2019年8月18日 サンデーモーニング(中編)

2019年8月18日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2019年8月18日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 韓国の光復節で文大統領の演説について報道された部分
② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分
③ ロシアの爆発事故で放射能が検出された件について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
 令和最初の終戦の日を迎えた。ドキュメンタリー映画「東京裁判」がデジタル処理され再上映されている。映画の脚本を務めた小笠原清氏は、「東京裁判によってはじめてその時代の実態というのは見えてきた」と話した。今、日本の歴史認識を改めて問う動きが強まっている。
 光復節を祝う韓国では、激しい反日デモが行われている。14日には新たな慰安婦像が設置され、輸出管理をめぐる問題も絡み日韓関係は悪化の一途を辿っている。なぜこんなことになってしまったのか。
 1910年、日本は韓国併合条約を締結し、朝鮮半島を植民地化した。日本は韓国に武装した憲兵を配置するなど強権的統治を行い、日中戦争が始まると韓国人の名前を日本風に変えさせる創氏改名を行うなど徹底した皇民化政策を実施。1944年から国民徴用令を適用が適用された。その後日本は太平洋戦争に敗北。韓国に対して1965年「日韓請求権・経済協力協定」を結んだが、1990年代以降、戦争被害者個人から不満の声が強く上がるようになった。明治大学教授・山田朗氏は「政府間で解決しましたよっていうふうに言ってもですね、植民地支配の被害を受けた人たちには、実感を伴うものじゃなかった。まさに恨み・怨讐というものを、強く抱いているという問題があると思います。」との見解を示している。こうした問題を受けて、2015年、慰安婦合意の最終決着に向けて日韓合意を行い、新たな財団の設立などが取り決められた。
ところが、文政権は日韓合意を事実上破棄し徴用工判決の最高裁判決を機に、日韓両政府の立場の違いが鮮明化している。さらに山田氏は「文在寅さんが、国民の支持を得るためにそういうスタンスを取る。もちろんこれは、歴史問題を政治的に利用しているといえると思うんですけれども、日韓ともにナショナリズムを利用して支持基盤を固めようとするわけですよね。そのナショナリズムという問題をなるべく抑制して判断していかないと対立が煽られてしまう。」とも話しており、戦後74年になった現在、歴史認識をめぐる対立が今、むしろ強まっている。

【コメンテーターの発言】
田中秀征氏(要約):93年の細川・金泳三の日韓首脳会談で初めて「植民地支配」という言葉が使われ、98年に共同宣言で歴史認識として植民地支配だと明確に言っている。 もう一度思い起こして確認することも大事だと思う。文大統領はスタンスを一致させて、フラフラしないでほしい。

安田菜津紀氏(全文):こういった日韓の問題が、外交問題としてあったとしても、例えば徴用工だったり慰安婦とされてしまった方々がどういう苦しみを経てきたのかということ、今を生きてる私たちがじゃあ知らなくていいということにはならないと思うんですね。それを覆い隠すべきではないと思いますし、そこに被害者がいれば必ずそこに加害者もいて。で、日本の中でそういった加害の歴史というものに触れようとすると、それは反日的である。国益に反するっていう批判がすぐに上がってくると思うんですね。でも、国益ってじゃあなんだろうって。そういった加害の歴史を直視できない国だというふうに世界の中から見られることこそ、実は不利益をもたらすものなんじゃないかと私は思います。

