2020年9月13日 サンデーモーニング(中編)

2020年9月13日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年9月13日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 野党合流について報道された部分
② 総裁選について報道された部分
③ 原発のごみ処理問題について報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 総裁選について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
明日に迫った自民党総裁選の投開票。9日、アメリカのシンクタンクのイベントにオンライン参加した河野太郎防衛相は10月中に解散総選挙が行われる見通しを示しました。この背景には最近の世論調査で安倍政権の支持率が一気に上昇したことがあるとみられています。総裁選の最中、飛び出した解散発言に菅官房長官は「次期総理の話」としています。また、新政権の人事について問われた菅氏は「人事は適材適所であるもの。改革意欲のある人」としています。
毎日新聞の与良氏は「(菅氏は)森友 加計 桜を見る会の問題を含めて防波堤役をやってきた。」と話し、新政権での人事の焦点は官房長官だといいます。候補者として守山国対委員長、梶山経済産業相、竹下派の加藤厚生労働相、萩生田文部科学相を上げています。
さらに党役員人事については「確実視されているのは二階幹事長は続投、菅さんの背中を押した。安倍政治を継承すると言っているわけだから、大幅な人事あるいは独自色はなかなか出せない。恩返し人事になりかねない。」と話しました。
自民党は投開票の翌日、15日に党役員人事を行い、16日の首班指名後、直ちに新内閣を発足させる方針です。

スタジオにて橋谷アナの説明。
本当に早期解散というのはあるのでしょうか。毎日新聞の与良氏は「支持率の高い今なら過半数の議席が取れる。国民の信任を得られれば、党内で力を発揮しやすくなる。」とは話し、あり得ないことではないといいます。政治日程を見ると来年の夏には東京都議選そして東京オリンピックがあり、10月には衆院議員の任期満了となります。与良さんによりますと冬から春にかけて新型コロナ感染拡大のリスク、またそれに伴う経済への影響や最悪の場合オリンピック開催ができないという事態もありえます。 この2つの不確定要素のために冬以降、解散のタイミングを見つけるのは難しいということ
です。

【コメンテーター発言内容】
元村氏(全文):ときめきを感じない総裁選というのが第一印象です。1つは選考過程の不透明さです。日本は首相の公選制というのはないので、もちろん誰が選ばれるかは私たちは口を出せないんですけど、だからこそ選考過程は透明でなければいけないと思います。 この過程で石破さんを外すために派閥が動いたということが言われていますけれども、石破さんは唯一と言っていいぐらい異論を言える人なんですね。そういう人の意見を封じてしまうということは何かゲームで自分たちが勝つためにガキ大将がルールを変えているような、すごく嫌な感じがします。それから官房長官人事のこと、早くも取り沙汰されていると言われていますけれども、例えば森山さんであれば腹心の、とても信頼できると言われていますがおじいちゃん内閣になってしまいますよね。それから梶山さんであれば経済変調内閣、いずれにしても無風を全員で予定調和で決めているような、そこに本当の民主主義とかきちんとした意見を聞く内閣の姿勢というのはあるのかなと思います。

高橋純子氏(全文):結論が見えているので、人事や解散の時期いつかということに話題が移るのは仕方がないと思うんですけれどもそれだと自民党の土俵に引きずり込まれているというか、私はやはり、せっかくの機会なんですから、しっかり討論会などに菅さんやほかの候補の言葉に耳を澄ませてほしいなというふうに思います。菅さんの言葉を聞いていると、自分の言葉で語ってないなという印象が非常に強いです。これは単なる口下手ということではなくて、自分が求める社会像、どういう社会にしたいのか、どういう日本にしたいかというそもそもの絵図を自分の中にお持ちなのかなという疑問がどうしても自分の中に生じてくる。そして、森友学園問題、加計学園問題、それから桜を見る会という安倍政権の負の遺産については解決済みだという姿勢を崩していないわけですけれどもその負の側面まで継承されては困るわけですからここのところをもっともっと私たちが問いかけていかなければいけないし近くあるとされている選挙、いつあるか、1年以内にはあるわけですから、そこで私たちはどういう答えを出すのか、しっかり今、耳を傾けるべきだと思います。

竹下氏(全文):今回、3人の候補の中に、女性の候補がいないというのは非常に絶望的になってしまいますよね。安倍政権、いろいろと批判もありますが少なくとも女性活躍においては非常に積極的にいろんな施策を打ち出そうとしていたと思います。特に国会議員というのは衆議院に至っては女性の議員というのは10%前後しかいないという非常に世界的に見ても政治が遅れをとっている分野です。次の総裁候補というのは、今、野党が非常に情けない状態ですのでこれが次の日本のリーダーなんだ、この3人が次の候補なんだということを世界に向けてメッセージを出す機会なんですが、すべて男性で、次に控えている女性の議員もなかなか見当たらないということなので自民党は今回の総裁選、あくまでも党内のことですけれども、これまでの国会議員のプロセス、あるいはリーダーの育成においてどうして女性が出なかったのか、どうして多様な候補がいなかったのかというのを菅さんが勝ったとか優勢ではなくて改めて問い直さないといけないのかなと思います。

