2019年6月16日 サンデーモーニング(中編)

2019年6月16日 サンデーモーニング(中編)

サンデーモーニング、2019年6月16日分の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 「風を読む」にて老後2000万円問題について報道された部分
② 安倍首相のイラン訪問について報道された部分
③ イージスアショア配備について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 安倍首相のイラン訪問について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
炎上するノルウェーのタンカーの映像とともに、日本の海運会社が運航するタンカーが、ホルムズ海峡近くで何者かによる攻撃を受けたことが伝えられる。
 CM後、安倍総理はアメリカとイランの仲介役を担う形でイランを訪問し、最高指導者ハネメイ師と会談を行ったとナレーション。安倍総理の会見映像に切り替わり、「ロウハニ大統領からは戦争は望んでいないとの明確な発言があり、ハメネイ師からは核兵器を製造も保有も使用もしないとの発言があった」と会談の成果を語る映像が流される。
しかし、イランの国営テレビでは、ハメネイ師は「トランプ大統領はやり取りをする価値のない人間で、この先も呼びかけに応じるつもりはない」と述べていたと伝えられる。オマーン湾で発生した攻撃について、アメリカ政府はイランに責任があると判断したのに対し、イラン国連代表部は、アメリカの根拠なき主張を断固として認めないと反論したとナレーション。アメリカ政府は、攻撃は吸着式爆弾によるものだと主張する一方、国華産業・堅田社長は「飛来物により爆発が起きたと報告を受けている」と述べており、アメリカ側の主張に疑問が残ると伝えられ、VTRは終了した。

【アナウンサーによるパネル説明】
・タンカー攻撃を受けたホルムズ海峡は、日本が輸入する原油の8割が通過している
・トランプ大統領は「イランがやった」と断言し、イランは「アメリカ側の根拠のない主張を断固として拒絶する」と関与を否定
・攻撃した者について、イランとアメリカの緊張を高めたいと考える国又は勢力も考えられる
・海外メディアでは、イエメンの武装組織フーシ派、イスラエル、サウジアラビアなど様々な説がある

【コメンテーターの発言】
姜尚中氏(全文):やっぱりあの、イラク戦争のときのことがちょっとこう、まあ、既視感で浮かぶんですけども、問題は今度アメリカがいろいろな証拠を出してくると思うんですね。で、それがどのくらい信ぴょう性があるのかどうか、結局最後は分からない。で、分からないときに、安保理を使って、武力行使までいくのかどうかですよね。万が一、そこにいった場合には、これは日本としての立ち位置はイラク戦争のときと同じように問われてきて。で、ドイツとフランスはあのときド・ビルパンって人とフィッシャーっていう人が反対。で、日本は今、ちょっと中間的な立場にいるわけですけども、やっぱり日本がイランと積み上げてきた中東での親日国としての資産というのがあるわけですよね。それを全部ひっくり返すようなところまでして、アメリカに追随するのかどうか。これはやっぱり日本が今のうちにやっぱり立ち位置をはっきりと決めていかなければいけないんだと。で、僕はむしろ日本とドイツが協力して、もう少しアメリカを核合意まで道を戻ってくださいという。それは本来、だからG20にロウハニ大統領をオブザーバーかなんかで呼んでもいいんじゃないですかね。そうすれば、少なくともそのときまでは、時間が稼げる。いろんな手が日本だったらあるんじゃないかなと思うんですけど。

大宅映子氏(全文):イランともアメリカとも友好関係にあるという日本がね、役があるということで、安倍さん勇んで出掛けられたんですが、その最中にね、せっかく緊張緩和のために、最中に、日本のタンカーがこういう目にあうっていう。この状況っていうのを考えると、本当に役に立つはずが、皮肉にも、なんか日本に標的が向いてきたっていうふうに感じます。アメリカは、ホルムズ海峡はそんなに関係ないです。シェールガスも出てきちゃったし、あんまり関係ない。一番困るのは日本なわけですよね。私は、安倍さんに、あそこにイランに行く前に、友好関係にあるのであればトランプさんに今の状況、ちょっとひどすぎませんかと。アメリカがやりすぎなんじゃないですかと一言言って欲しかったですよね。まあ後からでもいいけど、やっぱり友好関係ってのは、そういうことですよね。言いなりになることじゃないから。

岡本行夫氏(要約):両国の大統領に期待されて行ったが、予想以上に最高指導者の態度が固かった。和平に向けての意味はあったと思う。常識的に考えると、イランがやったとは考えにくい。攻撃後、逃げずに飛来物を外すことも不自然だが、写真を撮ったアメリカ側は船を追跡しているはずなのに、到着地(港)を公表していないのはもっと不自然。イランに戻らなかった可能性がある。攻撃したのはアメリカとイランを戦争させたい国か機関だと思う。

池田健三郎氏(要約):米メディアは、期待をしていなかった上に上手くいかなかったという批判的な論調も見られる。安倍総理がこれだけ労を取ったのに報われていないのは残念。誰がやったのか分からないという状況が長引くのは経済にも良くない。事実関係の解明を早くしないと世界経済への不安定要因が増すという怖さがある。

