2020年3月22日 サンデーモーニング(前編)

2020年3月22日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年3月22日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルス対策における米中の対応について報道された部分
② 新型コロナウイルスのオーバーシュートについて報道された部分
③ 川内原発1号機の停止について報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 新型コロナウイルス対策における米中の対応について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。【VTR要約】
感染が拡大しているイタリアをはじめヨーロッパの感染者数や対策が解説され、中国の減少傾向の数字について強力な体制の政策の効果だと思うなどと語られた。感染者数が1万5000人を突破したアメリカは、18日カナダとの国境封鎖に踏み切り、翌日にはアメリカ国民に対し全ての海外渡航を中止するように勧告した。ニューヨーク州では全ての企業の従業員に対し在宅勤務が命じられ、薬局や食料品店などを除き出勤停止となった。こうした中トランプ大統領が非難の矛先を向けたのが中国でした。これまで8万人以上が感染した中国は、先月下旬から新たな感染者が減っていましたが湖北省で18日、初めて感染者がでなかったと発表した。翌日、トランプ大統領はコロナと書かれていた原稿を手書きで中国と書き換え、中国ウイルスという言葉を使い、非難したのです。
これに対し中国は、しきりに中国に汚名を着せていると反発。他国への中傷や責任転嫁をやめるよう求めました。全世界で感染者が26万人を超える中、応酬を繰り広げるアメリカと中国。「ののしり合ってたって解決しないんだよね。何か見苦しいなという感じが僕はしますが。」と語られた。世界各国では入国禁止が広がっていておよそ100以上の国が鎖国のようになっており、グローバル化と反対の動きがウイルスで起こっている。経済情勢についてアメリカの株価推移をもとに解説され、人の雇用の多い中小企業やサービス産業など全部のセクターがやられていてリーマンの時よりひどいダメージになっているなどと述べられた。トランプ大統領は2兆ドルの経済刺激政策をやろうとしています。 一方問題はドルが高くなっていることで、ギリシャやロシアの方が株価の落ち込みが激しくドルが買えない事で結果的に通貨が暴落し、ギリシャなどがこけると連鎖的に金融不安が起き、これから金融破綻が起きる可能性があるなどと述べられた。

【冒頭の橋谷アナの解説】
まず中国の感染者なんですが、増加が収まりつつあります。新しい感染者は200人を切りました。湖北省では3日連続で新たな感染者がゼロと発表されています。そして日本なんですが、この1週間で300人以上増加しまして、クルーズ船を除いても1000人を超えました。
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【関口氏と岡田氏のVTR直後のやりとり】
関口≫ちょっと待って、また今週も岡田さんとおつきあいただいておりますが、中国の数字は信用していいんですね?
岡田≫これは強力な体制の政策の効果だと思います。
関口≫われわれ、信じていい?
岡田≫こういう傾向はあると思います。政策をたくさんやっているからだと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、橋谷アナの解説に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

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1、橋谷氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
橋谷氏は今回の報道で、以下のように述べています。

橋谷氏(抜粋):
まず中国の感染者なんですが、増加が収まりつつあります。新しい感染者は200人を切りました。湖北省では3日連続で新たな感染者がゼロと発表されています。そして日本なんですが、この1週間で300人以上増加しまして、クルーズ船を除いても1000人を超えました。

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要旨をまとめると、

・中国の感染拡大は急激に抑制され感染者は200人を切った。
・しかしながら、日本における感染者はここ一週間で300人以上増加しており、クルーズ船を除き総感染者は1000人超えた。
というものです。

しかしながら、
・仮に中国から発せられるデータが信用できたとしても、中国のコロナウイルスの総感染者は8万2000人、総死者数は3329人を超える。一方、日本の総感染者は4259人であり、総死者数は95人であり、中国と日本では感染者数、死者数共に大きな差異がある。(4/5時点)よって単純に一週間の感染者数で中国と日本を比較することはできない。あたかも中国はコロナウイルスが抑制することができており、日本が中国より対策を遅れていると視聴者に誤解を招く報道は、事実に明らかに反し政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での橋谷氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
今回の報道で岡田氏は関口氏とのやり取りの中で、以下のように述べています。

(以下抜粋)
関口≫ちょっと待って、また今週も岡田さんとおつきあいただいておりますが、中国の数字は信用していいんですね?
岡田≫これは強力な体制の政策の効果だと思います。
関口≫われわれ、信じていい?
岡田≫こういう傾向はあると思います。政策をたくさんやっているからだと思います。

要旨をまとめると、
・中国においてコロナウイルスが収束しているのは、数多くの強力な政策の効果である。よって、中国の数字は信用してよい。

というものです。

しかしながら、
・「11月ごろから中国でコロナウイルスが発生していたが、中国当局が隠ぺいしていた」「武漢人の医者がコロナウイルスの警告をしたSNSを中国当局が削除した」など、中国史府がデータを隠ぺいしている動きが数多く見受けられ、必ずしも中国のデータは信用できるとはいえない。
・その為、「強力な政策をしているから、中国のデータを信用できる」という岡田氏の主張は根拠としての妥当性が低く、事実に反する恐れがあり政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「中国に対するアメリカの対応は望ましいものではない」「日本はコロナウイルス対策が不十分である」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですが、この問題に関しては「そもそも、中国がコロナウイルスを拡散しなければ世界中で大混乱は発生しなかった」「総感染者の数を国際比較するよりも、いかに死者数を減らすべきか考えるべき」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 新型コロナウイルスのオーバーシュートにについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③ 川内原発1号機の停止にについて報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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