サンデーモーニング、2020年3月15日分の検証報告(中編)です。
今回の報告では、
① 緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
③ 森法相の失言についてについて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。
検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。
今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。
中編で検証するのは、
② 「風を読む」にてインフォデミックについて報道された部分
となります。
では、さっそく放送内容をみてみましょう。【VTR要約】
まん延する新型コロナウイルスの弊害は今や人の心にまで及び始めています。インフォデミックとはインフォメーションとエピデミックを組み合わせた言葉で、根拠のない情報が大量に拡散する状況を指します。例えばオーストラリア・シドニーのスーパーで7日、突然始まったけんか。黒人女性が2人の女性に殴られています。けんかの原因はトイレットペーパー。オーストラリアでもトイレットペーパーがなくなるというデマが広がったのです。トイレットペーパーといえば日本でもドラッグストアやスーパーに多数の客が殺到する光景が相次ぎました。その原因もインターネット上に広まったデマ情報でしたが今回、その投稿者の1人が明らかになったのです。誤った情報で全国的にトイレットペーパーなどが品薄になった今回の事案。その発信元の1人が、こちら米子市の医療生協の職員だったことが分かりました。鳥取県米子市の米子医療生活共同組合は勤務する職員がトイレットペーパーが品薄になるというデマの投稿者の1人だったことを確認。公式サイトで謝罪しました。この職員は伝え聞いた情報を確認せずに上げてしまい大変迷惑をかけたと反省しているといいます。感染拡大の不安が広がる中、騒ぎの種をまき散らすデマ情報。日本国内では新型肺炎の治療に関する根も葉もないデマの書き込みが。海外でもこうした情報が悲惨な結果を生んでいます。情報の混乱はデマの拡散にとどまりません。先月、ロンドンの若者グループがシンガポールからの留学生にこの国にコロナウイルスを持ち込むななど暴言を浴びせながら暴行。また、ニューヨークでは、電車内でアジア系とみられる男性が除菌スプレーのようなものを吹きかけられるという事態も発生。根拠のない情報に基づくアジア人に向けられる嫌悪・差別の振る舞い。新型コロナウイルスのまん延が止まらない中、人々の心がすさみ、とげとげしさを増していくようにも見えます。どうして今、こんな現象が世界的に起きているのでしょう。専門家は非常事態が生み出す不安や恐怖から逃れたいという心理がデマ情報や差別的言動を引き起こさせるといいます。
【コメンテーターの発言】
関口宏氏(要約):子どもたちにとって休みって夏休みなんかうれしいんだけどこういう休みはやっぱりうれしくないだろうな。だけど、今日ちょっとまた岡田さんの話を聞いて私のコロナのイメージ変わりましたが。皆さんはいかがでしょうか。
姜尚中氏(要約):結局こういうデマがどうして広がるのかというと不安と恐怖だと思うんですね。最悪の事態をまず想定して、したがってそこで覚悟が決められれば意外と不安と恐怖というのは、そうそこにかかってひどい行動には。小出しに悪くなっているんじゃないかと思うとどんどんどんどんどつぼに入っちゃうわけですね。ですからさっき岡田さんが政治の問題とおっしゃったけど僕は危機管理と、あえて言うならば最初に最悪の事態を想定する。しかしそれだけのものの安全ネットがありますと。それは何なのだろうかというと結局透明で開放的で、そしてしっかりと信頼できる統治システムがあるということですよね。それをわれわれは普通は民主主義と言ってきた。恐怖にかられるということは、逆にいうと民主主義と反比例だと思うんですよ。ある社会が恐怖にかられるということは逆に言うと、それはかなり抑圧がかかっている社会で例えば関東大震災のときもいろんな悲劇があったわけですよね。ヨーロッパではペストのときにユダヤ人が毒を入れたというので、そういうことを考えると透明で寛容でそしてできる限り民主主義的なルール、これが一番必要だと思っています。
西崎文子氏(要約):デマだけでなくて意図的に流される陰謀説とか、フェイクニュースとかいろいろな、本当に惑わすものは今たくさんあるわけですね。で今姜さんおっしゃったようにそれに抵抗力をどうつけていくか。今回の場合は本当にやはり不幸な状況ですけれどもわれわれみんながこれ感染者なんだ、その可能性があるんだということをしっかり認識することがやっぱり重要じゃないかなというふうに思います。
高橋純子氏(全文):やっぱりこう差別とかですねヘイトとかが生まれてきたときには政治リーダーの言葉っていうのは大きいんだと思うんですよね。やっぱりそういう危機のときに届く言葉を発せられるか、そしてそれを聞く土壌があるかというのは、日ごろどういうコミュニケーションを政治リーダーが国民ととっているかということが問われるんだと思います。残念ながらやっぱり安倍政権、安倍首相というのは敵と味方を分けるですね政治をしてきた、で説明責任と言われても説明をしない政治をこれまでしてきていた。やっぱりそれがこういう危機のときにですね彼の言葉、昨日、ONETEAMということを会見でもおっしゃっていましたが、なにかどうしてもとってつけた感があると。危機のときにこのリーダーがどういう言葉を発し私たちの不安やいらいらをなだめようとしてくれたのか、そういうことにもちゃんと目を凝らしていく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。
涌井雅之氏(要約):感染症とか自然災害というのは人間をおかしな方向に導いていくんですね。位取り行動。つまり弱者であればあるほど環境ストレスが働いてさらにフェイクの弱者をつくり出す。それで自分が浮かび上がろうという行動を起こす。これは絶対まずいと。これからわれわれはどうやったって、このウイルスを克服してもまた次のウイルスと付き合っていかなきゃいけないんですよ。もうそういうことを前提として考えていくことが重要だと思いますね。
青木理氏(全文):持ってきたんですけどねカミュのペストという本がね今またベストセラーになっているみたいなんですね小説。これまあ1947年ぐらいの作品なんですけれどもこれがベストセラーになっていて僕も本棚から引っ張りだして読んでみたんですけど、こんな言葉があるんですね。「このいまいましい病気め、かかっていない連中まで心が感染している」と。まさに今日のようなことですよね。感染してなくても心がなんか病になっちゃてるんだと。で主人公に言わせれば、ペストに対する一つの戦い方は誠実さだということなんですよね。先程信頼って言葉も出たんだけど、高橋さんもおっしゃいましたけど今の政治にその信頼とか誠実さがあるのか、せめてこの局面だけはきちんと取り戻して欲しいなっていうふうに僕は願っているところです。