青木氏(全文):第3次安倍政権、あるいは安倍さんなき安倍政権、あるいは安倍政権のエンジンだけが今度は走り出すみたいな感じですよね。派閥の流れでほぼ決まっちゃったって、そのとおりなんですけれども派閥の論理と嘆くのもはばかられるような、要するに保身と打算というかね。要するに自民党執行部の力が強くなったので、ここではせ参じなかったら選挙のときに意地悪されたら困るしポストも欲しいしという、政策も何もない、要するに勝ち馬に乗るっていうことですよね。結果として皮肉っぽく言っちゃったら申し訳ないんですけど、安倍政権のときに道徳を子供達に教えようと言ったんだけれども結局うそも詭弁も、公文書の破棄も改ざんも、それから公務員の自殺もあったし、法務大臣経験者がお金をばらまいたという事件もあって、これ全部なしにしちゃっておいて勝ち馬に乗るような光景で、学校で道徳を教えられた学校の先生は、そうはいきませんよとかえこひいきはいけませんよと言われたときにどうするんですかね、何か教えられない気が僕はするんですけれどもこれでいいのかなっていう感じはしますよね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、元村氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
元村氏は今回の報道で、以下のように述べています。

元村氏(抜粋):ときめきを感じない総裁選というのが第一印象です。1つは選考過程の不透明さです。日本は首相の公選制というのはないので、もちろん誰が選ばれるかは私たちは口を出せないんですけど、だからこそ選考過程は透明でなければいけないと思います。 この過程で石破さんを外すために派閥が動いたということが言われていますけれども、石破さんは唯一と言っていいぐらい異論を言える人なんですね。そういう人の意見を封じてしまうということは何かゲームで自分たちが勝つためにガキ大将がルールを変えているような、すごく嫌な感じがします。それから官房長官人事のこと、早くも取り沙汰されていると言われていますけれども、例えば森山さんであれば腹心の、とても信頼できると言われていますがおじいちゃん内閣になってしまいますよね。それから梶山さんであれば経済変調内閣、いずれにしても無風を全員で予定調和で決めているような、そこに本当の民主主義とかきちんとした意見を聞く内閣の姿勢というのはあるのかなと思います。

要旨をまとめると、
・ときめきを感じない総裁選だ
・選考過程の不透明さを感じる。石破氏しか菅氏が総理大臣になることに対して、異論を論じていない
・異論を論じている人に勝つためにに、ルールを変えている、嫌な感じがする
・おじいちゃん内閣になっている。本当の民主主義を体現すべきだ

というものです。

しかしながら、
・そもそも、総裁選で菅氏が圧勝することは明らかであることであり、他の候補者が菅氏のことを批判しないことは当然である。しかし、これらの背景を述べずに、異端者である石破氏をあえて取り上げて、異論を投じているのは石破氏しかいないと他の自民党員を批判するのは、政治的公平性を欠く。

・また、自民党内で総裁選のルールは変えていない。その為、事実に明らかに反する。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での「元村」氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、高橋氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
高橋氏は今回の報道で、以下のように述べています。

高橋氏(抜粋):結論が見えているので、人事や解散の時期いつかということに話題が移るのは仕方がないと思うんですけれどもそれだと自民党の土俵に引きずり込まれているというか、私はやはり、せっかくの機会なんですから、しっかり討論会などに菅さんやほかの候補の言葉に耳を澄ませてほしいなというふうに思います。菅さんの言葉を聞いていると、自分の言葉で語ってないなという印象が非常に強いです。これは単なる口下手ということではなくて、自分が求める社会像、どういう社会にしたいのか、どういう日本にしたいかというそもそもの絵図を自分の中にお持ちなのかなという疑問がどうしても自分の中に生じてくる。そして、森友学園問題、加計学園問題、それから桜を見る会という安倍政権の負の遺産については解決済みだという姿勢を崩していないわけですけれどもその負の側面まで継承されては困るわけですからここのところをもっともっと私たちが問いかけていかなければいけないし近くあるとされている選挙、いつあるか、1年以内にはあるわけですから、そこで私たちはどういう答えを出すのか、しっかり今、耳を傾けるべきだと思います。

要旨をまとめると、
・せっかくの機会だから菅氏以外の候補にも耳を傾けるべきだ。
・菅氏は、自分の言葉で語っていない。自分が求める社会像を持っているのか疑問が自分の中である。
・森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会という負の面を継承されるのは困るので、次の選挙まで政治に関心を持つべきだ。

というものです。

しかしながら、
・菅氏は、社会像を「悪しき前例主義を改め、規制改革を全力で進める」と自分自身のビジョンを持っており、自身が求める社会像がないという高橋氏の主張は事実に反する。
・また、「森友学園問題、加計学園問題、桜を見る会」という問題は、野党が政府批判の為に意図的に作られた問題であることも指摘されているから、それらを負の側面として主張するのは政治的公平性に反する。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での菅氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「菅政権は予定調和だ」「菅政権は改革意欲がない」という立場に立った意見のみが出てきました。

青木氏(抜粋): 第3次安倍政権、あるいは安倍さんなき安倍政権、あるいは安倍政権のエンジンだけが今度は走り出すみたいな感じですよね。派閥の流れでほぼ決まっちゃったって、そのとおりなんですけれども派閥の論理と嘆くのもはばかられるような、要するに保身と打算というかね

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「菅氏は実力者である」「菅氏は悪しき前例主義を改めるというビジョンがある」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 総裁選について報道された部分における
 検証3「竹下氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ 原発のごみ処理もんだいについて報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 野党合流について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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