2020年3月22日 サンデーモーニング(後編)

2020年3月22日 サンデーモーニング(後編)

サンデーモーニング、2020年3月22日分の検証報告(後編)です。

今回の報告では、
① 新型コロナウイルス対策における米中の対応について報道された部分
② 新型コロナウイルスのオーバーシュートについて報道された部分
③ 川内原発1号機の停止について報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

後編で検証するのは、
③ 川内原発1号機の停止について報道された部分
となります。
では、放送内容を見ていきましょう。

【VTR要約】
3月16日、鹿児島県にある川内原発1号機は、テロ対策施設が期限までに完成しなかったため、九州電力は運転の停止をしました。東京電力福島第一原発の事故以降、新たな規制基準としてテロ対策施設の設置が義務付けられていますが、この建設の遅れによる停止は全国で初めてのことになります。他の原発でも建設は遅れていて、同じ川内原発の2号機、関西電力高浜原発の3号機、4号機が年内に停止する見通しです。
——-
【松原氏発言内容全文】
関口≫これは厳しめにやってるかな?
松原≫そういうことですね。私は今回の規制、当局の措置は評価したいと思いますね。福島第一原発の事故のときを思い出してもあのときも巨大津波の可能性が指摘されていたんですが規制当局は具体的な指示をしなかった、その結果、ああいうことが起きてしまっているわけですね。そういう意味では毅然とした措置をとるのは当然だと思います。今後もこういうのが出てくると思いますけどこういう見ても原発っていうのはコストが安いとは決して言えないわけです。世界では自然エネルギーのコストが劇的に下がってますからそういう意味では日本はそろそろ本気でエネルギー政策の議論をし直す時期だと思いますね。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の2点です。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、松原氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
今回の報道で松原氏は関口氏とのやり取りのなかで、以下のように述べています。

(以下抜粋):
関口≫これは厳しめにやってるかな?
松原≫そういうことですね。私は今回の規制、当局の措置は評価したいと思いますね。福島第一原発の事故のときを思い出してもあのときも巨大津波の可能性が指摘されていたんですが規制当局は具体的な指示をしなかった、その結果、ああいうことが起きてしまっているわけですね。そういう意味では毅然とした措置をとるのは当然だと思います。今後もこういうのが出てくると思いますけどこういう見ても原発っていうのはコストが安いとは決して言えないわけです。世界では自然エネルギーのコストが劇的に下がってますからそういう意味では日本はそろそろ本気でエネルギー政策の議論をし直す時期だと思いますね。

要旨をまとめると、

・原子力発電はコストが安いとは決して言えない。世界では自然エネルギーの価格が下落しているので、日本でもエネルギー政策の議論を見直すべきである。

というものです。

しかしながら、
・資源エネルギー庁によれば日本における原発の発電コストは10.1円/1kWhであり、再エネを使った風力は1kWhあたり21.6円、太陽光で24.2円である。このように比較すると、原子力発電は再エネの約半分のコストで発電できる。よって、原子力発電はコストが安くないという松原氏の主張は根拠に乏しく、事実に反する恐れがある。
・実際に2019年の資源エネルギー庁によれば、確かに世界では、再エネを使った発電コストは減少している。しかし、再エネ比率が高いカナダ、ドイツ、イギリスなどの多くの海外諸国は水力・風力発電によって賄われており、再エネ発電の大半を太陽光発電で担っている日本と、気候や土地環境が違う海外諸国を単純比較することはできない。その為、「世界の再エネ発電コストが下落したから、日本のエネルギーの在り方も見直すべき」という松原氏の主張は、根拠の妥当性が低く事実に反する恐れがある。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での松原氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

2、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「原子力発電の稼働はやめるべきである」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「安定した電力供給の為に原子力発電は必要である」「風力、太陽光など他の自然エネルギーは自然環境に左右されることが多く、安定した供給が不可能である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の後編となります。後編では事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

① 新型コロナウイルス対策における米中の対応について報道された部分
については前編の報告を、

② 新型コロナウイルスのオーバーシュートについて報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

サンデーモーニングカテゴリの最新記事