堀川恵子氏(全文):さっき東京裁判の脚本家の方が、戦争の延長線上に今があるっておっしゃいましたよね。で、私も、やっぱりこう歴史が遠くなればなるほど自分の実感として感じることがすごく難しくなってきていて。で、この6月に旧満州を1週間ほど駆け足で歩いてみたんですけれども、そのときにあの通訳として同行された中国人の方がこんなことをおっしゃったんです。「日本に留学してる時に驚いたことが一つあったと。それは9月18日を、日本人は誰も知らない。」私も一瞬ドキッとしたんですけどね、満州事変なんですよね。だから、一つの出来事を取ってみても、やっぱりその被害者、加害者の受け止めっていうのは全く違いますし、いわんや韓国の方々にいたっては、もうその日本との歴史を振り返る明治43年ですよね。韓国併合と言われる事実上の植民地化は。だから36年間、お隣の国を植民地にしてたっていうこの重み。おぎゃーと産まれた赤ちゃんが、父となり母となり、中年に差し掛かるだけの期間が、やっぱりあったっていうことをまあ、なんていうんでしょう。この時期ぐらいは、日本人もやっぱりちゃんと振り返った方がいいと思いますしね、やっぱりそうすることは、決してその過去を振り返ることは悪いことではなく、後退することではなくて、やっぱりここまで崩れた日韓関係をもう一度立て直すための、やっぱり力にきっとなると私は信じてます。

辺真一氏(要約): “向こう三軒両隣”という言葉があるように、実際に日韓は隣人同士、困ったときに助け合ってきた。1997年、韓国での金融危機のときに真っ先に日本が助けてあげた。3.11のときは韓国が一番最初に救助に乗り込んできた。日韓ワールドカップも一緒に開催している。ところが結局こういう問題でぶつかり合ってしまう。日本と韓国は表と裏の歴史。これはまぎれのない現実。それをお互いが認めた上で、日韓両政府が未来志向のスローガンを掲げて国民をリードしていくのが大事。

青木理氏(全文):戦後74年。日本は敗戦から立ち直って、経済発展を遂げて繁栄をし、かつ平和を守ってきた。なのにいつまで言われなくちゃいけないんだという気持ちは分からなくはないんですよね。ただし、例えば朝鮮半島から見ると、戦後その、ヨーロッパではドイツが分断されたわけですよね。ところが、アジアでは植民地支配から解放された朝鮮半島が分断されて、いまだに統一されてないわけですよ。しかも日本の経済成長ってのは、朝鮮戦争が跳躍台だったんですね。かつ、日米安保が日本のその、外交安保の基軸だって言いながら、負の側面ってのは全部沖縄に押し付けてるわけですよ。つまり、周縁部に全て押し付けて繁栄だけをむさぼり食ってきたんじゃないかっていうようなところも、謙虚に日本は考えなくちゃいけないと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の4点です。

1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、堀川氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
4、青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている

それぞれ順を追って解説します。

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1、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):こういった日韓の問題が、外交問題としてあったとしても、例えば徴用工だったり慰安婦とされてしまった方々がどういう苦しみを経てきたのかということ、今を生きてる私たちがじゃあ知らなくていいということにはならないと思うんですね。それを覆い隠すべきではないと思いますし、そこに被害者がいれば必ずそこに加害者もいて。で、日本の中でそういった加害の歴史というものに触れようとすると、それは反日的である。国益に反するっていう批判がすぐに上がってくると思うんですね。でも、国益ってじゃあなんだろうって。そういった加害の歴史を直視できない国だというふうに世界の中から見られることこそ、実は不利益をもたらすものなんじゃないかと私は思います。

要旨をまとめると、
・日韓の問題は外交問題としてあるが、だからといって徴用工の方や慰安婦の方の苦しみを知らなくていいということにはならない。
・日本の加害の歴史に触れると「反日だ」「国益に反する」という批判が上がるが、加害の歴史を直視できない国だと世界から思われる方が国益に反する。

というものです。

しかしながら、
・「外交問題だから旧朝鮮半島出身労働者や慰安婦の苦しみを知らなくてよい」という考えがあるという主張には何ら根拠がない。またこうした人々の体験談は、輸出管理の問題である日本の対韓輸出優遇措置撤回や韓国の国際条約違反に影響を与えるものではない。これらは完全に別個の問題である。
・日本政府やメディアは一貫して戦時中の行いについての反省を掲げており、世界の多くの国から信頼を勝ち得ているため、安田氏の主張は事実に即しているとは言えない。また、日本の「加害の歴史」には軍による慰安婦徴用など事実かどうか疑わしいものも存在するため、疑問を呈すること自体を封殺するような氏の言動は政治的に公平とは言えない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2、堀川氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
堀川氏は今回の報道で、以下のように述べています。

