会紛糾について報道された部分
③ 検事長の定年延長について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 検事長の定年延長について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
検察庁事実上のナンバー2、黒川東京高検検事長の異例の定年延長を政府が決めた問題。政府は、特例での延長を認めた、国家公務員法の規定を適用したと説明しています。しかし、従来この規定は、検察官には適用されないと解釈されてきました。ところが安倍総理はこの日、検察官も一般職の国家公務員であるため、検察官の勤務延長については国家公務員法の規定が適用されると解釈することとした。と述べました。従来の政府見解の存在を認めた上で、安倍内閣として、法解釈を変更したことを明言したことになります。政府見解が、時の内閣の解釈で変更されることに批判の声も高まっています。

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【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):あのこれ、こんなことを、検察トップ人事に政権が直接手を突っ込んだなんていうのはこれ初めてのことで、これはこの番組で松原さんなんかも指摘されてましたけど、今回の問題点はどうも見ていると政府は、その検察庁法があって、国家公務員法をその当てはめるとまずいってことをどうも把握されてなかったんじゃないか。国会質問で出てきたもんだからあっ、やばいと言って、あとでどうも法解釈を変更してる節があるんですね。そうなってくるともう非常にお粗末ですし、それからこれ今後、検察の中立性というのが求められるんですけれども、秋元被告が保釈されましたけど、IR汚職ってもうちょっと広がりがあるんじゃないかって言われているんですね。それから河井前法務大臣夫妻の問題、公選法違反の問題、それから菅原一秀前経産大臣のそのまあいわゆるこう選挙民にいろいろと贈り物をしてたんじゃないかという問題。その他その他、これ検察が今後、政権や政治に対してどういう捜査をしていくかというあたり注視しなくちゃいけないし、あえて申し上げればその現場の検察官の皆さんね、そのこれで政権に屈伏したなんて思われないように、ぜひそのやるべき捜査をきちんとやってほしいなというふうには思いますよね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):あのこれ、こんなことを、検察トップ人事に政権が直接手を突っ込んだなんていうのはこれ初めてのことで、これはこの番組で松原さんなんかも指摘されてましたけど、今回の問題点はどうも見ていると政府は、その検察庁法があって、国家公務員法をその当てはめるとまずいってことをどうも把握されてなかったんじゃないか。国会質問で出てきたもんだからあっ、やばいと言って、あとでどうも法解釈を変更してる節があるんですね。そうなってくるともう非常にお粗末ですし、それからこれ今後、検察の中立性というのが求められるんですけれども、秋元被告が保釈されましたけど、IR汚職ってもうちょっと広がりがあるんじゃないかって言われているんですね。それから河井前法務大臣夫妻の問題、公選法違反の問題、それから菅原一秀前経産大臣のそのまあいわゆるこう選挙民にいろいろと贈り物をしてたんじゃないかという問題。その他その他、これ検察が今後、政権や政治に対してどういう捜査をしていくかというあたり注視しなくちゃいけないし、あえて申し上げればその現場の検察官の皆さんね、そのこれで政権に屈伏したなんて思われないように、ぜひそのやるべき捜査をきちんとやってほしいなというふうには思いますよね。

要旨をまとめると、
・検察トップの人事に政権が手を出すのは前代未聞だが、政府は検察庁法を無視して国家公務員法を当てはめるとマズいということを把握していなかった可能性がある。慌てて法解釈を変更したのであれば非常にお粗末だ。
・検察の中立性に問題がある。IR汚職や河井前法務大臣夫妻の問題など検察が政権や政治に切り込む場面に今後注目すべきだし、現場の検察官はこれで政権に屈服したと思わないでほしい。

というものです。

しかしながら、
・検事総長の定年については検察庁法で規定があるが、定年延長に関する特段の規定はない。一方、一般法の国家公務員法では「退職で公務運営に著しい支障が生ずる場合、1年未満の範囲で勤務を延長することができる」ため、定年延長が違法だという主張は事実に即していない。
・黒川検事長の定年延長は検察庁の業務上の必要性から法務省によって閣議の議題に上り決定されたものであり、安倍政権側の意向であるかのように扱う主張は明らかに事実に即していない。
・「現場の検察官は~」など検察が政権に屈服したかのように扱う主張は明らかに事実に反しており、政治的に公平とも言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での青木氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「検事長の定年延長は法律違反だ」「政府見解が時の政権によって変えられるのは問題だ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「黒川検事長の定年延長は合法的な手続きのもと行われており何ら問題はない」「政府見解を政府が変えることに特に問題はない」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 「風を読む」にて感染症から見えた中国について報道された部分
については前編の報告を、

② 安倍首相の野次による国会紛糾について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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