2018年11月4日 サンデーモーニング(後編)

2018年11月4日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2018年11月4日放送回の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 韓国の徴用工訴訟について報道された部分
② 「風を読む」にて、ブラジルの新首相について報道された部分

以上2点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを2つに分け、前後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
②「風を読む」にて、ブラジルの新首相について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容を見ていきましょう。

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【スタジオ】
橋谷能理子アナ:アメリカの中間選挙を目前に控え、ある国でもトランプ現象が吹き荒れました。

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【VTR】
・28日に決選投票を行われた大統領選で極右の元軍人ジャイル・ボルソナロ氏が当選
・近年、ブラジルではルラ元大統領による収賄罪などの汚職が社会を揺るがしている
・ボルソナロ氏は、政権の汚職や貧困層へのバラマキをやめさせると主張し、現状に不満をもつ中間層や富裕層の支持を集めた
・ドイツでは、与党が大敗したことでメルケル首相が2021年に首相の退任を発表する一方で難民の受け入れに反対する右派政党が躍進
・フィリピンではドゥテルテ大統領が物議をかもす発言を繰り返しているが、支持率は75%と高い支持を得ている
・難民や移民に寛容な国と知られるスウェーデンでも極右政党が躍進
・オランダ、オーストリアでも反EU、移民排斥を掲げる政党が台頭
・千葉大学の水島教授は、移民や外国人が多数入ってきたことで経済的・社会的不安を多くの人が抱いており、排外的な極右的な指導者を英雄化してしまうと述べた
・フランクパヴロフ氏の寓話「茶色の朝」は、2002年に極右政党「国民戦線」が躍進したフランスで、ベストセラーになった
・東京大の高橋教授は、異質な他者を尊重する姿勢を維持できるかどうかが、今問われていると述べた
・過激で差別的な発言を繰り返すリーダーに多くの人が心惹かれる社会に潜む危険性を常に意識していく必要がある(ナレーター)

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【スタジオ】
関口氏:今、なぜ世界でね、こういう空気が蔓延しているのかって、僕はそこを知りたいんですがね。なんだろ。グローバリゼーションの中で、格差とか差別とかってのが出てきて、なんか経済的なことからもこういうことが起こって来るんだろうか。

橋谷アナ:ただトランプがあれかもしれませんね。箱を開けちゃった感じがしますよね。

関口氏:それもあるのかな。みなさんはどうお考えになりますか。秀征さん。

田中秀征氏:メルケルが撤退するってのは、いよいよショックな出来事で、ちょっと根底には移民問題がありますよね。ですからあの、トランプ現象もそうだと思うんですね。結局その、外国人の受け入れの問題で、今、非常に現実に日本の問題になってきていて、もし100万代の外国人居住を展望するような状態であるとしたら、よほどの心構えが必要ですよね。どうしてもそこに、差別問題、社会的・文化的な摩擦が必ず起きますよ。で、経済だけからみてると、そういう面が横に置かれていくんじゃないかっていう不安を僕はもってるんで。有史以来ですから。日本の場合は。有史以来。歴史が始まって以来ですよ。こんな大量にね、外国の人を受け入れるっていう社会を作っていくっていうのは。そういう、慣れていない。ドイツなんかはいろんな形でそういうことを経験してる国ですからね。ですから、それでもなおかつ他の国で落ちてるっていうことは、そうとう心構えをしっかりして、対応策ってものを考えて、我々一人ひとりがね、そういう準備で、拙速はいけないということを言っておきたいですね。

関口氏:真音さんはどうお考えですか。世界的な傾向でしょ。

幸田真音氏:共通のことっていうのを見てみると、既成政党の否定っていうか、既成政党。これまでの政党のこれまで政権に対する不満っていうかね。それはおそらく格差であったり、だと思うんですけども。それの不満が反転するっていうか。今回のブラジルのボルソナロさんも、汚職撲滅だって出てこられましたよね。で、感じるのが、言葉の力っていうか、言葉の悪用っていうかね。考えてみたらね、このボルソナロさんはね、固定相場に変えるとかね、軍政をむしろ肯定したりとか。で、そのくせ資本主義とか経済活性化って、全然一貫してないんですよ。そういう意味でも、トランプさんと同じで、自分の好き嫌いだけで白黒はっきりつけて、相手をダメみたいな。ものすごくやり方が似てて。でも、とにかく既成政党に対する不満みたいなのが、とにかく転覆すればいいってことで、結局ポピュリズムに走るっていう。考え方がすごく短くなってて、深く考えないっていう時代になってる。だからね、逆に怖いなと。我々自身がしっかりしなきゃいけないと思いますよね。

関口氏:あの、分かりやすい言葉で判断すると、後々とんでもないことになるってことがね、たくさんあるんで、よく考えてかなきゃいけないと思うんですが、藪中さんいかがでしょう。

藪中三十二氏:その通りですね。過激でね、非常にまあ排他的なああいうトランプさん。それがまあ、蔓延してきて、だから今までそれに対抗してたのが唯一メルケルさんだったんですね。やっぱり知性でもってもですね、注文してたと。理性でもって注文してたと。で、これは大嫌いだったんですね。大統領トランプさんこれが結局引退にまで追い込まれていくと。で、今トランプ現象っていうのは、非常に大きな問題ってのは、世界の七十数年続いてきた第二次世界大戦後のシステム。平和と繁栄と。これがですね、もう本当に音を立てて崩れ始めるっていうこと。そういう心配がありますね。