堀川氏(抜粋):さっき東京裁判の脚本家の方が、戦争の延長線上に今があるっておっしゃいましたよね。で、私も、やっぱりこう歴史が遠くなればなるほど自分の実感として感じることがすごく難しくなってきていて。で、この6月に旧満州を1週間ほど駆け足で歩いてみたんですけれども、そのときにあの通訳として同行された中国人の方がこんなことをおっしゃったんです。「日本に留学してる時に驚いたことが一つあったと。それは9月18日を、日本人は誰も知らない。」私も一瞬ドキッとしたんですけどね、満州事変なんですよね。だから、一つの出来事を取ってみても、やっぱりその被害者、加害者の受け止めっていうのは全く違いますし、いわんや韓国の方々にいたっては、もうその日本との歴史を振り返る明治43年ですよね。韓国併合と言われる事実上の植民地化は。だから36年間、お隣の国を植民地にしてたっていうこの重み。おぎゃーと産まれた赤ちゃんが、父となり母となり、中年に差し掛かるだけの期間が、やっぱりあったっていうことをまあ、なんていうんでしょう。この時期ぐらいは、日本人もやっぱりちゃんと振り返った方がいいと思いますしね、やっぱりそうすることは、決してその過去を振り返ることは悪いことではなく、後退することではなくて、やっぱりここまで崩れた日韓関係をもう一度立て直すための、やっぱり力にきっとなると私は信じてます。

要旨をまとめると、
・ある中国人が日本に留学した際、日本人が満州事変の日付を知らないことに衝撃を受けていた。日本人は忘れているだろうが、被害者は加害者より被害を重く受け止める。特に国を併合された韓国国民にとってその差は顕著である。
・日本人は忘れているだろうが、この時期くらいは加害者としての歴史を振り返るべきだ。過去を振り返ることは後退ではなく、日韓関係を立て直すための力になる。

というものです。

しかしながら、
・満州事変の日付を知らないことは、日本が加害者ゆえに戦争中の行いを忘れているということの証明にはならない。
・今日の日韓関係の悪化は管理貿易や安全保障、国際条約違反といった背景で発生しているもので、歴史問題とは何ら関係がない。こうした主張は歴史問題へと論点をずらそうとする韓国側に一方的に立つもので政治的公平性を欠く。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での堀川氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日韓問題はナショナリズムを利用する両国政権の思惑が背景にある」「ナショナリズムを抑制するためには歴史問題に対峙すべきだ」「日本の戦争中の行いに韓国国民は恨みを強く抱いている」という立場に立った意見のみが出てきました。

明治大学教授・山田朗氏(抜粋):政府間で解決しましたよっていうふうに言ってもですね、植民地支配の被害を受けた人たちには、実感を伴うものじゃなかった。まさに恨み・怨讐というものを、強く抱いているという問題があると思います。(中略)日韓ともにナショナリズムを利用して支持基盤を固めようとするわけですよね。そのナショナリズムという問題をなるべく抑制して判断していかないと対立が煽られてしまう。

など、こうした姿勢が顕著にみられる発言もありました。

ですがこの問題に関しては「安全保障上の懸念を抱える韓国をホワイト国から除外することは当然の措置だ」「反日ナショナリズムを煽っているのは明らかに韓国の文政権だ」「いかに日本を恨んでいようと、日韓請求権協定で個人請求権は韓国政府が対応すべき問題となった」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② 「風をよむ」にて終戦の日について報道された部分における
 検証3「青木氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている」

ならびに
③ ロシアの爆発事故で放射能が検出された件について報道された部分
については、後編の報告をご覧ください。

① 韓国の光復節で文大統領の演説について報道された部分
については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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