2020年3月23日 サンデーモーニング(中編)

2020年3月23日 サンデーモーニング(中編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年3月22日放送回の検証報告(中編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルス対策における米中の対応について報道された部分
② 新型コロナウイルスのオーバーシュートについて報道された部分
③ 川内原発1号機の停止について報道された部分

以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

中編で検証するのは、
② 新型コロナウイルスのオーバーシュートについて報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR要約】
木曜日、大阪兵庫間で三連休の不要不急の往来自粛を呼びかけた。確認された感染者は大阪府で125人、兵庫県で107人。吉村知事は最悪の場合、4月3日までに3374人に達するとの試算が厚生労働省から示されたため、往来自粛に踏み切ったという。
注目されたイベント自粛要請の解除について安倍総理は、主催者に判断を委ねる考えを示した。小中学校、高校などの一斉休校の要請について、萩生文科大臣は、政府として要請した春休み前までの一斉休業については延長しないということを確認したという。
19日専門家会議で、東京などで感染経路が分からない患者が増えていることからオーバーシュートの懸念が示された。オーバーシュートとは、どこで感染したか分からない感染者があちこちで気づかぬうちに増えていき、あるとき爆発的に感染拡大が起こることをいいます。もしこのオーバーシュートが起きると、すでにヨーロッパで見られるように数週間都市を閉鎖するロックダウンと呼ばれる強硬な措置を取らざるを得なくなります。

日本国内の感染状況が持ち堪えていることに関して、安倍総理の言ったことを要請と言われながらも真面目にやっているから持ち堪えていると述べられた一方で、これは潜伏期間や検査報告までの日数を鑑みて2週間前の時点だと考えて、引き続き油断してはならないと警告を述べられた。
また感染症の指定病院では、マスクやゴーグルなどの不足から医療崩壊が起きかねないと懸念を述べられた。さらに感染を恐れて町医者に行かなくなっている現状から、夏にかけて経営が苦しくなるところが出てくると懸念し、感染症指定病院以外の医者看護師をどう守っていくのかというのも問題だと述べられた。爆発的な感染への懸念も広がる中、様々な側面から政府の対応が問われています。【谷口氏発言内容全文】
中国とアメリカの首脳を見ていても思いますけれども要は、何が今必要かというと、リーダーが発しなきゃいけないのは、どこかが悪者ということではなくてこれに対してどう対処していくかということだと思うんです。どういう姿勢かというのが必要だと思うんですけれどもむしろ私たち一般市民には冷静さを呼びかけていただきたいと思うんです。そこを封鎖しますよと言われても突然、移動できなくなるというので焦る人がいっぱいいてるわけですよね。そういう焦りというのが混乱を引き起こしてなおかつそこにちゃんとした知識がなかったり情報がなかったりするとデマが飛び交ったりするのでやっぱりこういうときって、敵を見つけてはたたき、敵を見つけてはたたきということになりがちなのでそういうことが起こらないようにというメッセージをむしろ私は発していただきたいなと思いますね。
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【安田氏発言内容全文】
少し観点は違うかもしれないんですけれども大きな枠組みでの方針をどうしていくかももちろん大事なんですが、それぞれの生活に根づいてどう対策をしていくかも欠かせないと思うんですね。例えばウイルスのリスクだけでいえば、移動だったりあるいは外出を制限していくというのは一定の効果があるかもしれませんが例えば虐待だったり、あるいはDVだったりですとか家に居場所を見いだせない、あるいは家にいることがかえって危険になるという方々をどうサポートしていくかも不可欠だと思うんですね。オーストラリアなんかの場合は家庭内暴力に対して24時間の相談体制を強化していきますともうすでに公表していますし、感染症に対する感染拡大のリスクに対する対策だけではなくてそれをやることによって、どういうリスクが上がっていくのか目の届きにくい問題を抱えている人たちに対するサポートも急務ではないかなと思います。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、谷口氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
谷口氏は今回の報道で、以下のように述べています。