関口氏:その原因の一つは何なんでしょうね。

藪中氏:やはりですね、排他的とかいうことを言いましたけれども、貧富の格差、グローバリゼーションってのがあるんだと思いますけれどもね、それがもう一気に自由貿易反対という格好にですね。飛んでしまってるんですね。それが非常に怖いところですね。

関口氏:それがゆくゆくは、いい結果を生みませんよね。

藪中氏:そうなんです。

関口氏:今はなんかそれでどうにかなるように思うけど。

藪中氏:まさにそうなんです。

田中氏:やっぱり階層化していくって流れがありますよね。それに対してものすごい反発がありますよね。

関口氏:菜津紀さんどう見てますか。

安田菜津紀氏:あの、ブラジルで新しく大統領に選ばれたボルソナロさんという方。これまでの発言を見ていくと、例えば、性的少数者の方々。LGBTの方々、性的な少数者の方々に対する差別発言であったりですとか、あるいは女性は出産するから、待遇に差をつけて然るべきだという姿勢をとったりですとか。これまで発言があったんですけれど、これって、今年日本の中で起きてきたことに他ならないと思うんですよね。で、こうして例えば何かの不満を解消するために、人の尊厳が傷ついていくっていうことを黙認するのかっていう問いって、やはりブラジルであったりフィリピンであったり、あるいはヨーロッパ諸国だけではなくて、日本に暮らしている私達にも向けられたものだっていうことを忘れたくないなというふうに思います。

(CM)

関口氏:世界に広がるトランプ現象というのを話し合ってますが。

松原耕二氏:なぜこれだけネガティブな言葉が人を躍らす時代になったんだろうかと考えたときに、いつも思い出す言葉があるんですが、2年前にトランプさんの大統領選を取材したときに、ラストベルトの熱狂的な支持者がこう言ったんですね。トランプさんが大統領になったら雇用が戻ると思いますか。戻ると思わない。しかしこれまでのワシントンを振り返ってもくれなかったと。ただ、トランプさんは私達を振り返ってくれて、今の社会を否定してくれたと。その一点だけで私は支持すると。このすごく絶望の深さを感じたんですね。だから、なんていうか先ほど真音さんがおっしゃったように、既成政党とか既成の社会に対する不満ってのがものすごい根っこにあって。だから激しい言葉をすればするほど、今の社会を否定してくれてるんだというふうに、代弁者だと思ってしまうんではないかと思うんですね。だからまあ、民主主義を守るために、やっぱりこう忘れられた人々に光をちゃんとあてる政治をすること。で、ポピュリストたちが入り込む余地みたいなものを、社会からどうやって排除していくかと。そういう努力を私たちはしていくということがものすごく大事なような気がしますね。

関口氏:そうですね。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、薮中氏の発言に氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、 薮中氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
薮中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

薮中氏(抜粋):非常にまあ排他的なああいうトランプさん。それがまあ、蔓延してきて、だから今までそれに対抗してたのが唯一メルケルさんだったんですね。やっぱり知性でもってもですね、注文してたと。理性でもって注文してたと。で、これは大嫌いだったんですね。大統領トランプさんこれが結局引退にまで追い込まれていくと。

要旨をまとめると、
・排他的なトランプ大統領に唯一対抗していたのがメルケル首相だった
・トランプ大統領はそんなメルケル首相が大嫌いで、引退まで追い込んだ
というものです。

しかし、トランプ大統領と異なる姿勢を示したり、避難したのはメルケル首相だけではありません。さらに、当たり前のことですがトランプ大統領がメルケル首相を引退に追い込んだなどという主張に根拠は一切ありません。根拠のない憶測、妄想だと言われても仕方のないレベルの発言です。

以上より、今回の薮中氏の発言は放送法第2章第3項「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、 安田氏の発言に、事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):ブラジルで新しく大統領に選ばれたボルソナロさんという方。これまでの発言を見ていくと、例えば、性的少数者の方々。LGBTの方々、性的な少数者の方々に対する差別発言であったりですとか、あるいは女性は出産するから、待遇に差をつけて然るべきだという姿勢をとったりですとか。(中略)で、こうして例えば何かの不満を解消するために、人の尊厳が傷ついていくっていうことを黙認するのか

要旨をまとめると、
・ブラジルのポルソナロ新大統領は、LGBTの人々への差別発言を行ってきた
・女性は出産するから待遇に差をつけるべきだ、という姿勢をとった
・このように、何かの不満を解消するために人の尊厳を傷つけることは黙認できない
というものです。

しかし、「LGBTの人々への差別発言」と「女性の出産を理由とした待遇格差」は、まったく別の論点の問題です。なぜなら前者は人格否定による人権侵害であり、したがって個人の尊厳を傷つけたという主張も合理的ですが、後者は社会構造の問題と密接に絡む社会問題だからです。これらの主張をあたかも同列であるかのように扱うことは視聴者に事実と異なる認識を与える恐れがありますし、後者の問題に議論の余地すら与えないのは一方の立場にのみ偏っているととられてもおかしくありません。

以上より、今回の安田氏の発言は放送法第2章第3項「報道は事実を曲げないですること」、ならびに同第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「ナショナリズムの台頭は悪だ」「移民受け入れをすべきだ」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「今までグローバリズムの弊害がまったく問題視されていなかったことからくる反動だ」「移民は治安の悪化など多くの問題を生む可能性がある」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が今回の報告となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 韓国の徴用工訴訟について報道された部分報道された部分
については、前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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