2020年3月15日 サンデーモーニング(前編)

2020年3月15日 サンデーモーニング(前編)

サンデーモーニング、2020年3月15日分の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
③ 森法相の失言についてについて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
さまざまなイベントや行事が中止になる中、緊急事態宣言を可能にする法改正が行われました。史上初めての中止が決定した、春の選抜高校野球。関係者は無念の思いを口にしました。見えない敵、ウイルスとの戦い。この2日前に行われた政府の専門家会議は、急速な感染拡大に至っていないとしたうえで当面1~2週間としていたイベントなどの自粛について安倍総理はさらに継続するよう求めたのです。集団感染、クラスターの発生を抑えるためのイベントなどの自粛。大阪の4つのライブハウスを訪れた人の感染が止まりません。昨日の時点で85人に上っています。また、新たなクラスターも次々と発生。神戸市の認定こども園では保育士ら6人の感染が確認され園児およそ30人も体調不良を訴えています。こうした状況の中、和歌山県の独自の取り組みが注目されています。独自の判断で積極的にPCR検査を行っている和歌山県。検査への窓口に相談する目安として国は37.5度以上の発熱が4日以上続くなどを挙げていますが、和歌山県はその方針に従わず積極的な受診を促し、多くのPCR検査を行ってきました。和歌山県では独自の相談窓口を設けるなど肺炎の疑いがあれば積極的に受診を勧めています。その結果、相談センターからPCR検査につながった割合は東京都のおよそ1%に対し、和歌山県は34%に上ります。さらに、こうした取り組みの結果1000件を超える検査が実施されたのです。加藤大臣は国内全体で1日当たり最大6000件検査できるとしていますが保険が適用されてからも各地で思うように検査は増えていません。金曜日、国会では政府による緊急事態宣言を可能にする特別措置法が与党に加え、立憲民主党などの賛成多数で可決・成立しました。総理大臣が緊急事態を宣言することで外出の自粛やイベント会場の利用制限など私権が制限できるようになることから野党議員の一部が反対に回るなど、異論も上がっています。昨日の会見で安倍総理は万が一の備えのための法律であることを強調。今後、緊急事態の宣言につながるような感染の拡大はあるのでしょうか。

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【コメンテーターの発言】
青木理氏(全文):これもともと民主党政権のときに作った法律で適用を新型コロナにもできるようにするというだけだったので立憲民主党等も賛成しているんですけれど、やっぱり懸念されるのは、指定公共機関というものにテレビ局、例えばNHKなんかは明記されているんですね。で民放も国会審議の中で入るのかと言われたらまあ入るんだと。つまり政権がこういう情報を流してくれとか、極端に言えば流さないでくれとすれば、できるという枠組みになっちゃっているんですね。つまりメディアも統制はある程度できちゃうということになってくるとやっぱり言論、表現の自由との絡みで政府は使わないと言ってるんですけれど果たして大丈夫なのかという辺りは本当に気をつけて見なくちゃいけないっていう劇薬だということはちょっと頭の中においたほうがいいと思います。

関口宏氏(要約):今回のコロナ騒動に関しては、それはそれなりに役に立つかもしれない。ほかのことに使われたときのことを野党は心配していらっしゃる。

青木理氏(全文):しかもお上の情報を、今回もそうですけれどもね検査の話とかってことに批判がものすごくありますよね。でそれは政府が正しいときもメディアが正しいときもあると思うんですけれど政府が正しい情報だということだけを押しつけられて流されることになってくるとこれはまた少しこうコロナの局面、その終息の局面でもいろいろ問題が出てくるかもしれない。

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以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木氏は今回の報道で、以下のように述べています。

青木氏(抜粋):やっぱり懸念されるのは、指定公共機関というものにテレビ局、例えばNHKなんかは明記されているんですね。で民放も国会審議の中で入るのかと言われたらまあ入るんだと。つまり政権がこういう情報を流してくれとか、極端に言えば流さないでくれとすれば、できるという枠組みになっちゃっているんですね。つまりメディアも統制はある程度できちゃうということになってくるとやっぱり言論、表現の自由との絡みで政府は使わないと言ってるんですけれど果たして大丈夫なのかという辺りは本当に気をつけて見なくちゃいけないっていう劇薬だということはちょっと頭の中においたほうがいいと思います。(中略)しかもお上の情報を、今回もそうですけれどもね検査の話とかってことに批判がものすごくありますよね。でそれは政府が正しいときもメディアが正しいときもあると思うんですけれど政府が正しい情報だということだけを押しつけられて流されることになってくるとこれはまた少しこうコロナの局面、その終息の局面でもいろいろ問題が出てくるかもしれない。

要旨をまとめると、
・指定公共機関には民放も含まれると安倍首相は国会審議で述べており、このままでは政権がメディアを統制し、情報統制できる仕組みになってしまう。
・政府が発表しているPCR検査の情報には多くの批判が出されており、「政府が出すものだけが正しい」と押しつけて放送されると後々問題が発生する

というものです。

しかしながら、
・政府は、公式の発表で指定公共機関には民放は含まれないとしており、「政権がメディアを統制できる」という青木氏の主張は明らかに事実に反している。
・「PCR検査について政府が発表した情報に誤りがある」という青木氏の主張には明白な根拠は存在せず、事実に即していない。また、メディアが出した情報に対して、政府が誤り指摘している事態も多数発生しており、一方的に政府が誤った情報を出すと指摘している青木氏の主張は事実に即しておらず、政治的にも公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での氏の青木氏の発言は政治的に公平でなく、事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「PCR検査の検査数を増加すべき」「私権の濫用及び
言論、表現の自由に反するため緊急事態宣言はすべきではない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「PCR検査は医療崩壊を防ぐためにも必要度の高い人から優先的に行うべき」「国民の生命を守るために緊急事態宣言をするべきである」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 森法相の失言について報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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