谷口氏(抜粋):中国とアメリカの首脳を見ていても思いますけれども要は、何が今必要かというと、リーダーが発しなきゃいけないのは、どこかが悪者ということではなくてこれに対してどう対処していくかということだと思うんです。どういう姿勢かというのが必要だと思うんですけれどもむしろ私たち一般市民には冷静さを呼びかけていただきたいと思うんです。そこを封鎖しますよと言われても突然、移動できなくなるというので焦る人がいっぱいいてるわけですよね。そういう焦りというのが混乱を引き起こしてなおかつそこにちゃんとした知識がなかったり情報がなかったりするとデマが飛び交ったりするのでやっぱりこういうときって、敵を見つけてはたたき、敵を見つけてはたたきということになりがちなのでそういうことが起こらないようにというメッセージをむしろ私は発していただきたいなと思いますね。

要旨をまとめると、
・コロナウイルスの対応において、大阪府知事と兵庫県知事は誰が悪者かを発信するではなくて、どう対処していくべきか発信すべきであった。いきなり封鎖すると言われると焦る人が増えて、デマが飛びかかってしまう。

というものです。

しかしながら、
・大阪県知事は、国の感染症対策の専門家から指摘を受け、兵庫県との往来自粛を市民へ促したのであり、特定の他県を批判していない。よって「誰か悪者か発信すべきではない」という大阪府知事があたかも兵庫県に在住している方々を非難したかのような谷口氏の主張は事実とは明らかに反しており、政治的に公平ではない。
・大阪府知事は、不要不急の外出自粛、また兵庫県知事においては咳エチケット等の衛生管理の徹底や、不要不急の外出の自粛を各県民に訴えており、「コロナウイルスに対してどう対処していくか述べていない」と主張する谷口氏の主張は明らかに事実に反しており、政治的公平性を欠く。
・大阪府知事は、国の感染症対策の専門家の指摘から、不要不急の兵庫―大阪間の行き来を自粛するように、府民に促したものの、県境の封鎖はしていない。よって「兵庫、大阪間をいきなり封鎖した」という谷口氏の主張は明らかに事実に反している。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での谷口氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、安田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
安田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

安田氏(抜粋):少し観点は違うかもしれないんですけれども大きな枠組みでの方針をどうしていくかももちろん大事なんですが、それぞれの生活に根づいてどう対策をしていくかも欠かせないと思うんですね。例えばウイルスのリスクだけでいえば、移動だったりあるいは外出を制限していくというのは一定の効果があるかもしれませんが例えば虐待だったり、あるいはDVだったりですとか家に居場所を見いだせない、あるいは家にいることがかえって危険になるという方々をどうサポートしていくかも不可欠だと思うんですね。オーストラリアなんかの場合は家庭内暴力に対して24時間の相談体制を強化していきますともうすでに公表していますし、感染症に対する感染拡大のリスクに対する対策だけではなくてそれをやることによって、どういうリスクが上がっていくのか目の届きにくい問題を抱えている人たちに対するサポートも急務ではないかなと思います。

要旨をまとめると、
・生活に根付いた対策が必要である。コロナウイルスによって、DVや虐待など家にいることがかえって危険になる方々をどうやってサポートするのか。目の届きにくい問題を抱えている人にも対策すべきだ。

というものです。

しかしながら、

・そもそも虐待、DVに対して対処せねばならない管轄箇所は政府ではなく各地方自治体の福祉課である。日本において既に特に虐待においては24時間体制の通報制度が存在しており児童相談所が常に対応している。またDVにおいては各市町村が相談窓口を設置しており、そこから相談が可能である。
・その為、政府に対して「DVや虐待に対して対策が必要である」とあたかもコロナによって弱者が窮地にさらされてしまう恐れがあると指摘する安田氏の主張は。明らかに事実に反しており政治的に公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での安田氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「このままだと医療崩壊が起こりかねない」「オーバーシュートやロックダウンの可能性がある」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「日本は医療崩壊を避けるために、重傷者を優先してPCR検査や入院を実施している」「オーバーシュートやロックダウンを実施すると他の経済等への影響が大きすぎる」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第3号「政治的に公平であること」、同第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の中編となります。後編では政治的に公平でなかったり、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
③ 川内原発1号機の停止について報道された部分については、後編の報告をご覧ください。

① 新型コロナウイルス対策における米中の対応については前編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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