岡本行夫氏(要約):もう一つ言わせてほしい。この件に関する情報収集ついて、日本は極めて有利な立場にある。日本ができるだけ情報を得て、国際社会に公開すべきだと思う。

松原耕二氏(全文):もちろんまだ、誰が何を何のためにやったか全く分からないんですけど、ただ、確かにイランがですね、アメリカはまあイランの仕業だといってる。ただ、岡本さんがおっしゃる通り、イランが公式にそういうことをやるとはとてもやっぱり思えないわけですよね。ただ、もしその跳ね返りみたいな形でイラン革命防衛隊なんかがやったとしたら、ある意味より怖いんじゃないかと。つまり偶発的な衝突なんかを呼び起こすってこともあるのかなと思うとですね、嘘だとしたら、私は公式にやったとより、より怖いなという気がしましたね。ですからアメリカのメディアも相当厳しい論調。まあ初心者プレイヤーが、まあ痛い洗礼を受けたとありましたけど、結果的に見るとですけど、今のところ安倍さんの中華外交というのは結果的には緊張を増やしてしまったということに、今んとこはなってしまう。残念ながら思いますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、大宅映子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、松原耕二氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

1、姜尚中氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
姜尚中氏は今回の報道で、以下のように述べています。

姜尚中氏(抜粋):今度アメリカがいろいろな証拠を出してくると思うんですね。で、それがどのくらい信ぴょう性があるのかどうか、結局最後は分からない。で、分からないときに、安保理を使って、武力行使までいくのかどうかですよね。(中略)これはやっぱり日本が今のうちにやっぱり立ち位置をはっきりと決めていかなければいけないんだと。で、僕はむしろ日本とドイツが協力して、もう少しアメリカを核合意まで道を戻ってくださいという。それは本来、だからG20にロウハニ大統領をオブザーバーかなんかで呼んでもいいんじゃないですかね。そうすれば、少なくともそのときまでは、時間が稼げる。いろんな手が日本だったらあるんじゃないかなと思うんですけど。

要旨をまとめると、
・アメリカがどんな証拠を出すかわからないが、それに信憑性があるかどうかが疑わしい。それにもかかわらず安保理を通して武力行使まで行ってしまった場合、日本の立ち位置が問われることになる。
・日本も中東での信頼という資産があるので、それを犠牲にしてまでやるべきではない。日本はドイツと協力してアメリカを止めなければいけない。G20にロウハニ大統領を呼ぶなど様々な考え方があるはずだ。

というものです。

しかしながら、
・アメリカの出す証拠に信憑性がないという主張には根拠がない。また、日本は安保理のメンバーであるため安保理の決定を無視できるという主張は事実に即していない。
・中東での信頼という資産は国際的な制裁に賛同したことで失われるものではない。また、日本の外交の基本方針はアメリカとの連携が中心にあるので、それよりドイツを優先すべきだという主張は現実的ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での姜尚中氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、大宅映子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
大宅映子氏は今回の報道で、以下のように述べています。

大宅映子氏(抜粋):イランともアメリカとも友好関係にあるという日本がね、役があるということで、安倍さん勇んで出掛けられたんですが、その最中にね、せっかく緊張緩和のために、最中に、日本のタンカーがこういう目にあうっていう。この状況っていうのを考えると、本当に役に立つはずが、皮肉にも、なんか日本に標的が向いてきたっていうふうに感じます。アメリカは、ホルムズ海峡はそんなに関係ないです。シェールガスも出てきちゃったし、あんまり関係ない。一番困るのは日本なわけですよね。私は、安倍さんに、あそこにイランに行く前に、友好関係にあるのであればトランプさんに今の状況、ちょっとひどすぎませんかと。アメリカがやりすぎなんじゃないですかと一言言って欲しかったですよね。まあ後からでもいいけど、やっぱり友好関係ってのは、そういうことですよね。言いなりになることじゃないから。

要旨をまとめると、
・双方と友好関係にある日本の安倍首相が勇んで出かけたことが裏目になり、日本が標的になってしまった。
・ホルムズ海峡はアメリカにとって重要ではないが、日本は困る。イランに行く前にトランプ米大統領に「アメリカがやりすぎだ」と諭すべきだった。言いなりになることが友好関係ではない。

というものです。

しかしながら、
・日本を攻撃した主体はいまだ判明しておらず、したがって安倍首相の外出がタンカー攻撃の原因になったという主張には根拠があるとは言えない。
・ホルムズ海峡は世界の原油供給、ひいては世界経済に多大な影響を与える要衝であり、日本だけが困るという主張は当たらない。また、アメリカとイランとの関係性について日本が一方的に反アメリカの立場に立つべきだという主張は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での大宅映子氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「安倍首相の外交には効果がない」「イランとアメリカの衝突を避けなければならない」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「安倍首相は表立って交渉できないアメリカとイランに代わって交渉しており、トランプ米大統領やロウハニ大統領の発言を以て効果がないとは言えない」「毅然とした対処が必要なケースも当然存在する」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では(政治的に公平でなかったり、)事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 安倍首相のイラン訪問について報道された部分における
検証4「松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに、
③ イージスアショア配備について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 「風を読む」にて老後2000万円問題について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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