2020年4月22日 報道ステーション

2020年4月22日 報道ステーション

4月22日の報道ステーションのレポートです。
今回検証するのは以下の点です。

・様々な論点を取り上げた放送であったか

まずは放送内容を確認します。

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【VTR】
ナレーション(以下ナレ):院内感染のリスクを減らしながら、検査数を増やす。ドライブスルー方式のPCR検査は以前から待ち望む声が多く上がっていました。かかりつけ医が検査の必要性を判断しPCR検査センターに予約する方式で検査は週に2回1日10件から20件ほど実施する予定だといいます。

東京江戸川区・斎藤猛区長『検査が増えていくということは陽性患者もどんどん増えていく。重症、中程度、軽症の方の振り分けも区の中で一貫してできるようにPCR検査センターができるように確立した』

ナレ:東京・千代田区ではあさってから、仮設の診療所でのウォークスルー型のPCR検査が始まります。

藤原妃奈子記者:患者は外で受け付けをしたあとこちらで検査を受けます。時間は5分ほど。短時間で終了します。

ナレ:週3回、1日2時間で医師が必要と判断すれば検査を受けることができます。これで千代田区では、1日あたり平均10件ほどだった検査数を3倍に増やせる見込みだということです。

【検証部分】

この日の放送でもPCR検査数を増やす千代田区について好意的な論調で放送されていました。
PCR検査についてはレポートで何度も取り上げていますが、報道ステーションではPCR検査数を増加させることに反対の意見が放送されたことはありません。

以前の放送でPCR検査数を増やすことのメリットについて、感染者を取りこぼさないことというような紹介がなされていました。
感染者をしっかり把握して感染拡大を防ぐということです。
なるほど、確かに感染者を把握して治療・感染拡大の対応をしていくことは重要です。
新型コロナウイルスが日本に入ってきて間もないころであれば感染封じ込めのための検査は重要だったでしょう。

しかしいつまでPCR検査数を重大視するのでしょうか。
ここまで感染が広まってきてしまったら、PCR検査数を増加させることによって医療資源を逼迫する恐れがあります。
以前のレポートでも取り上げたことですが、日本感染症学会と日本感染環境学会ではPCR検査は医療資源を逼迫することを指摘しています。

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感染拡大初期から「風邪の症状だが、新型コロナではないか」といって検査を求める声が殺到したという事情がある。舘田理事長は「不安な気持ちは分かるが、治療法もなく、軽症でも入院が必要になるなど、医療資源を逼迫(ひっぱく)させてしまう可能性が学会では危惧されていた」と言う。

報道ステーションではPCR検査を増やすことで生じかねないデメリットは紹介されたことがありません。
≪PCR検査、軽症者に推奨せず―新型コロナ 感染2学会「考え方」まとめる
https://medical.jiji.com/topics/1614
より抜粋
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また神奈川県医師会では以下のような発表をしています。

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・ PCR 検査の現状と将来のこと
新型コロナウイルス感染者が急増する中、追跡不能な感染者の急増を受けて、医療の対応
も迅速な変化が求められています。今まで PCR 検査は疑わしき対象者に限定して実施され
ていました。現実に医療機関としても、もっと円滑に検査数の増加が見込めないかとさまざ
まな方法を計画しております。その中で、PCR 検査を何が何でも数多くするべきだという
人がいます。
では、PCR 検査をどう考えればよいのでしょうか。新型コロナウイルスの PCR 検査の感
度は高くて 70%程度です。つまり、30%以上の人は感染しているのに「陰性」と判定され、
「偽陰性」となります。検査をすり抜けた感染者が必ずいることを、決して忘れないでくだ
さい。つまり、検査は、病原体の非存在証明にはならないのです。「安心」を目標とする検
査は有害です。あくまでも、個々の患者のケアと日本の感染拡大防止に役に立たねばならな
いのです。

インフルエンザに比べて 1/100~1/1000 といわれるウイルスの少なさは、検査結果の
判定を難しくしています。とくに早い段階でのPCR検査や治癒過程(10 日以降)では、
決して万能ではないことを理解してください。社会の不安を煽ることによって、何が起こる
のでしょうか。感染症専門医が懸念する事態の一つに、人びとが医療機関に押し寄せると、
PCR 検査を待っている間に感染者が非感染者にウイルスをうつしてしまい、病院が大きな
感染源になってしまうことがあるからです。

≪かながわコロナ通信
https://kanagawa-med.or.jp/images/%E2%98%8520200415%E3%80%80%EF%BC%B0%EF%BC%A3%EF%BC%B2%E6%A4%9C%E6%9F%BB%E3%81%AE%E7%8F%BE%E7%8A%B6%E3%81%A8%E5%B0%86%E6%9D%A5%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8.pdf
より抜粋
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PCR検査の精度は70%であること、PCR検査で陰性だからといって安心という訳ではないこと、検査数増加によって医療機関が感染源になってしまう恐れがあることなどに触れています。

このようにPCR検査をとにかくも増加させればよいという訳ではないのです。

上記のようなPCR検査の様々な点について放送するべきです。
このような放送は次の放送法に抵触する恐れがあります。

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放送法4条
(4)意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること
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視聴者の会は公正なテレビ放送を目指して今後も監視を続けて参ります。

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