2020年4月19日 サンデーモーニング(前編)

2020年4月19日 サンデーモーニング(前編)

TBS「サンデーモーニング」、2020年4月19日放送回の検証報告(前編)です。

今回の報告では、
① 緊急事態宣言と国内感染者の増加について報道された部分
② アベノマスク配布と一律10万円給付について報道された部分
③ 韓国の大統領選挙ついて報道された部分
以上3点について検証し、その問題点を探りたいと思います。

検証の手順としては、まず放送内容を書き起こし、その内容にどのような問題があるのか、公正な放送の基準である放送法第二章第四条と照らし合わせて検証します。

今回はレポートを3つに分け、前中後編でお送りいたします。

前編で検証するのは、
① 緊急事態宣言と国内感染者の増加について報道された部分
となります。

では、さっそく放送内容をみてみましょう。

【VTR・パネル説明要約】
4/17(金)には東京都の一日の感染者数は過去最多の201人となり、国内感染者もついに1万人を超え緊張はさらに高まっています。
都道府県別に見ると、感染者が100以上の地域が17もあります。東京都の4月の感染者数の推移を見ると、感染経路がわからない人も6割から7割で推移しています。
大阪は週末には感染者数が減るものの再び増加するという東京と似た動きをしています。また、一旦は終息したと見られた北海道でもまた増えつつあります。

【コメンテーターの発言】
岡田氏(全文):まず、首都圏、東京は完全に患者さんが増えておりましてまん延状態だなと読み取れます。総理もそうおっしゃっておられましたけれども。大阪もやはり増えてきていると。北海道は1回落ち着いたけれども、潜在的な患者さんと感染者と、あと入ってくるものもありますので対策を緩めると、また上がってくるという典型的なものだと思います。ただ、この感染者数はかなり検査数を絞っておりますので、ひどくならないと検査していただけません。死亡者数を見てみたんですけれども2月の場合、一日当たりの死亡者数は1.4人なんです。3月は2人なんです。4月の1日から9日までは大体4.7人ぐらい。直近の10日から17日までのデータですと12.6人にはね上がっています。

関口氏:要するに致死率が上がっているということですか?

岡田氏(全文):死んでいる方の数が増えていっている。致死率とはちょっと違うんですけど、明らかに上がっている。重症化している人、亡くなっている人が増えていっている状況は感染者数とともに、メルクマールとしてきちっと見ていかないといけないところだと思います。

関口氏:重傷者が増えているということですか?

岡田氏(全文):亡くなっている人が増えているという状況が一日当たり、今のところ12.6人。2月は1.4人でございました。

関口氏:もう一つ、これもご説明しておきます。
アナウンサーが人口変動分析をパネルで説明する。目標の8割減にはどの地域も届いていない。
安倍総理は、GWにおける人の移動を最小化する観点から全都道府県を対象に指定したが、新潟県や熊本県など戸惑っている地域もあると解説した。

岡田氏(全文):専門家委員会の西浦先生がお示しになったデータがあったと思うんですけれども、あれですと、エピカーブというのが8割なら落ちていく、それで7割でも多少、長引くけど落ちていく。ただ、5割や3割だと上がっていくというシミュレーションがあったと思うんですね。ですから渋谷で3割、4割、大阪や神奈川で5割というのは、下がらずに上がる傾向が続いていってしまうということで、これはもっと引き締めなければいけませんし、今回、緊急事態宣言がまた都道府県全部に出ましたけれども、これは出さざるをえない状況があるなと私は思います。

寺島氏(全文):感染を抑え込むということが一番大事ですから緊急事態宣言もある意味ではやむなしと思います。ただ、ここでしっかり考えなきゃいけないのは世界で比較的うまく制御しているイスラエル、ドイツ、台湾なんかに学ぶところ、国家の強制力に期待しがちなんですけど、重要なのは、民力なんです。国民のポテンシャルが試されているわけで、みずからを制御するという認識のほうに国民自身が向かうべきだと思うんですよ。

以上が放送内容となります。

では、今回の報道にどのような問題があるのかを整理してみます。
今回の報道で、我々が問題だと考えたのは、以下の3点です。

1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
2、寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている

それぞれ順を追って解説します。

1、岡田氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
岡田氏は今回の報道で、以下のように述べています。

