2020年2月23日 サンデーモーニング(中編)

2020年2月23日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年2月23日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 黒川検事長の定年延長について報道された部分
② 森友問題における籠池夫妻の地裁判決について報道された部分
③ 「風を読む」にて感染症と差別について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 森友問題における籠池夫妻の地裁判決について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

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【VTR要約】
国や大阪府などから補助金、合わせて1億7000万円あまりをだまし取ったとして詐欺などに罪に問われた森友学園前理事長、籠池泰典被告と妻の諄子被告。大阪地裁はこの日、泰典被告に懲役5年の実刑判決を、諄子被告に懲役3年、執行猶予5年の判決を言い渡しました。21日、保釈された籠池被告、国策捜査であり、控訴するとしています。森友学園の一連の問題を巡っては、検察は公文書の改ざんや国有地の値引きで告発された財務省の職員ら38人全員を不起訴処分にしていて、籠池夫妻のみが刑事責任を問われる結果になっています。

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【コメンテーターの発言】
田中優子氏(全文):彼らが無罪だとは思わないけれど、でも財務省の職員がみんな不起訴処分になったということで大変納得できないことで。なぜかというと、もう皆さん、これ経過をご存じのようにこの補助金、それから国有地の問題というのはやはりその自治体とか省庁の職員が関わってやっていたわけですよね。であのこれ特に補助金は国民の税金なわけです。もちろん国有地もそうです。ですから桜を見る会にも象徴されるように、国民の税金の使い方のずさんさとか、あと、もちろんその忖度であるとか、そういうことが元になっているのにこうそのことを精査しないで、あるいは反省もしないで、あのただ、こういう方たちに押しつけてしまう。終わりにしたいっていうことがよく表れてます。やっぱり終わりにしちゃいけないと思います。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、田中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
田中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

田中氏(抜粋):彼らが無罪だとは思わないけれど、でも財務省の職員がみんな不起訴処分になったということで大変納得できないことで。なぜかというと、もう皆さん、これ経過をご存じのようにこの補助金、それから国有地の問題というのはやはりその自治体とか省庁の職員が関わってやっていたわけですよね。であのこれ特に補助金は国民の税金なわけです。もちろん国有地もそうです。ですから桜を見る会にも象徴されるように、国民の税金の使い方のずさんさとか、あと、もちろんその忖度であるとか、そういうことが元になっているのにこうそのことを精査しないで、あるいは反省もしないで、あのただ、こういう方たちに押しつけてしまう。終わりにしたいっていうことがよく表れてます。やっぱり終わりにしちゃいけないと思います。

要旨をまとめると、
・籠池夫妻が無罪だとは思わないが、この傍らで財務省の職員が不起訴処分になっていることを考えると納得できない。
・国有地の問題は自治体や省庁職員が関わっており、補助金は国民の税金、国有地は国民のものである。桜を見る会に象徴されるように税金のずさんな使い道とか忖度が元になっていることを精査も反省もしないでこういう人たちに押し付けるのは間違いだ。
・終わりにしたいという政権の意向が見えるが、終わりにしてはならない。

というものです。

しかしながら、
・財務省職員の不起訴処分と籠池夫妻への判決とは全く無関係であり、財務省職員への不起訴処分が籠池夫妻への判決を不当なものにするという田中氏の主張は明らかな誤りで事実に反している。
・国有地の管理に自治体や省庁職員が関わっていたことや補助金が国民の税金を原資にしていることは、財務省職員の不起訴処分の正当性に何ら影響を与えるものではない。
・財務省職員の不起訴処分は検察審査会の不起訴不当という議決を踏まえた特捜部による二度の捜査によって結論付けられており、「精査も反省もしていない」とする田中氏の主張は明らかな誤りであり事実に反している。
・「こういう人たち(籠池夫妻)に押し付けている」とする主張は籠池夫妻を被害者であるかのように扱うもので事実に即していない。
・終わりにしたいという政権の意向が見えるとする主張には何ら根拠がなく、田中氏の憶測に過ぎない。また、こうした主張は安倍政権を根拠なく誹謗中傷するもので政治的に公平とは言えない。

など、発言の趣旨とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での田中氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍政権は籠池夫妻に責任転嫁するのではなく自らの非を認めるべきだ」「財務省職員の不起訴処分は不当だ」という立場に立った意見ばかりが出てきました。

ですがこの問題に関しては「森友学園問題は籠池夫妻がそもそもの発端だ」「検察審査会の決定を受けた再捜査を以てしても違法性は見つからなかった、不起訴処分は妥当だ」といった反対の意見があります。

にもかかわらず、今回の報道におけるVTRやパネル説明ではそうした意見をほとんど取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4項「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。中編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 「風を読む」にて感染症と差別について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

① 黒川検事長の定年延長について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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