以上が放送内容となります。
では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。
1、 高橋純子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、 青木理氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、 この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
それぞれ順を追って解説します。
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1、高橋純子氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
高橋純子氏は今回の報道で、以下のように述べています。
高橋純子氏(抜粋):やっぱりこう差別とかですねヘイトとかが生まれてきたときには政治リーダーの言葉っていうのは大きいんだと思うんですよね。やっぱりそういう危機のときに届く言葉を発せられるか、そしてそれを聞く土壌があるかというのは、日ごろどういうコミュニケーションを政治リーダーが国民ととっているかということが問われるんだと思います。残念ながらやっぱり安倍政権、安倍首相というのは敵と味方を分けるですね政治をしてきた、で説明責任と言われても説明をしない政治をこれまでしてきていた。やっぱりそれがこういう危機のときにですね彼の言葉、昨日、ONETEAMということを会見でもおっしゃっていましたが、なにかどうしてもとってつけた感があると。危機のときにこのリーダーがどういう言葉を発し私たちの不安やいらいらをなだめようとしてくれたのか、そういうことにもちゃんと目を凝らしていく必要があるんじゃないかなというふうに思いました。
要旨をまとめると、
・安倍首相は日頃、国民とコミュニケーションを取らないから、危機に際して「ワンチーム」などと言葉をならべたとしても国民には届かない(とってつけた感がある)。
というものです。
しかしながら、
・安倍首相が「日頃、国民とコミュニケーションを取っていない」をしているという高橋氏の主張には、何一つ根拠がなく事実に即しておらず政治的に公平ではない。
・安倍首相は令和2年3月14日の記者会見の総理冒頭発言上で「政府与党が地域の声を傾けることで、全国津々浦々心を一つにすること」を言い換えて「ワンチーム」という語句を文脈上で使用している。つまり、安倍総理の発言が「取ってつけた感がある」という高橋氏の主張は、明らかに政権を批判ための主観的な感想であり事実に反しており政治的に公平ではない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での氏の高橋純子氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですることに違反する恐れがあります。
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2青木理氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
青木理氏は今回の報道で、以下のように述べています。
青木理氏(抜粋):青木理氏(全文):持ってきたんですけどねカミュのペストという本がね今またベストセラーになっているみたいなんですね小説。これまあ1947年ぐらいの作品なんですけれどもこれがベストセラーになっていて僕も本棚から引っ張りだして読んでみたんですけど、こんな言葉があるんですね。「このいまいましい病気め、かかっていない連中まで心が感染している」と。まさに今日のようなことですよね。感染してなくても心がなんか病になっちゃてるんだと。で主人公に言わせれば、ペストに対する一つの戦い方は誠実さだということなんですよね。先程信頼って言葉も出たんだけど、高橋さんもおっしゃいましたけど今の政治にその信頼とか誠実さがあるのか、せめてこの局面だけはきちんと取り戻して欲しいなっていうふうに僕は願っているところです。
要旨をまとめると、
・青木氏によればカミュが書いた「ペスト」の主人公にとって、ペストに対する一つの戦い方は誠実さであった。今の日本の政治にもそのような信頼・誠実さを取り戻して欲しい。
というものです。
しかしながら、
・「具体的にどのような点において信頼性を欠くのか」については述べていないため、青木氏の「現在の政権は信頼性を欠く」という主張には何の根拠もない。
・その為、「誠実さに欠く」という青木氏の主張は根拠なく政権を批判するものであり、政治的に公平とは言えない。
など、発言内容とは異なる事実が存在します。
以上のことから、今回の報道での青木理氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。
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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「コロナウイルスに対する政府の対応は不十分であり、安倍政権に対する信頼性に欠く」「一般市民がインターネットを介してデマ情報を拡散する」という立場に立った意見のみが出てきました。
ですがこの問題に関しては「政府の対応は適切である」「メディアがコロナウイルスの不安を余計に扇動させている」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。
以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。
以上が報告の中編となります。中編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。
この続きの
③ 森法相の失言について報道された部分された部分
については、後編の報告をご覧ください。
①緊急事態宣言に関する日本の法改正について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。
公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。