岡田氏(抜粋):専門家委員会の西浦先生がお示しになったデータがあったと思うんですけれども、あれですと、エピカーブというのが8割なら落ちていく、それで7割でも多少、長引くけど落ちていく。ただ、5割や3割だと上がっていくというシミュレーションがあったと思うんですね。ですから渋谷で3割、4割、大阪や神奈川で5割というのは、下がらずに上がる傾向が続いていってしまうということで、これはもっと引き締めなければいけませんし、今回、緊急事態宣言がまた都道府県全部に出ましたけれども、これは出さざるをえない状況があるなと私は思います。

要旨をまとめると、
・西浦教授のデータによれば、自粛8割未満の東京や、大阪、神奈川は感染者数が上がっていく。緊急事態宣言は都道府県全部に出たが、出さないといけない状況である

というものです。

しかしながら、
・北海道大学の西浦教授は「感染拡大を一定程度まで抑制できるために、潜伏期間などを考慮すると、感染者の減少を確認できるまでに8割減なら1カ月程度、7割減なら2カ月弱の自粛を要する。」と分析をしており、つまり自粛をすれば感染を抑制することはでき、8割の自粛だとより感染拡大を止めることができるということである。
・その為、「自粛8割未満の東京や、大阪、神奈川は感染者数が上がる」という岡田氏の主張は明らかに事実に反する。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での岡田氏の発言は事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

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2寺島氏の発言に事実と異なる恐れのある内容が含まれている
寺島氏は今回の報道で、以下のように述べています。

寺島氏(抜粋):感染を抑え込むということが一番大事ですから緊急事態宣言もある意味ではやむなしと思います。ただ、ここでしっかり考えなきゃいけないのは世界で比較的うまく制御しているイスラエル、ドイツ、台湾なんかに学ぶところ、国家の強制力に期待しがちなんですけど、重要なのは、民力なんです。国民のポテンシャルが試されているわけで、みずからを制御するという認識のほうに国民自身が向かうべきだと思うんですよ

要旨をまとめると
・感染を抑え込むという観点から、緊急事態宣言の発令はやむなしである。
・コロナをうまく制御しているイスラエルやドイツ、台湾などを参考にすべきである。
・重要なのは民力であり、国家の強制力で解決できるものではない。
というものです。

しかしながら、
・4月6日時点でドイツの感染者数は10万人を超えており、この数は欧州諸国の中ではスペイン・イタリアについで3番目に多い数である。その為、ドイツがコロナウイルスに対してうまく処理できているとは必ずしも言えず、「ドイツ等の海外諸国のほうがうまく制御できている」という寺島氏の主張は事実に反する恐れがある。
・「日本に自粛をできるほどの民力がなく国家の強制力に従うしかない」という寺島氏の主張には何ら明白な根拠が存在しておらず、事実に反するおそれがあり政治的にも公平ではない。

など、発言内容とは異なる事実が存在します。

以上のことから、今回の報道での寺島氏の発言は政治的に公平でなく、また事実に基づかないものである恐れがあり、したがって放送法第2章第4条第2号「政治的に公平であること」、同第3号「報道は事実を曲げないですること」に違反する恐れがあります。

3、この報道全体がひとつの立場・観点に偏っている
今回の放送では、この問題について全体を通して「日本の感染者、死亡者数は増加傾向にあり、感染者数の増加はやむなしである」という立場に立った意見のみが出てきました。

ですがこの問題に関しては「国際的に比較すれば日本は感染を抑制できている」「コロナウイルスに感染した人は特に高齢者や基礎疾患を持った方であり、それらの方に重点的なアプローチが必要である」といった反対の意見があります。にもかかわらず、今回の報道ではそうした意見を全く取り上げず、あくまで片方の視点に立った論点のみが放送されていました。

以上のことから、この内容は放送法第2章第4条第4号「意見が対立している問題については、できるだけ多くの角度から論点を明らかにすること」に違反する恐れがあります。

以上が報告の前編となります。前編では、事実と異なる内容を放送したり、一定の立場に偏った内容だけを放送した恐れがありました。こうした報道は、放送法に違反する恐れがあり、視聴者への印象を誘導する偏向報道の可能性が極めて高いといえます。

この続きの
② アベノマスク配布と一律10万円給付について報道された部分
については中編の報告をご覧ください。

③韓国の大統領選挙ついて報道された部分
については後編の報告をご覧ください。

公平公正なテレビ放送を実現すべく、視聴者の会は今後も監視を続けて参ります。

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