TBS「サンデーモーニング」、2020年3月8日放送回の検証報告(後編)です。
今回の報告では、
① 新型コロナ問題にてWHOが最も懸念する国について報道された部分
② 新型コロナ問題における安倍首相の政治判断について報道された部分
③ 河合夫妻逮捕について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
後編で検証するのは、
② 新型コロナ問題における安倍首相の政治判断について報道された部分における
検証5「寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」
ならびに、
④ 河合夫妻逮捕について報道された部分
となります。
では、さっそく②の検証3をみてみましょう。
5、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。
寺島氏(抜粋):あのーこういう恐怖心が理性を超えていくとですね、不安な社会心理っていうのがすごいことになって、それを背景にしてですね、まさに今我々が体験していることっていうのは、官邸主導のね国難政治ってやつにもう巻き込まれてってると思うんですね。要するにどういうことかっていうとね、今本当にやるべきことはですね、検査であり、医療でありですね。いわゆる研究なんですよ、立ち向かっていかないといけない。ところがね、要するに文科省の現場もびっくりするような形で、全国の小中高校止めた。その事によってですね、周りにものすごく大きなハレーションが起こって、経済的にもですね、要するに観光の時代じゃないぜってことで凍りついて来てる。マイナス成長になるんじゃないかっていう状況になってきてる。で、本当だったらそこに集中してやんなきゃいけないのですね。いつのまにかね、この例えば、国の予算の何千億ってのか休業補償なんてところに使われていく。本当だったらね、医療であり、検査のところに集中して今立ち向かっていかなければならないのにですね。なにかずれてきてるよねってのはね、我々がしっかり認識しなきゃいけないところだと思いますね。
要旨をまとめると、
・官邸主導の国難政治に巻き込まれている。今本当にすべきなのは検査、医療、研究だ。にもかかわらず政府による休校要請によって観光・経済へのダメージ波及などが起きている。
・この国の予算の何千億が休業補償に使われる。本当なら医療や検査に使うべきであるにもかかわらずだ。
というものです。
しかしながら、
・観光・経済へのダメージは休校要請や安倍政権の施策とは全く関係なしに起きていることであり、これを安倍政権によるものだとする寺島氏の主張は明らかに事実に反している。
・諸外国と比較しても安倍政権は今回の新型コロナウイルスに効果的に対処しており、「官邸主導の国難政治」などとする寺島氏の主張は明らかに事実に反しており、また政治的に公平とも言えない。
・休業補償をムダ金であるかのように扱い、感染拡大を防ぐうえで優先順位の低いPCR検査を拡大すべきだとする寺島氏の主張は、大ダメージを受けている経済による国民生活の困窮を無視したもので明らかに事実に反している。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
続いて、
③ 河合夫妻逮捕について報道された部分
となります。では、放送内容を見ていきましょう。
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【VTR要約】
自民党河合案里参議院議員とその夫の元法相の夫の政策秘書ら3人が公職選挙法違反の罪で逮捕されました。3人は、案里氏を当選させるために、ウグイス嬢に法定を越える報酬を支払っていた疑いです。案里氏は見に覚えがないとして、議員を続ける意向です。ただ、三人が有罪となれば、連座制で当選が無効となる可能性があります。
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【コメンテーターの発言】
松原耕二氏(全文):予算の審議中に、与党の議員のところに、しかも前の法務大臣の事務所に家宅捜索を入れるんですから相当本気なんじゃないかと思いますね。だからまあ秘書の逮捕だけでなくて、その先どこまで実は最終的な狙いがあるのかということがこれからわかってくるかもしれない。と同時に最近のその検察官の定年延長問題に絡んでくると思うんですね。そのつまり、かなり強引な解釈によって、定年を延長しようとした。これによってまあ検察危機というかですね、独立が保てるかということがですね叫ばれている。その中で、じゃあ安倍総理あるいは菅官房長官に近いとされる河合夫妻、特に夫の河合氏ですよね、このひとに対してじゃあ検察はどう向きあるのか。国民はじっと見てると思いますね。
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以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。
1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
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1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
松原氏は今回の報道で、以下のように述べています。
松原氏(抜粋):最近のその検察官の定年延長問題に絡んでくると思うんですね。そのつまり、かなり強引な解釈によって、定年を延長しようとした。これによってまあ検察危機というかですね、独立が保てるかということがですね叫ばれている。その中で、じゃあ安倍総理あるいは菅官房長官に近いとされる河合夫妻、特に夫の河合氏ですよね、このひとに対してじゃあ検察はどう向きあるのか。国民はじっと見てると思いますね。
要旨をまとめると、
・検察官の定年延長の問題が出てくる。強引な解釈で定年延長をしようとした検察が独立を保てるかどうか、安倍首相や菅官房長官に近い河合夫妻に検察がどう向き合うかが問われる
というものです。
しかしながら、
・黒川検事長の定年延長には何ら違法性はなく、松原氏の「強引だ」という主張は事実に即しておらず、また政治的に公平とも言えない。
・黒川検事長の定年延長は法務省からの要請に官房長官が応えたものであり、検察の独立性が危ぶまれているという主張は事実に即していない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「黒川検事長の定年延長は問題だ」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「黒川検事長の定年延長に違法性はない」「政権の意向を加味したという根拠もない」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の後編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
① 新型コロナ問題にてWHOが最も懸念する国について報道された部分
については前編の報告を、
② 新型コロナ問題における安倍首相の政治判断について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。