2019年6月30日 サンデーモーニング(後編)

2019年6月30日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2019年6月30日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 大阪で開かれたG20について報道された部分
② 「風を読む」にて日米安保について報道された部分
③ 沖縄慰霊の日について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
② 「風を読む」にて日米安保について報道された部分における
検証3「目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ 沖縄慰霊の日について報道された部分
となります。

では、さっそく②の検証3をみてみましょう。

4、目加田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
目加田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

目加田氏(抜粋):私も本当に寺島さんと同じ意見なんですけれども、アメリカがグローバルパワーでいるために日本を利用してるというか、日本における米軍基地があってこそ、アメリカは中国とも対峙できるし、少なくともグローバルパワーでいられるということをまず踏まえなければいけないと思いますし、今回のトランプさんの発言っていうのは、この夏に山場を迎える貿易協定をにらんで、駆け引きの材料に使ってるのかもしれないんですけれども、でももし貿易と安保を絡めるとしたら、そんな譲歩の迫り方っていうのは、本当ろくな同盟関係ではないなってことをすごく思うんですよね。で、さらに、やっぱり安倍さんは、さっきトランプさんがこの半年ずっと言ってきたっていうふうに言ってたじゃないですか。でも我々国民はそんなこと聞かされてない。説明を受けてないなっていうのが最初の印象なんですけれども、ちゃんと反論してきたのかと。少なくともこれだけの基地を抱えて、沖縄をはじめ日本で基地がたくさんある街っていうのはものすごく負担を強いられてるわけですよね。そういう国民感情をものすごく逆なでするものであるし、そのことについてちゃんと安倍さんはきちんとトランプさんに説明する必要があると思うんですよね。武器を爆買いしてね、握手してるだけが外交ではないってことを、きちんと指摘しておきたいと思います。

要旨をまとめると、
・アメリカのグローバルパワーを支えているのは日本に米軍基地があるからだ。そのことをまず踏まえるべき。
・貿易協定と安保を絡めるとしたら、そんな譲歩の迫り方をされる同盟関係はろくでもない。
・これだけの基地を抱え、沖縄をはじめ日本で基地がたくさんある街は大変な負担を強いられている。武器を爆買いしているだけが外交ではない。

というものです。

しかしながら、
・アメリカにとって、日本にある米軍基地は地政学的に非常に有利なポジションにあるが、そのことがそのままアメリカのグローバルパワーの根源になっているわけではない
・貿易協定と安保を絡めているのはトランプ米大統領のやり方であり、日米同盟に非があるわけではない
・日本にある米軍基地は地域経済にプラスの効果をもたらす側面もあり、また米軍基地は日本、ひいては地域の安全保障に欠かせないものである。危険性だけを強調するのは政治的な公平性に欠ける
・日本がアメリカから購入した武器は日本の安全保障に必要だから購入されている。また、米国のFMS(対外有償軍事援助)はアメリカ製の兵器や教育訓練を通常より安価で提供する仕組みで、日本だけでなく西側同盟国の多くを相手にFMSは実施されており、トランプ米大統領との付き合いで日本が購入しているという指摘は当たらない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での目加田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

続いて、
③ 沖縄慰霊の日について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
就任後、初めて玉城デニー知事が沖縄慰霊の日・追悼式に出席し、普天間辺野古移設をめぐる政府の対応を批判したと伝えられる。玉城知事が「政府の対応は民主主義の正当な手続きを経て導き出された民意を尊重せず、尚且つ地方自治をもないがしろにするものであります」と話す映像の後、安倍首相が「沖縄の基地負担軽減に全力を尽くしてまいります」と話す映像が流される。

【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(全文):私は、平和学の父といわれたガルトゥング博士という方にインタビューしたことがあるんですけど、その方が、「沖縄というのは、歴史的にも地理的にも東アジアの平和の拠点であるべきだ」とおっしゃったんですが、今回の玉城知事の平和宣言をみて、それを思い出しましたね。つまり、挨拶の後に、最後にですね、ウチナーグチ、沖縄の言葉と英語で締めた挨拶。その中で沖縄を平和のシンボルにしようという、やっぱり強い意志をものすごく感じました。それを世界に発信したいというものを感じました。一方で安倍総理の演説は野次が今年はものすごく多かった。すごく多かったです。これまでにないぐらい多かったです。それはやはり、県民投票とかいろいろあっても、結局それをまあ、気にもせず工事がどんどん進んでいることへの沖縄の人の本当の怒りというのが今回表れたなあという気がしますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。

松原氏(抜粋):私は、平和学の父といわれたガルトゥング博士という方にインタビューしたことがあるんですけど、その方が、「沖縄というのは、歴史的にも地理的にも東アジアの平和の拠点であるべきだ」とおっしゃったんですが、今回の玉城知事の平和宣言をみて、それを思い出しましたね。つまり、挨拶の後に、最後にですね、ウチナーグチ、沖縄の言葉と英語で締めた挨拶。その中で沖縄を平和のシンボルにしようという、やっぱり強い意志をものすごく感じました。それを世界に発信したいというものを感じました。一方で安倍総理の演説は野次が今年はものすごく多かった。すごく多かったです。これまでにないぐらい多かったです。それはやはり、県民投票とかいろいろあっても、結局それをまあ、気にもせず工事がどんどん進んでいることへの沖縄の人の本当の怒りというのが今回表れたなあという気がしますね。

要旨をまとめると、
・平和学の父と言われたガルトゥング博士が「歴史的にも地理的にも東アジアの平和の拠点であるべき」ということを言っていたが、玉城知事の平和宣言は沖縄の言葉と英語の挨拶で締めており、沖縄を平和のシンボルとしようとした姿勢はまさにそれにあたる。
・一方で、安倍首相の演説に対する野次が多く、県民投票などの民意を気にせず工事がどんどん進んでいることへの沖縄の人の怒りが現れている。

というものです。

しかしながら、
・平和学の父であるガルトゥング博士の発言は、玉城知事の思想や政策、ましてや演説とは何の関係もないものであり、こうした強引な関連付けは事実に反したものである。
・沖縄基地問題や県民投票は沖縄戦の犠牲者の慰霊とは何ら関係ない政治問題であり、慰霊の行事への妨害でしかない当該行為を肯定する姿勢は明らかに政治的公平性を欠く。
・県民投票は県が独自に制定した条例により実施されたもので法的拘束力を持たない。また、その成立経緯を鑑みれば政治的に公平な選挙とは言えず、こうした選挙を一方的に肯定する姿勢もまた政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「沖縄県民投票などの民意を受け止め基地建設をやめるべきだ」「玉城知事の掲げる姿勢は東アジアの平和につながる」という立場に立った意見のみが出てきました。ですがこの問題に関しては「沖縄米軍基地は日本全体の安全保障にかかわる問題だ」「玉城知事の姿勢は中国に対して隙を見せるだけだ」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 大阪で開かれたG20について報道された部分
については前編の報告を、

② 「風を読む」にて日米安保について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事