2020年3月5日 報道ステーション

2020年3月5日 報道ステーション

3月5日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・後藤氏の解説は事実を正しく伝えたものであったか

まずは放送内容を見ていきます。
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【パネル解説】(要約)
富川悠太アナウンサー(以下富川アナ):政府が中国・韓国に対し、入国拒否地域の追加と入国者への2週間の隔離措置を行うことを発表しました。

松本哲也教授:入国拒否については納得しますが、(感染者が)増えているイタリアが入っていないことが気になります。あと、隔離措置はかなり対象者が増えますので、本当に守られたなら効果のある水際対策になると思います。中国は感染者の増え方が鈍化していますので、アメリカのように1か月前くらいからやっていれば、もっと効果が高まったかもしれません。

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【記者レポート】(要約)
富川アナ:なぜ今日、こういった水際対策を新たなものを打ち出したんでしょうか。

吉野記者:中国・韓国からの渡航者は1日1000人ほどとかなり減ってきていますので、今回の目的は日本がしっかり対策していることを国際社会へアピールすることが狙いです。

富川アナ:隔離措置について、渡航者を滞在させる場所っていうのはあるんですか?

吉野記者:私が取材した範囲内ですが待機施設は用意されないようです。検疫態勢を強化した上で、各自の宿泊場所でしっかり待機することを要請する。あくまで政府からの要請だということなんです。

富川アナ:強制的なものではないということですね。じゃあ、入国制限措置を中国はどう受け止めているんでしょうか。中国総局千々岩森生総局長に聞きます。千々岩さんもうこの措置については中国で報道はされているんですか?

千々岩森生総局長(以下千々岩総局長):中国ではどんどん速報が始まっています。ただ、今のところは事実関係のみを淡々と伝えているという印象です。2週間の隔離率直なところ日中間の移動の禁止に等しいなというのが偽らざる感覚です。

富川アナ:先ほど、吉野記者の中継で劇的な対応は避けたような形だと言っていましたけれどもそういう受け止め方は中国ではないんですか。

千々岩総局長:普通の一般の中国の人の間では、大きなリアクションは今ないんですね。それよりも(周近平国家主席の)訪日の延期が大きく受け止められています。中国側は4月予定どおり訪日をして、新型コロナウイルスを抑え込んだと内外にアピールしたかったというところが本音なんですが、去年香港では大規模なデモがあり、年が明けて新型コロナウイルスということで、今行っても歓迎はされないだろうということで延期の判断になったと思われます。

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【コメンテーターによる解説】
徳永有美アナウンサー(以下徳永アナ):後藤さん今回ですが国際社会へ向けてのアピールなんじゃないかとありましたけれど後藤さんはどんなふうにご覧になりましたか。

後藤謙次氏(以下後藤氏):最初の印象は何を今更ということでしょうね。吉野記者の背景説明で若干、分かりましたけど肝心な安倍総理が背景及び理由をきちっと説明してないんですね。なぜ今なのかなぜ、やるのか。そして、いつまでやるのか。何よりも根拠が何かというところが全く明確になっていない。

徳永アナ:なぜ、今このタイミングでこの決定なんでしょうか。

後藤氏:吉野記者の説明だとアメリカの動きもあるだろうと。一番大きいのは習近平国家主席の来日が正式に延期が決まったというタイミングプラス自民党内の保守派から中韓にもっと厳しく出ろという声があってそれが反映されたという見方もあります。

徳永アナ:そうなってくると国民の不安どうこうというよりは政治的な思惑みたいなものが強いと?

後藤氏:日本のほうは大丈夫かと聞かれたときにそれに反論できる根拠を果たして日本政府が持っているかということですね。

徳永アナ:アメリカのほうはいきなり中国からの入国を当初から制限しましたよね。

後藤氏:安倍総理は、最初の水際作戦に失敗したということを認めたうえでこれはこうやるんだと。つまり後手後手のうえに更に混乱を重ねているというのが今の印象なんです。かえって政府内が混乱しているという印象を我々に植えつけてしまったと。今日の発表はあまりいい決定ではなかったような気がしますね。

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【検証部分】

今回の解説で後藤氏は、中韓からの入国制限について、安倍総理が「背景及び理由」を十分に説明していないとした上で、入国制限のタイミングについては「習近平国家主席の来日が正式に延期が決まった」ことと「自民党内の保守派から中韓にもっと厳しく出ろという声」
があったため、この時期になったとしています。

さらに「後手後手のうえに更に混乱を重ねているというのが今の印象」、「今日の発表はあまりいい決定ではなかったような気がしますね。」などと政府に対して批判的な解説をしていました。

今回はこれらの解説が、事実を正しく伝えたものであったか、について検証していきます。
結論から述べると、一部事実を曲げた発言があった可能性があります。

中韓からの入国制限について、後藤氏は理由と背景を十分に説明していないと述べていますが、入国制限の理由は端的に感染防止のためです。
安倍総理も第17回新型コロナウイルス感染症対策本部で以下のように述べています。

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 総理は、本日の議論を踏まえ、次のように述べました。

「諸外国での感染が拡大する中で、今が正念場であり、国内対策はもとより機動的な水際対策についても、引き続き躊躇(ちゅうちょ)なく断行していくことが不可欠です。今般、積極果断な措置を講じることといたしました。
 まず、感染が拡大している韓国の慶尚北道の一部地域及びイランのコム州等における滞在歴がある外国人については、入管法に基づき、新たに入国拒否の対象といたします。他方、一部地域の入国拒否措置を講じてもなお、中国や韓国全土から本邦への人の流入は続いています。感染拡大を防止し、国民の皆様の不安感を解消するためには、両国からの入国者に対する検疫を強化し、検疫所長が指定する場所で2週間待機し、国内において公共交通機関を使用しないことを要請します。」
≪引用 令和2年3月5日新型コロナウイルス感染症対策本部(第17回)
https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/actions/202003/05corona.html≫
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入国制限の理由は、感染拡大防止のためという非常に明確な理由であるにもかかわらず、後藤氏は理由と背景の説明が不十分である、としています。
このような事実を曲げた放送は以下の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(3)報道は事実をまげないですること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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